連載
今日は何の日?■新生WRXのスポーツセダンはWRX S4
2014(平成26)年7月25日、スバルは8月25日に発売予定の新型スポーツセダンの車名「WRX S4」を公表した。スポーツモデルのトップグレードだった「インプレッサWRX」が、完全に独立してインプレッサの冠が外れた「WRX」となり、そのスポーツセダンをWRX S4と名乗った。

インプレッサWRXからインプレッサの冠が外れてWRXに

インプレッサは、1992年に「レガシィ」の弟分、「レオーネ」の後継としてデビューした。その際、セダンにはWRC参戦を前提としたトップグレードのスポーツセダン「インプレッサWRX」が設定された。また、1994年、WRCへの参戦を目指してSTIが開発した「WRX STi」が限定販売されて注目を集めた。

2000年、インプレッサWRXの2代目としてセダンの「WRX NB」、スポーツワゴンの「I’sスポルト」が登場。その後登場した「STiシリーズ」は、本格的なロードスポーツモデルとして高い人気を誇った。


2007年、インプレッサWRXの3代目が登場。追加設定された「WRX STIシリーズ」は、デザイン、エンジン、ボディなどが一新されてハッチバックボディとなった。また、2011年にはセダンタイプの「インプレッサWRX STI tS」が登場した。
そして、2014年に3代目の販売が終了して4代目となり、このタイミングでインプレッサの冠が外され「スバルWRX」へと引き継がれた。
インプレッサの冠が外されてWRXとなった経緯

インプレッサの4代目から、インプレッサWRXの車名が単に変更されてスバルWRXになったいというわけでない。
スバルWRXは、インプレッサのシャシーではなく、レヴォーグのシャシーを強化したハイパワースポーツモデルで、 プラットフォームがランクアップしたため、インプレッサの冠が外れて完全に独立したモデルとなったのだ。ただし、クルマとしては別物だが、スポーツモデルという基本的なコンセプトは引き継いでいるので、後継車として位置付けられた。

スバルWRXと車名が変わったことについては、つぎのような背景があったようだ。インプレッサシリーズの中で、つねに一番人気で注目度も高いWRXが別格のように市場でも扱われ始めるようになって、すべてをインプレッサシリーズとして一括りにするのは無理があるようにスバル社内でも考え始めた。3代目インプレッサでは、WRXとそれ以外のグレードの性能差や価格差がさらに広がり、内外装はもちろん、メカニズム的にも共通する部分が少なくなったことから、スバルは「インプレッサ」と「WRX」は分けることになったのだ。
新生WRXのスポーツセダンWRX S4

2014年7月のこの日に公表された「WRX S4」は、翌8月25に発売となった。WRX S4は、スバル伝統のシンメトリカルAWDはもちろんのこと、EyeSight(ver.3)を含めた独自の安全性能、優れた環境性能、洗練された質感を実現したスポーツセダンである。車名の「S4」には、“Sports performance”、“Safety performance”、“Smart driving”、“Sophisticated feel”の4つのSの意味が込められている。

パワートレインは、ハイパワーと環境性能を両立させる新開発の2.0L水平対向直噴ターボ“DIT”(FA20型)エンジンと、高レスポンスでスポーティな走りを実現するスポーツリアトロニック(CVT)の組み合わせ。エンジンは、最高出力300ps/最大トルク40.8kgmを発揮しながら、13.2kg/L(JC08モード)の燃費性能を達成。駆動方式は、VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)が採用された。

さらに、WRXシリーズとして初搭載となるスバル独自の運転支援システムEyeSight(ver.3)を含めた安全性能と、ボディ・シャシー性能の徹底的な改善による安全性能と上質な乗り心地も特徴である。

なお、スバルWRXには内外装に大差ないが、よりスポーティで走りに特化した硬派な「WRX STI」のグレードも用意された。WRX STIのパワートレインは、最高出力308ps/最大トルク43.0kgmのEJ20型エンジンと6速MTの組み合わせ。EyeSightは装備されておらず、燃費は9.4km/LとS4より劣る。

車両価格は、WRX S4の標準グレードが334.8万円、WRX STIが379.08万円に設定された。
・・・・・・・・
WRX S4は、WRX STIのような徹底的に走りを追求した研ぎ澄まされたモデルではなく、環境性能や安全性能、乗り心地なども配慮したバランスに優れた走りが特徴のモデルである。今や希少なスポーツセダンではあるが、STIを良く知る人にとっては、やや物足りないと感じるのかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
