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中身R35GT-Rな超快速ハイエースを稲田大二郎が試す!
「最近、遊び心満載のチューニングカーが少ない!! 真面目に作るのも立派なことだけど、シャレっけや目立とう精神ってのも大事なチューニングの原動力」。これは、稲田大二郎が日々クチにしている言葉だ。確かにチューニングの世界は、数字の競走だけが全てではない。この化け物、ビタボンのハイエースを見ているとまさに自由な発想をカタチにする、チューニングの醍醐味を感じずにはいられない。(OPTION誌2019年3月号より抜粋)
稲田大二郎のストリート試乗記
「この速さは文句なし!! 現場の往復もストレスない」
東京オートサロンにも展示されて話題を呼んだ魔改造ハイエース。R35GT-Rのパワーユニット、VR38DETTを換装したビックリドッキリメカだ。最近、こういう遊び心でやっちゃうようなチューニングカーが少ないから、その存在だけでも僕はうれしいね。
エンジンスペースを覗くと、本当にVR38DETTが押し込まれている。エンジン本体はノーマルだが、ECUチューンによるブーストアップで約600psを発揮するというから恐れ入る。
レカロのセミバケが6座セットされたインテリアに乗り込む。クルマを動かす前にアクセルを踏んで軽くレーシングしてみると、獰猛とも言いたくなるような低めのレーシングサウンドが心を揺さぶる。やる気だ!
そして走り出す。車重1.7トンのハイエースだが、さすがVR38エンジンともなると、いとも簡単に軽々とクルマが進みはじめる。そして走り出した瞬間に、もう普通のハイエースではないことが理解できる。正直言って、ここまでやった車両でチマチマと街乗りするのはもったいなく感じるほどだ。
操作性も見事。初期段階はギクシャク感があったそうだが、その後気になるポイントを徹底的に修正。そのおかげなのだろう、とてつもなく乗りやすい。ハリボテのショーカーとは違い、毎日の移動にも使っているというのもよく分かる。本当にストレスフリーだ。
エンジンはLINKのフルコンで制御されているが、それと同期したaim製のダッシュロガーメーターが、このモンスターのキャラクターを物語る。
ちなみに、ミッションはハイエース純正5速MTのため、ほぼ消耗品とのこと。将来的には強度のあるもの(場合によっては社外のシーケンシャルミッションも検討)に積み換えることも検討しているそうだ。
ステージを高速に移す。そしてアクセルを深く踏んでみると…速い!! スポーツカーではないからガンガン踏んで競走したりスラロームするような性格ではない。恐らく200キロ前後で、だらりと高速クルージングするのが楽しいだろう。もちろん、200キロなんてこのクルマにとっては通過点に過ぎないが…。
ホイールはT-スタイルのX-Three、タイヤには19インチのアドバンネオバ(F265/35-19 R275275/35-19) をセットする。車高調はファイナルコネクションで、ブレーキもapレーシングのプロ500Rをセットするなど、各部のバランス向上も抜かりなしだ。
CRCのワイドボディキットとGTウイングで構築されたエクステリアも凄まじいの一言。フロンバンパー開口部ギリギリにセットされたインタークーラーまで含めて良い意味で変態的だ。
それにしても、どこまでも走っていきたいような気分にしてくれるこの走行フィールは独特。着座位置が高いことも開放的な気分にしてくれるポイントなのだろう。
ハイエースはカスタムベースとしての人気が高いモデルだが、じつは速さに不満を抱いているオーナーが多い車種でもある。この車両を頂点にパワーチューニングが盛り上がってきたら、業界も賑やかになると思う。
GT-Rの心臓部を持つハイエース、僕は本当に欲しいと思ったよ。そのくらい仕上がりの良いリアルチューンドだ。