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初代プリウス:近代HEVパッケージングの原点、すべてはここから始まった
THSは2個のモータージェネレーターで動力分割機構をはさみ込んだ電気式トランスアクスル部の上にコントローラー部を配してコンパクト化を図った構成。横置きFF車用のエンジンコンパートメント内を大きく変えずにHEVを実現した。バッテリーパックはニッケル水素電池40個を直列で並べた容量6.5Ahのものを後席後方に搭載。当初は円筒形パックだったが、MCでセルを角型に変更してパック形状も角型とし、トランクスルーを可能とした。
2代目プリウス:北米市場重視で大型化、バッテリー性能を大きく改善
2代目は北米市場でのニーズに応えるためにサイズアップ。また空力性能向上でさらなる燃費向上を目指してワンモーションフォルムに生まれ変わった。THSの基本構造は踏襲し、エンジン部品の軽量化や電圧を昇圧して用いるなどの変更でより高効率なものに。バッテリーパックはニッケル水素電池で容量6.5Ahだが入出力密度を高め、7.2Vのモジュール28個の構成によって容積を25%低減した。パックは後席直下のラゲッジスペース前端に配置。
3代目プリウス:エンジン排気量を拡大、バッテリーはさらに小型化を実現
THSは減速機構を採用して効率を高めた。エンジンは排気量を1.5ℓから1.8ℓへ拡大し、クールドEGRの採用でダウンスピーディングによる高速巡航燃費改善を図った。排気熱循環システムなど効率向上のための配慮が多数投入されている。バッテリーは3代目でもニッケル水素を踏襲。容量の6.5Ah、1.2Vのセルを6個並べて7.2Vとしたものを28個並べたパッケージ構造も同じだが、冷却システムの工夫によって電池パック全体の体積低減に成功している。
プリウスα:シート配列の違いでバッテリー搭載位置を変更
プリウスαは2列シートの5人乗り仕様と3列シートの7人乗り仕様がラインアップされ、それぞれにバッテリーパックの搭載位置が異なっている。5人乗り仕様は3代目プリウスと同じパックを同じような位置に搭載しているが、その位置では3列目シートを作り付けることができない。そこで7人乗り仕様はエネルギー密度が高く小型化が可能なリチウムイオン電池を採用したバッテリーパックを初採用し、前席左右の間に搭載している。
プリウスPHV:80kg分のリチウムイオン電池パックをプリウスにアドオンした構成
3代目プリウスのEV走行距離延長を目的に、リチウムイオン電池によるバッテリーパックをアドオンしたのがPHVだ。両車の前前軸重/後後軸重を見比べると、フロントは同じでPHVのリヤが80kg重い。この差分がそのままバッテリーパックの重量である。実証実験用車両では160kgだったが、より高性能な電池を開発して重量を半分に、パック体積も81ℓに抑えてラゲッジスペースにほとんど影響を与えていない点は評価に値する。
アクア:BセグメントHEV用にフロアを改良
アクアのフロアパネルはヴィッツ用を基本とし、HEV化に必要な改良を加えたものだ。言葉を変えると、海外に輸出しているヤリス・ハイブリッド用と共用している。センターフロアパンとクロスメンバーを新設定し、燃料タンクとバッテリーを配置するスペースを確保。燃料タンク前方、後席座面下側にバッテリーパックと補機類用バッテリーを置いている。今後、リチウムイオン採用でパックの小型化が進めば、この構成が主流となるかもしれない。
エスティマハイブリッド:前輪をTHS、後輪はモーターで駆動するE-Fourシステムを採用
2代目モデルから横置きFFとなり、HEV仕様も設定。前輪にはプリウスなどと同機軸の減速機構付きTHSを搭載しているが、後輪の駆動はジェネレーター兼モーターのみで行なう「E-Four」システムの採用が特徴。走行状況に応じて後輪に駆動力を与えることでスタビリティレベルを確保することが主な目的だ。プラットフォームの基本を共用するアルファード/ヴェルファイアHEVも同様のシステム。バッテリーはセンターコンソール位置に搭載する。
4代目プリウス:トランスアクスルユニットを刷新、モーターふたつを別軸薄型配置へ転換
最大のトピックはTHSのトランスアクスルユニットの設計変更。これまでMG1とMG2を同軸配置してきたのを変えて別軸構成にし、全長(車両搭載方向では全幅)を著しく短縮することに成功している。従来の機構がふたつのモーターの減速機構+動力分割機構に遊星歯車を用いてきたのに対し、別軸にすることで減速機構を「はす歯」の平歯車に改められたのもトピックだった。バッテリーは後席と荷室の間に置く方式でこれまでと変わらないが、種類を(一部グレードを除き)リチウムイオン式に変更している。