パワートレインが2タイプに 乗り味上質な新ダンパー採用

フルモデルチェンジを機にXVからネーミングチェンジしたクロストレックの成り立ちは独特だ。ボディは小型ハッチバックのインプレッサと共通で、それをリフトアップしてSUVとしているのだから。

エクステリア

前後バンパーやフェンダーの樹脂モール、実用的なルーフレールでアクティブなイメージを演出。新たに加わった「S:HEV」系は専用デザインの18インチアルミホイールも装備。最小回転半径は5.4m。

そしてそれが、いくつかの特徴を生み出している。例えばドライビングポジション。床に対する着座位置はハッチバックと同じで、SUVとしては低め。「SUVのような運転姿勢よりも、セダンやハッチバック的なスポーティな感覚が好き」という人にはうれしい選択肢なのだ。ハンドリングも自慢。200㎜としっかり最低地上高を確保した上で、SUVとしては低めの重心を活かした正確な操縦性は、運転を楽しくしてくれる。「腰高な感覚が好みではない」と言う人も納得だろう。

乗降性

ちなみに「ツーリング」でオーディオレス仕様を選べば、一般的な立体駐車場に入庫可能だ。ライバルに相当するのはトヨタ・カローラクロスやマツダCX-30など。ただ、それらに比べるとクロストレックは後席スペースが広いのも魅力と言える。パワートレインは2タイプ。全車ともハイブリッドだが〝マイルドハイブリッド〞と〝ストロングハイブリッド〞があり、後者は価格が高くなるもののモーターの力が強くて燃費を大幅に高めているのが特徴。

インストルメントパネル

中央に縦長の11.6インチディスプレイを備えた左右対称のインパネは、最近のスバル車に共通するデザイン。ただし、ナビゲーション機能が標準装備されるのは「PremiumS:HEV EX」のみだ。加飾の色味がグレード別設定となり、「S:HEV」系は全体的にブラックやガンメタリック塗装で統一されている。

駆動方式は〝マイルド〞だとFFと4WDが選べ、〝ストロング〞は全車4WD。昨今のハイブリッド4WDは後輪をモーターだけで駆動するタイプが多いが、絶対性能にこだわるスバルはそうせず、後輪も機械式につなげて駆動力を送ることにこだわっている。実際に雨でぬかるんだスキー場の斜面を登ったことがあるが、前へ進む能力の高さに驚いた。そんなクロストレックの大きなトピックと言えば、ストロングハイリッドのメカニズム。モーターやシステムの考え方などにトヨタの技術が活用されているのだ。いわゆるTHS(現在は「シリーズパラレル式」と呼ばれる燃費に優れたハイブリッド)のおかげで、これまでのスバル車では考えられなかったカタログ燃費を実現。「燃費がイマイチ」という従来までのスバル車から脱却した初のモデルとなった。

居住性

しかし、エンジン自体はスバル独自で、もちろん水平対向。おもしろいのは〝マイルド〞のエンジン排気量が2.0ℓなのに対して〝ストロング〞は2.5ℓと大きい。これは高速巡航時にエンジン回転数を落とすことで燃費改善を狙っていることもあるが、大きなモーター(プリウス用より大きなRAV4用サイズ)との組み合わせで加速が速いのも魅力となっている。また燃費向上と大型ガソリンタンクの採用で航続距離が延び、高速巡航であれば1000㎞をオーバー。身近な話で言えば、ガソリンスタンドへ行く間隔を伸ばせるのが良い。

うれしい装備

「Premium S:HEV EX 」と「Limited」にはサンルーフをオプション設定。シェードを開くと外光を取り入れ、車内を明るくできる。電動チルト&スライド機構も備わるため、換気したいときにも便利。
スマートフォンのアプリと連携するリモートサービス、SUBARU STARLINKに対応。目的地をナビゲーションに送信したり、エアコン、ドアロック&アンロックの操作、クルマの現在地検索などができる。
月間販売台数         1895台 (24年9月~25年2月平均値)
現行型発表    22年9月( ストロングハイブリッド追加 24年12月)
WLTCモード燃費  18.9 ㎞/ℓ ※「Premium S:HEV」系 

ラゲッジルーム

また、質の高いダンパーの採用で乗り心地も一段と上質。その上、全面液晶メーターや渋滞時の手放し運転機能を備えた先進安全システム「アイサイトX」を設定するなど、装備水準も高い。確かに価格設定は高いが、燃費だけでなく装備も動力性能も乗り心地も高くなっている「上位モデル」と考えれば納得だ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.167「2025-2026年 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

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