AGC、グリーン水素製造に適したフッ素系イオン交換膜FORBLUE Sシリーズの製造設備を北九州市に新設

AGCは、北九州事業所(北九州市戸畑区)において、グリーン水素※1製造に適したフッ素系イオン交換膜FORBLUE Sシリーズの製造設備新設を決定したことを発表した。投資金額は約150億円、稼働開始は2026年6月を予定しており、さらなる能力増強を経て、2030年度に売上高約300億円を目指す。

再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解して製造するグリーン水素は、新たなクリーンエネルギーとして注目されており、世界各国で製造・供給が計画されている。現在実用化されている水電解装置は、アルカリ型と呼ばれる方式が主で、水力発電など電圧変動の少ない電源に適している一方、太陽光発電など電圧が変動し易い電源には不向きなため、これらの電源を効率的に活用可能なPEM※2型への関心が高まっている。またPEM型に使用するイオン交換膜の長寿命化を実現する材料として着目されているのがフッ素ポリマーだ。

AGCは、世界的に急拡大するグリーン水素需要に対応するため、独自の高機能フッ素ポリマーを原料としたPEM型水電解装置向けフッ素系イオン交換膜FORBLUE Sシリーズの量産設備の新設を決定した。本製品はAGCが長年培ったポリマー設計技術と製膜技術による、世界トップレベルの①消費電力を抑制する電圧性能および②水電解装置の安全運転に関わるガスバリア性能※3が特徴で、2017年より試験販売を行っており、多方面から高評価を獲得している。

なお、本プラント新設は、2002年に重曹生産を中止して以来、北九州市で24年振りとなる化学品プラント操業にあたり、千葉工場、鹿島工場に次ぐ第三の国内化学品拠点としての再スタートとなる。

※1 再生可能エネルギーを用い、製造工程においてもCO2を排出せずにつくられた水素(出展:経産省資源エネルギー庁HP)
※2 Proton Exchange Membrane:プロトン交換膜
※3 気体の通しにくさ(透過しにくさ)を指す。ガスバリア性が優れているほど発生した水素ガスと酸素ガスの混合を防ぐ事ができる。

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