今回の覚書は、MHI-EMEAを契約主体としてアルバ社との間で締結されたもので、MHIENGは、関西電力と共同開発されたCO2回収技術「KM CDR Process」をアルバ社のプラント向けに提供し、案件実現性の検討が行われる。実現すれば世界初のアルミニウム業界でのCO2回収技術適用となり、世界中の事業機会獲得を目指す三菱重工グループにとって、新たな産業分野への展開ならびに中東におけるプレゼンス向上の両側面で非常に意義のある取り組みとなる。
1月19日には調印式が開催され、アルバ社からは会長のシェイク・ダイジュ・ビン・サルマン・ビン・ダイジュ・アール・ハリーファ(Shaikh Daij bin Salman bin Daij Al Khalifa)氏、最高経営責任者のアリ・アール・バカリ(Ali Al Baqali)氏、電力部門責任者のアミン・スルタン(Amin Sultan)氏、MHI-EMEAからは細見社長が出席した。
アルバ社のシェイク会長は「環境、社会、ガバナンス (ESG)の問題は、私たちアルバ社が行う全てのことの前に立ちはだかっています。この覚書は、アルバ社が環境問題に責任を持ち、持続可能な発展を推進していくために重要な役割を果たします。また、CO2回収技術でリーダーである三菱重工グループとのパートナーシップを生かし、脱炭素化に向けた取り組みを進めていきます」と述べた。
一方、MHI-EMEAの細見社長は、今回のMOU締結に際し次のように述べた。
「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:CO2回収・転換利用・貯留)をはじめとした脱炭素分野のグローバルリーダーとして、三菱重工グループがバーレーンとアルバ社が掲げる意欲的な持続可能社会の実現に向けた目標達成に貢献できることを誇らしく思います。このパートナーシップにより、産業界のカーボンニュートラルへの取り組みが加速できると考えています」
アルバ社はバーレーンの主要企業の一つで、脱炭素化に関する同社の取り組みは、バーレーンのサルマン・ビン・ハマド・アール・ハリーファ皇太子兼首相(H.R.H. Prince Salman bin Hamad Al Khalifa)が発表した同国のネットゼロへの取り組みと再生可能エネルギー目標の達成に重要な役割を果たしている。
三菱重工グループでは、エナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでおり、CO2エコシステムの構築はその中の柱の一つである。CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUSは、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されている。エナジートランジション戦略の一翼を担うMHIENGは、高性能なCO2回収技術を国内外に広く普及させることを通じて、地球規模での温室効果ガス排出削減に貢献するとともに、地球環境保護に寄与する独自技術のさらなる開発に向けた取り組みを継続していく。