「ランエボの“魂”が注がれた怪物ミニバン!」シャリオ・リゾートランナーGTは存在自体がヤバすぎた!!

ロングホイールベースで高速コーナーの安定感はランエボ以上!?

4G63ターボ+4WD+5速MT!

1991年5月に発売された2代目シャリオ。シャシーは初代RVRを基本にホイールベースを200mm延長したもので、2-3-2の3列シートで7人乗りとされた。リゾートランナーGTの登場は1995年5月のことだ。

搭載される2.0L直4DOHCターボ4G63はエンジン本体が助手席側、ミッションが運転席側にあることからも分かるように、ランエボで言えばIIIまでと基本設計を同じにする、逆回転クランクシャフトの前期タイプ。エンジンルームのスペース的な制約から、インタークーラーはトップマウントが採用される。

シリーズ唯一のハイオクガソリン指定とされ、スペックは5速MTモデルの230ps/29.5kgmに対して、4速ATモデルは220ps/30.5kgmと、トルク重視のセッティングが施される。

これだけのパワー&トルクを受け止めるため、駆動方式はセンターデフにビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDのみの設定。15インチアルミホイールが標準で、4輪ディスクブレーキもフロントは片押しながら2ポットキャリパーが装備されるなど、走りを追求したパッケージだったのである。

高い実用性はそのままに、ミニバンのシャリオで走りのグレードを成立させてしまった三菱。その企画力というか思い切りの良さは本当に素晴らしく、「当時はまだまだ元気があったんだな…」と、しみじみ思う。細部を見ていこう。

独立したメーターナセルを持つダッシュボード周り。その高さを抑えつつ、アップライトに座らせるポジションもあって、前席の開放感を生み出している。4本スポークのステアリングホイールには運転席エアバッグを内蔵する。

メーターレイアウトはスポーツカーのそれだ。スピードメーターを中心として右側にタコメーター、左側に燃料&水温計が配置される。7000rpmからレッドゾーンが始まり、9000rpmまで刻まれたタコメーターが実力をアピール。

センターコンソールは上からエアコン吹き出し口、オートエアコン操作パネル、2DINのオーディオスペース、灰皿&シガーライター。最下段の小物入れには、押すと出てくるドリンクホルダーも装備される。

前席には、サイドサポートとニーサポートを張り出させたスポーツタイプを装着。リゾートランナーGTがどんなモデルなのか? このシートが静かに物語っていたりする。

3人掛けの2列目には前後スライド機能が与えられ、2人掛けの3列目と合わせて50:50分割でのリクライニング&前倒しが可能となっている。

フロアと座面が近く、足を抱え込むようなポジションになる3列目。ただし、居住スペースに不満はなく、両サイドにはフタ付きの小物入れ&ドリンクホルダーが用意されるなど、決して緊急用ではないところに真面目な設計ぶりが伺える。

また、2~3列目ではフルフラット化も可能。今時、流行りの車中泊だってできそうだ。

セミハイルーフのリゾートランナーGTは、ルーフ前端がガラスサンルーフとなっていて電動チルトアップ機能を持つ。前席の頭上にゆとりや開放感を与えると同時に、車内の効率的な換気にもひと役買ってくれる。

ホイールは16インチに交換されているが、ランエボIV純正OZ製アルミホイールをわざわざ見つけてきて履かせてるあたりに、オーナーの変態度の高さを感じずにはいられない。手前が標準装備の15インチアルミホイールで、タイヤサイズは195/65R15。

それではお待ちかねの試乗タイムだ。運転席に座ると、ボンネット上のエアスクープの盛り上がりが目に入る。ミニバンなのに5速MTというところに違和感と、それ以上の興奮を覚えつつ走り出す。さすがトルク型の4G63、2000rpmくらいでも力強さが十分に感じられ、1470kgの車重をモノともせずグイグイと前に出て行く。

2速でアクセルを踏んでくと3500rpm前後からパワーが盛り上がってきて、それがエンジン回転数の上昇に伴って6500rpmまで右肩上がりに高まっていく。さらに3速4速とギヤが高くなるにつれて強調されるのは中高回転域での伸びで、「ミニバンなのにこんな加速するの!?」と思わず身構えるくらい速い。

また、コーナリングもロールこそ大きめだが、4輪の接地状態が掴みやすく、トラクション抜群のフルタイム4WDときている。ロングホイールベースゆえ、とくに中高速コーナーでの安定感は盤石だ。アクセルを積極的に踏んでいけるし、こんなにコーナリングが楽しいミニバンは他にないだろう。

果たして、リゾートランナーGTの走りは予想を遥かに超えていた。これならフルで7人乗っても動力性能に不満はないのではないかと思う。唯一無二にして圧倒的、ランエボの魂が注がれたミニバンは魅力に満ち溢れていた。

■SPECIFICATIONS
車両型式:N43W
全長×全幅×全高:4555×1695×1670mm
ホイールベース:2720mm
トレッド(F/R):1470/1475mm
車両重量:1470kg
エンジン型式:4G63
エンジン形式:直4DOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ85.0×88.0mm
排気量:1997cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:230ps/6000rpm
最大トルク:29.5kgm/2500rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR195/65R15

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TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
取材協力:SKT 東京都あきる野市横沢欠ノ上43-1 TEL:042-519-9826

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