「フェラーリ? MID4? いえいえSW20です!」無駄の美学を徹底追求したMR2改に迫る

MR2にヨーロッパスポーツのアピアランスを注入

東京オートサロン1995にてコンプリートカー部門のグランプリに輝いたのが今回紹介するMR2アズーロシステムだ。現代の攻撃的なワイドボディキットとは異なる流麗なそのフォルムは、まさしく和製スーパーカーといって差し支えないクオリティだ。(OPTION誌1995年4月号より抜粋)

日本車離れした妖艶な雰囲気をまとうMR2アズーロシステム

フェラーリF355をイメージして製作されたフルカスタムSW20の登場だ。製作したのはフレックスオート横浜。デザインを担当した松田さんいわく「これこそ究極の無駄グルマ、愚の骨頂。でも、そういうものの中にこそ浪漫があると思うんです」と語る。まさに“無駄の美学”である。

フロントマスクはコンセプトカーのような、過激ではないもののどこか日本車離れしたシルエットのバンパーを採用。主張しすぎないデザインとすることで、全体的に調和の取れたバランスを実現するのだ。

丸目4灯のテールランプは直球でスーパーカーらしさを表現してきたパート。中心のガーニッシュにazuroの文字がデザインされている。トランクリッドの絶妙な跳ね上げは、テールランプ以上にスーパーカーイメージを印象づけるポイントだ。

広げられたフェンダーからルーフにかけての処理は抜群に美しい。ルーフに入れられたプレスラインを上手く利用することで不自然さを消している。

フェンダーだけでなくドアパネルまで作り直した結果、片側55mmワイド化。全幅1810mmの大迫力ボディとなった。ドアの開閉を考慮すると、ファンダーとのクリアランスを取らなくてはならないが、違和感の無いよう絶妙に仕上げられているのだ。

ミッドシップならではのサイドスリットは助手席側がエアクリーナーへ、運転席側がインタークーラーへとフレッシュエアを導く。

インテリアは基本的にMR2イメージを保ったまま。しかし、パナソニックのオーディオシステムを導入するなど、純正以上の快適性を実現している。

足元はAVSの17インチにヨコハマグランプリM5の組み合わせ。ボディサイズの変更によって、ジオメトリーも純正とは異なるものとなっているこのクルマに最適なサイズなのだという。

このクルマを前に「MR2ベースのF355レプリカじゃないの?」などという意見は野暮と言うものだ。

全くサイズ感の異なるベース車両に、F355の持つ流麗なシルエットを違和感なく溶け込ませたパッケージは、まるでこのクルマは最初からこのカタチで生まれてきたんじゃないか、そう思わせるほどの完成度を誇る。東京オートサロン1995のコンプリートカー部門受賞車両、流石である。

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