トヨタが開発したトヨタ・ハイブリッド・システム(THS)は、ハイブリッド車の駆動方式の中でも特異な存在である。THSは、内燃エンジン(ICE)と2つの電気モーター/発電機(MG1とMG2)をプラネタリーギヤを介して接続し、これによって無段変速を実現している。このシステムでは、締結要素(湿式多板クラッチなど)を使用せずに駆動力の流れを調整している。
プラネタリーギヤの構造は、その効率の良さと複雑な動力伝達機能のために、現代の自動車技術において重要な役割を担っている。THSの核となる部分は、遊星歯車機構がどのようにして動力を分割し、そしてこれを再び合流させるかにある。この仕組みにより、電気モーターと内燃エンジンからの動力を効率的に融合させ、変速段を持たない滑らかな加速を可能にしている。
THSの進化形であるTHS IIでは、プラネタリーギヤを利用した動力分割機構を更に発展させ、MG1とMG2の動力をより効率的に管理している。このシステムは、車両の速度や運転状態に応じて最適な動力配分を行い、燃費の向上と排出ガスの削減に貢献している。
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