テイジン・アラミドは、自社製品において持続可能な社会の実現に貢献する取り組みとして、これまで20年以上にわたり、長繊維状の「トワロン」を使用したロープやケーブル、タイヤなどの使用済み最終製品を回収し、パルプ状にリサイクルして、自動車のブレーキパッドやガスケットといった用途に向けて再利用する事業を展開している。また、近年は「トワロン」を使用することによる環境への影響を定量化できる独自の換算システム導入、バイオ由来原料を使用した「トワロン」生産技術の開発を行い、さらに 2021年には、「トワロン」のライフサイクルにおけるCO₂排出量を2014 年対比で約 30%削減した。
こうした環境に配慮した取り組みを一層強化する中で、今回、使用済みの「トワロン」長繊維をリサイクルし、再び長繊維として生産する技術を開発して、そのパイロット生産に成功した。
今次開発したリサイクル技術について
今回パイロット生産に成功したのは、回収された使用済み最終製品に用いられた繊維を短く切断して、それをさらに細かく刻んだものをバージン原料と合わせて溶融し、紡糸したものである。 これにより再生された長繊維の性能は、バージン品である「トワロン」長繊維とほぼ同等であることが確認されており、テイジン・アラミドでは、このリサイクル長繊維に関する技術特許を現在出願中である。
テイジン・アラミドはこの技術開発に伴い、オランダの工業・産業向けケーブルメーカーであるファイバー・マックス社(オランダ・ヤウレ市)、および海運・漁業向けロープなどのメーカーであるハンプジャン社(アイスランド・レイキャビク市)と連携し、このリサイクル長繊維を9割以上使用した最終製品において実証試験(*)を進めている。
(*)ファイバー・マックス社においては土木工事などで使用するクレーン向けの高強力ケーブル、ハンプジャン社においては海運・漁業などにおいて使用する高強力ロープについて、実際の使用環境における実証試験を行っている。