カーボンニュートラル社会の実現に向けては、CO2フリー水素の低コスト化により普及を促進することが必要。 再エネの導入が進む九州では、電力の需給バランスを維持するため、地域で余剰となった再エネを出力制御する状況が発生しており、このような再エネを有効利用することで、CO2フリー水素の製造・供給の低コスト化を実現する可能性を有している。 北九州市響灘(ひびきなだ)地区には、太陽光、風力など約16万kWの再エネが集積し、近接地域では水素供給の実証試験も行われていることから、CO2フリー水素製造・供給の好適地である当該地区にて本事業を行う。
本事業においてIHIは、ごみ発電(バイオマス)・太陽光・風力などの複数の再エネを同時に制御する「水電解活用型エネルギーマネジメントシステム」の開発を担当しており、2020年度から本システムの開発と水素製造設備の設置を進めてきた。 本システムの運用により、発電量変化の特性が異なる複数の再エネ電力から水電解装置で効率よく水素を製造することが可能。 また、「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」(福島県相馬市)で、太陽光と水電解装置を利用する地産地消型エネルギーマネジメントシステムの開発・運用実績で培った技術を活用し、水素製造・供給コストやCO2削減量等の検証も行う。
実証事業の名称
北九州市における地域の再エネを有効活用したCO2フリー水素製造・供給実証事業(環境省委託事業)
実証事業の実施者及び役割
実証事業の場所
北九州市(若松区響灘地区、 八幡東区東田地区)、 福岡市、 久留米市
実証事業の概要
北九州市響灘地区に集積する太陽光発電や風力発電、 北九州市内のごみ発電(バイオマス)といった、 複数の再エネ余剰電力を効率よく調達するエネルギーマネジメントシステムを開発・導入することで、 CO2フリー水素の低コスト化を図る。 こうして作った水素を、 響灘の物流施設、 北九州水素タウンのパイプライン、 県内各地の水素ステーションに運んで使うという、 一連のサプライチェーンを実際に運用する中で、 水電解装置等の機器の規模や運用方法、 安価な電力の調達などのシミュレーションもあわせて行い、 低コストなCO2フリー水素の製造・供給モデルを構築する。
事業スケジュール(予定)
・令和2年度:水素製造装置や圧縮機等の仕様決定・発注、 エネルギーマネジメントシステムの開発
・令和3年度:水素製造装置などの設置と運用開始
・令和4年度:本格運用(水素製造・供給コストやCO2削減量等のデータ取得・検証)