「タクシーでD1GP参戦!?」ドリフトスペックに鍛え上げられた魔改造コンフォートを振り返る

目立つ以外ベース車としての強みは一切無し!?

コンフォートとは思えないハイレベルなメイキングの数々

ドリ車はもちろん、一般ユーザーカーとしても超レアなコンフォート。その大半がタクシーや教習車として販売されたため当然と言えば当然だが、そんな珍ベースでD1GPに参戦したのが“ターミネーター”の愛称で知られた藤尾選手だ。

LPG仕様が大半のコンフォートだけに、チューニングベースとしての強みはゼロ。長所は希少性くらいなものだが、あえて脱定番の珍車でアピール度を高める事もドリフト界では非常に重要な要素だ。

「D1GPで戦うにはボディ以外全てのパーツが交換が前提ですね」と藤尾選手は笑うが、その言葉通り、各部に施されたメイキングは凄まじいものがある。

ドラッグマシンのエンジン製作で知られるUZレーシングが担当したエンジンは、アルテッツァの3S-GヘッドとマークIIクオリスの5S-Fシリンダーブロックを組み合わせて2.2L化したもの。これにGT3037Sタービンをセットし、500psのピークパワーを発生させている。

ハイパワー化とドリフトを考慮して冷却系チューニングも怠らない。フロントグリルの奥にオイルクーラーとパワステクーラーを装着し、ダイレクトにフレッシュエアをコアへと導入。また、500psで路面を掻き続けるデフの負担軽減を目的にデフクーラーも装着する。

運動性能を高めるべくエンジン搭載位置を下げて低重心化。ボディシェルとフロントフェンダーが、ちょうどカサ上げされたように隙間が確認できる。また、タイヤハウスそのものも拡大加工されている。

ドリフトに重要な切れ角は、チューニングショップ“R.Y.O.”によるショートナックル加工で大幅にアップ。タイヤハウスの拡張とトレッド幅の拡大で、アンダーステア傾向を抑えたセッティングが施される。

リヤはシャコタン状態でストロークを稼ぐため、アームの取り付け位置そのものを変更。ノーマルはダンパーとスプリングが別にマウントされるが、コイルオーバー式の車高調をセットできるように加工済みだ。ホーシングはドライブシャフトのガタが出ないよう、内部にパイプを通して狭くしている。

ボディはオクヤマの手によってレース仕様へと大改造。剥き出しのフロアにロールケージが張り巡らされ、商用車の面影は皆無。的確な補強によって、ステアリング操作に対してリニアに反応する剛強ボディに仕上げられている。

サイドブレーキレバーは、ノーマルだとセンターコンソール部分に申しわけ程度に出ているだけで、ドリフト中に引ける状態ではないという。そこでパイプを使って延長。引きやすい角度にすることで操作性を向上させている。

前後エアロはドゥーラック製で、リヤフェンダーはユーラスのR34用。小加工でフィットしたそうだ。これにより片側約40mmのワイド化を達成した。ちなみに、フロントのオーバーフェンダーはワンオフで片側約25mmワイド仕様となっている。

「エンジンはパワーがあってオートポリスの進入では200km/h出ます。コイルリジッド式のリヤサスもアライメント変化が起こらず、きちんとリヤタイヤが設置してくれるのでトラクションもかかるし煙も出る。戦闘力はかなりのものですよ!」とは藤尾選手。

ともあれ、タクシーベースのドリ車で格上に挑む姿はまさに圧巻の一言。分かる人にしか分からない超絶魔改造コンフォート、半端ではない。(OPTION2誌2007年1月号より抜粋)

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