欧州の過給ダウンサイジングの流れは、完全に本流となった。気筒を減らすレスシリンダーのトレンドも顕著で、いまやA/B/Cセグメント、さらにはDセグメントまでを3気筒ターボエンジンがカバーするようになりつつある。
欧州の自動車メーカーは、ダウンサイジング/ターボ過給/レスシリンダー/モジュラー設計というキーワードに則った新エンジンシリーズを開発、現在新しいモジュラープラットフォームとともに全面展開を図っている最中だ。ガソリンとディーゼルでシリンダーブロックを共用するというのも一般化してきた。
BMWは、単筒容積500ccの3/4/6気筒の直列ターボエンジンを、ガソリン・ディーゼルでシリンダーブロックを共用しながら開発。1/2シリーズだけでなく3シリーズも将来的には1.5ℓ直3ターボエンジンを積む計画だ(注:2015年5月に318iとして製品化)。
そんなトレンドの最先端をいくのが、ボルボ。従来の直5、直6をやめ、すべてのエンジンをDrive-Eエンジンという名前の2.0ℓの直列4気筒エンジンに切り替える計画だ。それも同じシリンダーブロックでガソリン、ディーゼルを作り分け、バリエーションは過給機の数と過給圧で作り出すというコンセプトである。Drive-Eの導入で現行の直5、直6エンジンはその役割を終え、全ボルボ車が2.0ℓ直4エンジンになるのかと思ったら、ボルボも直列3気筒エンジンを開発していた。現時点では排気量も含めて未発表だが、当然Drive-Eの4気筒の1気筒落としの1.5ℓだろう。そして、ハイブリッド化(PHEVも含めて)されると予想できる。つまり、将来のCO295g/km、さらにはその先を見据えて開発されたエンジンなのだ。公表されたのは、ガソリンの3気筒だが、ディーゼル版の可能性も高いだろう。この1.5ℓはボルボのDセグカーである60シリーズまでが搭載することになる。欧州はDセグまで3気筒エンジンという時代がすぐそこまで来ているのだ。
アウディも新しい3気筒ディーゼルを開発した。1.4ℓ3気筒TDIがそれで、VWグループが開発するモジュラー・ディーゼル・エンジン・プラットフォーム(MDB)の第2弾エンジンだ。95.5mmのストロークはMDBの第一弾である2.0TDIと同一。ボアは2.0TDIの81.0mmから79.5mmに縮小された。ボアピッチは88.0mmで、もちろんシリンダーブロックはアルミ合金製だ。低圧EGRを備えた最新の3気筒ディーゼルに仕上がっている。現在はA1の環境スペシャル車ultraが搭載。
どの自動車メーカーも、厳しくなる燃費規制をクリアするために、ボリュームゾーンのエンジンに3気筒エンジンを投入したところだ。これから数年は、これにどう“電気モノ”を組み合わせていくか、が焦点になっていく。