
ハーレーダビッドソン・LOW RIDER™︎ S…….3,000,800円(消費税10%含む/2025)〜






カラーバリエーション
⚫️2026年型 ブラックトリム(Black Trim)…….3,055,800円(消費税10%含む)〜
⚫️2025年型 ブラックトリム(Black Trim)…….3,000,800円(消費税10%含む)〜
冒頭に記した通りローライダー(S)は同社のバリエーションにある“クルーザー”カテゴリーを牽引したパイオニア的存在である。同時にアメリカン・スタイルのバイクを象徴する定番モデルになっている。
端的に表現するなら、キャスターが寝かされたフロントフォークを持つ長いホイールベースと大胆に低いシート。そして前方寄りのフートペグにプルバックされたアップハンドルの装備が特徴的。
初代ローライダー(FXS1200)のデビューは1977年のこと。1971年登場のスーパーグライドからの流れを受け継ぐも、前述の通りロー&ロングなフォルムを披露。さらに当時としては斬新だった前後ディスクブレーキやキャストホイールを装備。次代を担う先進性とバランスのとれた堂々のスタイリングが人気を呼んだ。
簡単に言うと、ハイウェイの王者と呼ばれた伝統のFL系とスポーツスター(ミッション一体式エンジンを搭載)のXL系を組み合わせて開発されたニューバリエーション。カスタムを楽しむためのベース車両としても注目を集めたのである。
初代ローライダーに搭載のエンジンはショベルヘッドと呼ばれた空冷OHV横置き45°Vツインの1,206ccだった。次代はエボリューション、そしてツインカム88を経て、現在は9世代目のMilwaukee-Eight™(ミルウォーキーエイト)を搭載している。
時代の変遷とともに排気量は徐々に拡大されつつ進化を重ねて来たが、Vバンクが45°を成す2気筒を横置きし、それぞれの大端(コンロッドのビッグエンド)を同軸とする基本設計は初代から貫かれている。同社を象徴し確かなアイデンティティを誇れるエンジンとして不動の人気を獲得しているのはご存じの通りである。
2017年に新規投入されたMilwaukee-Eight™登場時の排気量は107と114キュービックインチ、つまり1,745と1,868ccだったが、現在ローライダーSに搭載されたのは117(1,923cc)にスケールアップされている。
114比較で1.5mmのボアアップが施された117のボア・ストロークは103.5×114.3mmのロングストロークタイプ。台数限定でリリースされるスペシャリティモデルのCVO(Custom Vehicle Operation™)を除くと同社量販モデル中最大のエンジンを搭載しているのである。
当試乗車(2024年モデル)は10.2対1の圧縮比で105HPを発揮。燃焼室やカムのプロフィールが変更された2025年モデルは圧縮比が10.3対1に高められ114HPの最高出力を誇っている。
外観上の相違点は上記写真の通り一目瞭然で、2024年モデルは2into2右出し2本のオフセットショットガンマフラーを装備。2025年モデルは2in1右出し1本、いずれも水平に伸びるストレートマフラーが採用されている。
Milwaukee-Eight ™の革新ポイントについて補足しておくと、先ずそのネーミングに示された“エイト”は8バルブ構造の採用を意味している。従来のツインカムエンジンはシンプルな4(気筒当たり2)バルブ構造だったが、今回は気筒当たり4バルブのシリンダーヘッドが新作されている。
時代と共にエンジンの排気量が拡大されてきた話は前述の通り、その度に出力向上が図られてきたが、最新エンジンでは環境性能面も含め、よりレベルの高い燃焼効率を追求したところに大きな革新が込められている。
電子的に統合制御されるポート噴射の電子式シーケンシャル燃料噴射を採用。スロットルボディはφ50からφ55mmに拡大されエアクリーナーも一新。点火系の制御も進化し、気筒当たり2プラグ方式を採用。着火時の火炎伝播と燃焼速度を向上し燃焼改善が徹底されたのである。
各ムービングパーツの軽量化設計やメンテナンス性を改善するオイルタペットの新採用も新しいが、いわゆるスポーツバイクに求めらる高性能化とは種を異にし、バルブのリフト量は控えめに設定。さらなる高出力化追求への余力を残しつつ、ゆとりのある乗り味に貢献する豊かな出力特性の向上を狙っている。
2025年モデルでカムシャフトをハイカム化した高出力タイプの投入も当初から計画された通りだろう。余談ながらオートエアコンプレッションリリース(自動デコンプ機構)が採用され、始動時のクランキングを容易なもの(筒内の圧縮圧力を抜く)に配慮された点も新しい。
排気量の拡大と高出力発揮に伴う発熱量増加への対応にも抜かりはない。排気ポート周辺にオイル通路を設ける等、冷却性能を向上し安定した高性能の発揮に貢献。もちろんオイルポンプを強化。空油冷方式が採用され、大型オイルクーラーを標準搭載し潤滑オイル容量も増量されている。
一方でシンプルなメカニズムへ回帰すべく、カムシャフトは従来のツインイカム(二本軸式)から1本化されている。構造の簡素化や部品点数の削減は、故障やメカニカルノイズの低減に貢献。4バルブ化による重量増加分の相殺にも寄与している。
