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ハイカム&キャブ仕様でも抜群の安定感!
AE86らしさは残した珠玉のレストモッドスタイル
ハイチューンドの御用達アイテムといったイメージの強かったフルコンだが、プラグインモデルの登場や多種多様なアイテムが揃ってきたことで、最近は身近な存在となっている。
とくに純正の制御が甘い旧車は、フルコンへの置き換えでレスポンスが激変するため、熟成されていたはずの旧車チューンへ一大革命を起こしている状態だ。その勢いは想像以上に凄まじく、チューニングカーはもとより、走りと魅せワザの双方に拘る旧車のトラックスタンスへもフルコン化の波が押し寄せている。
そこで今回は、数多くのハチロクを魅せてきたトラックスタンスのスペシャリスト、“イナズマワークス”が手掛けたフルコン制御の2ドアトレノを見ていこう。
まず、ボンネットを開けた瞬間に驚かされるのは、エンジンルームに4A-Gが浮かんでいるかのように雑味なく仕上げられたシンプルさだ。これはスタンスシーンでエンジンルームの美しさを突き詰めるために行なわれるワイヤータックやシェイプドベイの効果なのだが、ハーネスや配管を隠していくワイヤータックを極める際にも少ないハーネスでまとめ上げられるフルコンは非常に有利。
というのも、ハチロクに限らず旧車のエンジンハーネスは経年劣化での硬化が進んでいるため、純正以外のルートに取り回していくとトラブル不安も尽きない。しかし、フルコン導入と同時にハーネスを新規製作すれば旧車のコンディションアップへ繋がり、ワイヤータックの自由度だって広がっていく。
なお、今回のハチロクはストリートだけでなくサーキットでのスポーツ走行も楽しむため、オーバーサイズピストンやH断面コンロッド、IN304度&EX288度のハイカムを組み込んだハイコンプ仕様の4A-GをCRキャブでセットアップしている。
「インジェクションなら分かるけど、キャブチューンの旧車にフルコン!?」と考えた人もいるだろうが、実はここでもフルコンは活躍するのだ。
「キャブ仕様に仕上げられたハチロクを“魅せて走れる一台”に仕上げたいと相談されて、僕は美しさの引き出しを担当しました。最初はキャブチューンでエンジンルームも比較的スッキリと仕上げられますし、デスビなどの点火系には手を加えず、固定進角で仕上げていたんです。そこから、イベントに向けた仕様変更でフルコンを使おうとなって、スウェーデン発のフルコン『マキシスECU・スポーツ』で進化させたのが今の仕様になりますね」とは、イナズマワークスの池田さん。
クランクプーリーにセットしたトリガーキットの信号をピックアップして、R35GT-R用ダイレクトイグニッションを点火コントロール。デスビとプラグコードの撤去が可能になって、一層映えるエンジンルームに仕上げているわけだ。デスビが装着されていた部分にはイナズマワークスのロゴをあしらったキャップがあしらわるなど、美しさの探究は抜かりない。
ステアリングコラムにセットしたのは、モニター側でメーターレイアウトが自在に変えられるパワーチューンのデジタルラッシュだ。CAN接続で車両情報を表示させているが、Bluetooth通信が可能なマキシスECUはタブレットなどに車両情報をリアルタイム表示させることも可能。
マキシスECUのCANを利用し、センターコンソール下部にスイッチ類とワーニングランプを集約。燃料ポンプや電動ファンなどのON/OFF、水温・油温・油圧のワーニングに加えてエンジンチェックランプやガソリンランプの点灯も可能となっている。
バッテリーボックスは当初レーシングカーが使用するアルミケースを探していたが、ブレーカーや残量表示機能が備わったボート用を見つけて迷わず投入。濃色ガンメタにペイントしたフロアともマッチングは上々だ。
スポーツ走行時は8.5Jプラマイ0×15インチのエクイップ03や8Jプラマイ0×15インチのグラムライツ57Dだが、イベントなどは8.5Jマイナス6×15インチにリバレルしたボルクレーシングGr.Aに履き替えている。
白黒ツートンだったボディカラーは、スポーツ走行で万が一クラッシュしても簡単にリカバリーできてカッコ良さもあるオリジナル調色のライトシルバーでオールペン。モールにはアクセントとなる赤ラインを引き、シンプルにスポーティさを際立たせている。
「ハチロクの純正ECUがゲームボーイだとしたら、フルコンはSwitch。アイディア次第で様々な制御が可能となりますし、旧車をいじるには欠かせないアイテムになっていくと思います。とくに、マキシスECUはリーズナブルで使いやすい。日本代理店のネオスタイルはサポートも頼もしいですし、フルコン化を考えるなら旧車に限らずお勧めです」。
このように、走りと魅せ技の双方を突き詰めてきたスペシャリストさえも深く魅了するのが、旧車×フルコンの抜群の相性。フルコンを投入すれば、完熟したように思われていた4A-Gチューンド、そしてハチロクの魅力の引き出しに新たな世界が広がっていくのだ。
●取材協力:イナズマワークス
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