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開発支援の背景
今回、TGRはベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで4月27日から29日に開催された「スパ・フランコルシャン6時間レース」より、新しい映像データ分析プログラムの適用を開始した。本プログラムを活用することで、TGRは、レース車両に取り付けたカメラから取得した映像データをもとに、刻々と変化するレース状況に応じて柔軟に戦略を見直すことができるようになる。なお、本プログラムは6月7日から11日にフランスで開催予定の「ル・マン24時間レース」でも適用される予定となっている。
WECの最高峰クラスの「Hypercar」で競うTOYOTA GAZOO Racingは、かねてよりレースで勝利するためのデータ利活用を重要視しており、車両に取り付けた数百のセンサーからリアルタイムに情報を収集し、ピットに配信されたデータを実際のレースで戦略に活用している。しかし車載カメラの映像データをレースに活用するには、人手によるデータ検索や映像分析作業が必要だった。レース状況に応じたタイムリーな戦略を検討するためリアルタイムに映像データを解析する必要があり、富士通はAI技術を用いてTGRの映像データ分析プログラムの開発支援を開始した。
映像データ分析プログラムの概要
今回、TOYOTA GAZOO Racing向けに開発支援された映像データ分析プログラムの適用により、車載カメラの映像データをリアルタイムに分析し、車両周辺の状況を可視化することができる。また、日中だけではなく、夜間や悪天候の場合でも映像を正確に分析できるようAIの設定パラメータを最適化することで、耐久レースであるWECに適応し、瞬時にレース戦略へ活用することが可能となった。