また振動に対する対策も最新鋭のテクノロジーを投入。従来はクランク軸の前後位置に設置されていたバランサーが、前方部だけのシングルタイプに変更された。もちろんクランクマスも新設計。車体搭載にはラバーマウント方式が採用されている。
その他アイドリング回転数は850rpm前後に下げられ、それに対応すべく発電機の能力が大幅に向上されている。エンジンの鼓動感や排気系からの熱気上昇に対する改善も徹底されたと言う。
推測ながら、生産工場の海外移管も見据えた生産性の向上(生産効率の改善)が図られる“革新”が込められたであろうことも想像に難くないのである。
大陸的な雰囲気が満喫できる。

ハーレーダビッドソンは、2026年モデル19車種の日本導入を発表。3月から正規ディーラー各店にて順次発売される。最新モデルのカラーバリエーションは上に示す通りだが、この記事は、2024年モデルと2025年モデルの試乗インプレッションをまとめたものである。
試乗車を目の前にすると、「ローライダー」と言う車名から筆者の脳裏に浮かぶ古きイメージに対して、その期待を裏切らない堂々の存在感に“ホッと”気持ちが安らいでくる。腰を落とし込むようにして低いシートに跨ると、何故か落ち着いた心持に包まれる。と同時に不思議と開放的な気分が膨らむのである。
それはまさに当てもない「旅立ち」へのワンシーンが思い浮かび、今まさに出発しようとする現実の光景が重なり合う様な気分になる。
初代デビュー以来、世代交代で着実な進化を重ねて来ていることは承知しているが、アメリカンを象徴するその立派なスタイリングや、細部にちりばめられた個性的なデザインセンスには終始一貫したローライダーらしさが感じられる。
例えば堀の深いリアフェンダーは頑丈な金属ステーで両脇を抱えられる様に支持される。ライセンス(ナンバー)プレートがテールランプの上にセットされる所や、お馴染みのティアドロップ型燃料タンク。ストレートスポークタイプのキャストホイールなど。
かつてソフテイルシャシーが流用されて、ツインショック式からリアリジッド風のスイングアーム+モノショック式サスペンションに変更されてからも、随所に漂うローライダーらしい雰囲気は色あせることの無い個性を放っている。
スッと前方に伸ばした両手で握るハンドルグリップラバーや両レバーの太さ、やや遠くにあるサイドスタンドや、車体を引き起こす時のずっしりと重い手応えなどからは、本場アメリカのバイクであることが理解できる。堂々たる外観デザインとその風格は、いかにもハーレーダビッドソンのモデルそのものであり、それらしい存在感が個性的魅力として素直に伝わってくるのである。
足つき性に関しては、下記に示す写真の通り両足は膝に十分な余裕を持って、踵までべったりと地面を捉えることができる。ちなみにシート高は710mm。ワイドなデザインと分厚いシートクッションを採用しているにも関わらず、この低さを実現しているのは流石。そもそもシートレールを低くしたフレーム設計から“ロー&ロング”な個性的スタイルとそれによる乗り心地が楽しめるように開発されている。
ご覧の通りライダーの上体はほぼ真っ直ぐな姿勢となる。前方寄りにあるステップは若干高い位置にあり、膝は腰よりも僅かに高い位置になり、膝下の足はやや前方に置いて寛いで乗車する雰囲気。ハンドル位置はやや遠く両腕は前方に伸ばす感じで、そのライディングポジションは全体にゆったりとした雰囲気が伝わる。下半身の筋力で体重を支えるイメージはなく気分はリラックス。腰を落とし、すっかり身を任せる。落ち着いて身体(体重)の全てをシートに預ける感じになる。
重量級の大型バイクを“楽〜な”気分で乗れてしまうところに、ハーレーダビッドソンらしい個性と魅力が感じられるのである。
特にそれらしい魅力の多くは、45度Vツインのビッグエンジンが発揮する独特な出力特性にある。いかにもロングストロークらしい、ゆったりとしたリズムを刻む鼓動感。各気筒内で繰り広げられる一回一回の爆発エネルギーの巨大さが伝わる、いかにも図太いトルクフィールが気持ち良い。
ショートストロークを極めるマルチエンジンを搭載し、高回転高出力を追求したハイパワースポーツエンジンの魅力とはまさに対極のところにある雄大な乗り味が魅力的。
まさに“我が道を行く”! そんな自由気ままな走りを穏やかにそして豊かに演出してくれる気持ち良さが満喫できるのである。2025年モデルは確かによりパワフルな進化を披露するが、日本で走らせるローライダーにとって、それが明確な優位性を誇れるポイントになるとは思えなかったのもの正直な感想。もちろん右手をワイドオープンした時の俊敏なレスポンスと伸びの良さに、より快活な雰囲気を満喫できる価値は大きい。
いずれにしても、その大きさと車重をものともしない十分なエンジンパフォーマンスと低速域から高速、そしてワインディングロードまで素直に扱えるグッドハンドリング等の総合性能が熟成の域にあることは確か。本物のアメリカンクルーザーを楽しむ上でお勧めできる筆頭モデルであることは間違いない。
足つき性チェック(ライダー身長168cm/体重52kg)
















