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開発の背景
エンジンに使用される補機駆動ベルトシステムには、テンショナプーリの位置を調整することでベルトに適切な張力を与えるオートテンショナが用いられる。オートテンショナからベルトに加わる力は燃費効率に関わるため、オートテンショナには少ない力でベルトに適切な張力を与えることが求められる。
モータでエンジンの駆動をアシストするMHEVにおいては、クランクプーリとベルト・スタータ・ジェネレータ(BSG※)プーリが使用され、MHEVの走行モードによりいずれかのプーリがベルトを駆動する。駆動するプーリが切り替わるとベルトの緩み箇所が入れ替わるため、従来はこの2カ所の張力調整に2つのオートテンショナが必要となり、重量や取り付け工数の増加につながっていた。
※ジェネレータの機能と、アイドリングストップからベルトを介してクランクシャフトを回転させエンジンを再始動するスタータ・モータ機能を持つ補機の呼称。
開発品の特長
- 省燃費
2組のアームとテンショナプーリを連結させ、片側のアームの動きにもう一方のアームの動きを連動させる構造を採用している。この構造により片側のベルトが張るとアームが揺動し、もう一方のベルトの緩みを調整することが可能。この構造により、オートテンショナからベルトに適切な張りを与え、燃費の向上に貢献する。
2. 静粛性
駆動源の切り替えに伴うアームの過度な揺動を抑制する独自の新機構を業界で初めて採用し、異音や振動の原因となるベルトの過大振れを抑制する。
3. 軽量化
NTN従来品のオートテンショナを2個使用した場合と比較して約60%軽量化しており、その点においても省燃費化に貢献している。
開発品を適用した補機ベルトシステム例
各運転モードにおいて駆動源に引っ張られるベルトに張りが生じると、そのベルトにテンショナプーリが押し出されることでアームが揺動し、もう一方のテンショナプーリはベルトを押すことでベルトの緩みを自動で補正。
近年、自動車市場ではCO2排出量の削減を目的に、電動車が急速に普及している。MHEVは、従来のエンジン車からの変化点が少ないという利点を持つことから、今後のさらなる生産台数の増加が予想されている。
NTNは本商品をMHEVの普及を支える商品として顧客に提案し、グローバルに展開することで自動車のさらなる省燃費化や乗り心地の向上に貢献していく。なお、NTNは本商品を5月24日~26日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」に出展する。
開発品の用途
マイルドハイブリッド車(MHEV)エンジン 補機駆動ベルトの張力調整