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初代MR2の超レア仕様が登場!
新車購入したオーナーへの証人喚問が必要なAW11
国産市販車初のリヤミッドシップ2シーターとして1984年6月に発売された初代MR2。1.5L直4SOHCの3A-LU型を載せるS(AW10)もあったが、主力モデルは1.6L直4DOHCの4A-GELU型を搭載したG/Gリミテッド(AW11)だった。
1986年8月にマイナーチェンジが行われ後期型に移行。内外装の小変更と同時に、G/Gリミテッドに4A-GZE型を載せるスーパーチャージャーが加わり、新たにTバールーフ装着車も設定された。今、中古車市場で流通している大半が、まさに後期型スーパーチャージャーのTバールーフだ。
さらに、1988年9月にも装備の充実化を軸とした一部改良を実施。電動格納ドアミラーやハイマウントストップランプを採用したのがこの時で、これ以降のモデルがいわゆる最終型と呼ばれる。
取材車両は最終型Gリミテッドのスーパーチャージャー。ただし、中古車市場でよく目にするその他大勢と違うのは、スーパーチャージャーなのに4速AT、4速ATなのに標準ルーフで、極めつけはフェンダーミラー!ということ。
いや、4速ATはまだ納得できる。動力性能に余裕があるスーパーチャージャーでクルージングを楽しみたいと考える人もきっといるだろうから。
しかし、そこで思うのは「だったら、普通はTバールーフを選ぶのでは…」ということだ。そういう人はボディ剛性うんぬんより、オープンエアな走りを楽しめる方が良いに決まっている。なのに、取材車両は標準ルーフなのだから理解に苦しむしかない。
さらに、新車購入オーナーに対して証人喚問を要求したいほど大問題なのがフェンダーミラー。新車当時でさえ、ドアミラーが認可されてから5年以上経っているのに、なぜわざわざフェンダーミラーを選んだのか!?
とにかくリトラクタブル式ヘッドライトとのミスマッチ感はハンパではなく、AW11のスタイリッシュな外装を台無しにしてくれるほどの破壊力を持つ無敵のアイテムと言っていい。
もはや存在自体が変態な最終型Gリミテッドスーパーチャージャー標準ルーフ4速ATフェンダーミラー仕様だが、走ってみるとこれが非常に良い! 走行距離がたったの2万kmだからボディのヤレ感はないし、内装の傷みも皆無。本当に新車同然の奇跡的なコンディションだ。
リヤミッドに横置き搭載される4A-GZE型エンジン。ルーツ式スーパーチャージャーが備わり、トップマウント式インタークーラーで圧縮された空気を冷却する。また、制御系はNAの4A-GELU型がDジェトロを採用するのに対して、4A-GZE型はLジェトロなのが違いだ。
特性は、2500rpm付近からのトルク感がNAの比ではなく、4速ATと好マッチングを見せる。確かに5速MTよりギヤ比が離れていてロングでもあるが、トルク型なエンジン特性のおかげでシフトアップ後のモタつきはないし、息の長い加速を楽しませてくれる。
室内は、手前にスラントしたダッシュボードと高いセンタートンネルが特徴的。9000rpmフルスケールのタコメーターは7500rpmからレッドゾーンで、下にはスーパーチャージャー作動時、緑に点灯するインジケーターが付く。オプション装備のエアコンはオート式。
MT車では電圧計が配置されるところにATのモードインジケーターを装備。モード切り替えスイッチはメータークラスター左側、ワイパースイッチの下に設けられる。
運転席は7つの調整機能が与えられたスポーツシート。ステアリングのチルト機構を合わせてドライビングポジションを細かく調整できる。
ディーラーオプションとして用意されてたリヤコンソールボックス。最上段はフタ付きの小物入れになっていて、収納スペースが少ないAW11の実用性を高めてくれるアイテムだ。
エンジンルーム後方のトランクルームの他、フロントフード下にもラゲッジスペースが用意される。フロアジャッキや車載工具、スペアタイヤのカバーまで残っているのは初めて見たかもしれない。
ルーフスポイラーはGリミテッドに標準装備。裏面のロゴがリヤウインドウに映り込み、“TOYOTA”の文字が浮かび上がる。リヤスポイラーはLEDストップランプ内蔵タイプで、これもGリミテッド標準。
ボディ色はガンメタとシルバーの2トーンとされたオプションのスタイリッシュナイトトーニング。標準ルーフ、フェンダーミラーと併せて、このカラーリングも珍しい。
AW11は未だに人気のモデルだが、これと全く同じ仕様の最終型Gリミテッドスーパーチャージャーは他に存在しないのではないか?というくらい、取材車両が珍重&崇拝されるべき個体であることは間違いない。それと同時に、定番のTバールーフ5速MT、できればADパッケージとぜひ対決企画をやりたいとも思った次第だ。
■SPECIFICATIONS
車両型式:AW11
全長×全幅×全高:3950×1665×1250mm
ホイールベース:2320mm
トレッド:FR1440mm
車両重量:1090kg
エンジン型式:4A-GZE
エンジン形式:直4DOHC+スーパーチャージャー
ボア×ストローク:φ81.0×77.0mm
排気量:1587cc
圧縮比:8.0:1
最高出力:145ps/6400rpm
最大トルク:19.0kgm/4400rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR185/60R14
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:SKT 東京都あきる野市横沢欠ノ上43-1 TEL:042-519-9826