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2.2L化+GT2835タービンで実測390馬力を発揮
速さとイージードライブを両立するAT仕様
スバル車チューンを得意とする“カーステーションマルシェ”が製作したBP5型レガシィツーリングワゴンは、まんまノーマルにしか見えない外観からは想像も付かないほど、ハードかつ濃いエンジンチューンが施された1台だ。
オーナーから出されたリクエストはただひとつ「高速道路で欧州スーパーセダンに負けたくない」というもの。パーツチョイスから任されたマルシェでは「走りのパフォーマンスにおいて評価が高いレガシィの優位性を一層明確にする」ことをテーマを掲げ、チューニングを開始した。
高速域を中心に動力性能を高めるということは、何よりも絶対的なパワー&トルクが必要。もちろん、そこに至るまでの過渡特性も重視しなければならない項目だ。
それを実現するため、まず腰下にHKSの2.2Lキットを導入して排気量を拡大。同時に、同じEJ20でもGDBとは異なり、燃費や環境性能を最優先した燃焼室&ポート形状を持つ“エコ仕様”のシリンダーヘッドにもくまなく手を入れ、エンジン本体の基礎体力を大幅に向上させている。
使用したベースヘッドはアプライドA。D以降は燃焼室形状がGDBに近くなったが、Cまでは4方向にスキッシュエリアが設けられている。マルシェでは、そのうち2方向のスキッシュを加工してNA領域〜低ブースト域を中心に全域でのトルク特性を改善。また、ポート角の修正なども行われている。
組み合わせるタービンはHKSのGT2835。最大ブースト圧は1.8キロに設定され、なんとダイノパック係数ゼロで最高出力390ps、最大トルク65kgmをマークしている。
ブリッツ前置きインタークーラーの導入に合わせて、Jspeedデフレクター&ルーバーシールドを装着。これはインタークーラーの冷却効率を高めるだけでなく、フロントグリルとボンネットダクトから入ってくる走行風のバランスを適正化しながら、タービン周辺の効果的なクーリング&放熱も実現している。
さらに驚いたのは、これだけのチューン内容を誇りながらミッションはATで、しかも本体を一切強化することなく大幅に向上したパワー&トルクを受け止めていることだ。
マルシェいわく「レガシィに搭載されるミッションの許容トルクの大きさは、6速MT>5速AT>5速MTという順。パワーやトルクを上げていくとATは滑る…なんて思われているようですけど、ポテンシャル的には5速MT以上のモノを持っている。ただ、耐久性を持たせるにはちょっとした技が必要なんですけどね」とのこと。
それはずばり、ECU-TEKによるセッティングで「シフトアップ時にトルコンをスリップさせない」というのが基本的な考え方になる。具体的には、全開加速時に7500rpm+αで電子制御スロットルの閉じ幅を緻密にコントロール。シフトアップの瞬間、エンジントルクを絞り込むことで、ミッションに掛かる負担を軽減しているのだ。
ホイールも含めて足回りは基本ストック状態だが、「BL/BP5の意外な弱点がフロントロワアーム後ろ側のブッシュ。変形量が多く、操安性やコーナリング性能をスポイルしてしまうんです。そこで、このクルマにはウチの“ピロのように効いて、ピロよりも静か”なブッシュキットを組んでいます」とのこと。
最後に。気になるのは高速域での動力性能だが、高速周回路でのテストでは4速全開時に265キロを確認済みだとか。もうひとつ上のギヤが残っていることを考えれば、オーナーが望む以上のパフォーマンスを身に付けたことは間違いないはずだ。
●問い合わせ:カーステーションマルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 TEL:027-265-6789
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