
今年3月に開催された『大阪モーターサイクルショー2025』において、突如発表された「CB1000Fコンセプト」。絶版が決まっているCB1300スーパーフォアとCB1300ボルドールの、実質的な後継モデルとして期待されている新星だ。
様々な媒体で市販化と市販モデルについての予想が流れたが、先だって行われた「鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会」のホンダブースにおいて、ついに市販モデルと思われる車体がお披露目された。
今回お披露目されたのは、従来の車体にウインカーやリアフェンダー、リフレクターなどの保安部品を装着した“市販バージョン”。ミラーこそ付いていなかったが、その全貌がつまびらかになった。
“CBアンバサダー”丸山浩氏のYouTubeチャンネルなどで速報されたため、すでにその姿を目にした方もいると思うが、改めてチェックしていきたい。
まず今回初お披露目となったのが、「SE」である。SEはビキニカウルを装着した“カフェレーサー”風のトップグレード。すでに当サイトでもお伝えしたが、“素”の状態の「STD」とは見た目だけでなく、装備などにも違いがある。
8耐では、カラーバリエーションも明らかに。従来世に出ていた“スペンサーカラー”以外に、シルバーの地にグレー&シルバーライン、ブラックの地にシルバー&レッドラインが設定されていることが分かった。
デザインについては、既出のコンセプトモデルとの違いは少ない。市販バージョンは小ぶりのLEDウインカー、そして絶妙な大きさのリアフェンダーが装着されている。CB1300シリーズでは大きすぎて、アフターパーツのフェンダーレスキットを付けるユーザーが多かった。だが、CB1000Fのはバックビューのシャープさを失わない程度のものとなっている。
フロントフェンダー脇に付いているリフレクターはいいとしては、気になるのはラジエターガード。コンセプトモデルでは黒いメッシュのガードが付いていたが、今回展示された車両(SE)には変わった意匠のものが装着されていた。
丸山氏によると、これは竹籠の籠目からヒントを得たデザインで、日本の優れた工業技術の象徴として取り入れているという。
エンジンはCB1000R系の流用だが、CB1000F用にデチューンされているという。CB1000ホーネットよりもかなり出力下げられているようで、あくまでも街乗りなど日常でのライディングを楽しくするセッティングになっているという。
残念ながら、期待されていた丸形メーターの採用はないようだが、コンセプトモデルから大きく変わることのないまま市販化されるようだ。今回の発表に接して、俄然買う気になった諸兄も多いと思う。実は筆者、お世話になっているホンダドリーム店で7月中に相談に足を運んでいた。
今回は、まだ「予想」という情報ではあるが、その際に入手したこともお伝えしていこうと思う。まずCB1000Fにユーザーが期待するのは、その運動性能だ。CB1300シリーズはとにかく重く、その扱いにクセがあった。
その点をホンダも十分に考慮したようで、市場でライバルとなるZ900RSよりも出力、重量の面でアドバンテージを持っているという。加えて足つき性も考えたようで、こちらもシート高をライバルより低くしたようだ。
ちなみにCB1300シリーズはレギュラーガソリン仕様だったが、CB1000Fはハイオク仕様になる模様だ。満タンでも15L強のようなので、そこまでお財布は傷まなさそうだが、販売店スタッフによると「CB1300SFより大分燃費は悪くなりそうです…」とのことだった。
さて、諸兄も「SE」と「STD」の違いについて気になると思う。STDが完全な素の状態だとすれば、SEには差別化のためのプラス装備が施されている。まず見た目で分かるが、ビキニカウル。そして、前述したラジエターガードはSEの専用装備のようだ。これに加えて、クイックシフター、グリップヒーター、そしてトリムやクッション材が違うコンフォートシートが付いているという説明だった。


自分のCB1300SFの装備仕様を考えれば、クイックシフターとグリップヒーターが標準化なのは魅力的だ。また長距離ツーリングをするライダーには、疲労の少ないシートが付いていることも惹かれる。
ちなみに筆者はビキニカウルが趣味ではないのでSTDを選んだが、SEの専用装備を聞いて変更することにした。その心変わりは、装備だけではない。販売店スタッフによればSTDの価格は140万円台で、SEは約20万円高に設定されるのではないか…ということなのだ。20万円高でこの装備差であれば、間違いなくSEを購入した方が得ということになる。
ちなみに、CB1300に設定されていた「SP」のように、オーリンズのサスペンション&ブレンボのブレーキシステム装備というスペシャルモデルはないようだ。いずれは追加されそうだが、今回は全グレードとも国産サス&ブレーキということのようだ。
加えて両グレードともスマートキーとETCは標準装備となるようだ。
「発売は秋以降ですね。生産台数が少ないようなので、早めの申し込みが正解ですよ!」と言われたこともお伝えしておきたい。ユーザーの間では賛否両論はあるものの、鈴鹿でのデモランを見た限りでは、我々の期待を裏切っていないと感じさせるCB1000F。いよいよローンチ間近だ。
