連載
今日は何の日?■スタイリッシュなパーソナルカーのコロナEXiV

1989(平成元)年9月6日、トヨタは人気モデル「セリカ」と「カリーナED」の兄弟車である「コロナEXiV(イクシヴ)」を発売した。コロナEXIVは、コロナクーペの後継として「セリカ」のプラットフォームをベースに開発された4ドアピラーレスHTであり、カリーナEDともプラットフォームを共有する兄弟車である。

コロナEXiVの兄弟車4代目セリカ
「セリカ(A20/30型)」は、1970年12月に日本初のスペシャリティカーとして誕生した。さらに、初代セリカのデビューから2年半経った1973年4月には、セリカの人気をさらに加速させた「セリカLB」もデビューし、セリカの人気は絶好調になった。
初のモデルチェンジで登場した2代目セリカ(A40/50型)の翌1978年3月には、セリカの上級派生車として「セリカXX」がデビューした。セリカXXは、北米では「スープラ」を名乗り、1986年3代目の切り替わりと同時に、日本でもスープラと名乗るようになり、現在も続くトヨタのフラッグシップスポーツカーへと成長した。

そして、3代目(A60型)に続いて登場したのが、1985年8月に大変身を遂げた4代目セリカ(T160型)である。流面形ボディ、3面で構成されたスラントノーズ、リトラクタブルヘッドライトなど斬新なスタイリングを採用。パワートレインは1.6L直4 DOHC、1.8L直4 SOHC&2.0L直4 DOHCターボの3機種と、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。
翌1986年には、WRC参戦のためのホモロゲモデルとなるセリカ「2000GT-FOUR」を追加。搭載された2.0L直4 IC(インタークーラー)ターボエンジンは、当時の国産4気筒エンジン最強の最高出力185ps/最大トルク24.5kgmを発揮した。
コロナEXiVの兄弟車3代目カリーナED
カリーナは、1970年12月にセリカのセダン版、カローラとコロナの中間に位置するモデルとして誕生した。主要な部品やエンジンをセリカと共用化し、絶対的な性能ではセリカに一歩譲るものの、軽快な走りを発揮した。

スタイリングは、当時流行のロングノーズ&ショートデッキのセミファストバックを採用。エンジンは1.4L直4 SOHCが中心だが、スポーティモデルの1600STには1.6Lの2連式キャブ仕様もラインナップされた。派手さは好まないが、性能的にはレベル以上を求めるユーザーから人気を獲得。その後、1977年に2代目、1981年に3代目、1984年にFFの4代目へと進化した。
そして1985年8月に登場したカリーナEDは、実質的には3代目カリーナクーペの後継であり、プラットフォームはFFに代わったセリカと共用化し、セリカの兄弟車という位置づけだった。
カリーナEDは、トヨタ初のセンターピラーレスの4ドアハードトップを採用。4ドアながら車高はセダンより55mmも低く、パワートレインは1.8L直4 SOHCと2.0L直4 DOHCの2種のエンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。
車高が低い分、室内空間は4ドアセダンより劣ったが、2ドアクーペよりも使い勝手がよく、何よりもスタイリッシュさが魅力で、約4年間で26万台を超える大ヒットモデルとなった。
セリカ、カリーナの兄弟車EXIV登場

1985年8月、セリカが4代目にモデルチェンジした際に、そのプラットフォームを用いて4ドアハードトップのカリーナEDと2ドアの「コロナクーペ」を新型車として発売した。カリーナEDが爆発的な人気を集めたため、1989年9月のこの日のモデルチェンジで、カリーナEDの兄弟車としてコロナEXiVを新たに設定し、コロナクーペは廃止された。

コロナEXiVは機能的にはカリーナEDと同じで、フロントグリルや前後のランプ類や細かい装飾類のデザインを変更し、落ち着いた大人の4ドアハードトップの雰囲気に仕上げられた。
パワートレインは、トップグレードの最高出力165ps/最大トルク19.5kgmの2.0L直4 DOHC、125psの2.0L直4 DOHC、105psの1.8L直4 DOHCの3種エンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。その他、スポーツとノーマルの操舵特性を選択できるデュアルモード4WS(輪操舵)や、電子制御サスペンションTEMSなどが備えられた。
車両価格は、2.0Lの5速MTが163万円(標準グレード)/196万円(トップグレード)に設定。当時の大卒初任給は、16.4万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約229万円/275万円に相当する。
スタイリッシュなハードトップセダンのコロナEXiVだったが、当時はトヨタ「マークII」3兄弟に代表されるハイソカーが圧倒的な人気を得ていた。コロナEXiVはハイソカーというには装備面でやや地味で、人気も遅れを取った。
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3種の兄弟車の中で、スポーツクーペとして確固たる地位を構築していたセリカ、若者をメインユーザーとしてスペシャリティセダンとして人気を獲得していたカリーナED。一方、コロナEXIVはパーソナルカー&ファミリーカーであり、セリカとカリーナEDに較べると、地味な印象は拭えなかった。
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