今年モデルは25式に

2020年9月のデビュー以来、「GRヤリス」はWRC(世界ラリー選手権)、スーパー耐久シリーズなど、様々なモータースポーツに参戦を続けているコンパクトスポーツだ。ラリーにしてもレースにしても、究極の過酷な環境とも言えるモータースポーツだからこそ発生するトラブルへの対策は、クルマを、特にスポーツカーを鍛え上げる場に最適だ。実際に競技中、不具合が発生した時の走行データや操舵フィーリング、破損部品を研究し、改善を重ねたという。
そんな改良を受けた最新GRヤリスが、2025年5月から25式として発売されている。なおトヨタは立て続けに登場したモデルの呼称を統一するために、2020年デビューの初期型を20式、2024年発表型を24式、そして今年登場した最新型を25式と表記している。
なお、25式の改良点は以下の6つ。(1)GAZOO RacingダイレクトAT(以下、GR-DAT)の進化。(2)シャシー部品の一部締結ボルトに高剛性の特別なボルトを採用。(3)ショックアブソーバー及びEPSチューニングの最適化。(4)GR-DAT搭載車のフットレスト拡大。(5)縦引きパーキングブレーキを全グレードオプション設定に(6)トヨタセーフティセンスを全車標準化。
6アイテムで構成

今回、その25式をベースにモータースポーツ活動の中で出た課題を克服するべく、ワークスドライバーとともに開発したのがGRヤリス エアロ パフォーマンス パッケージだ。エアロ パフォーマンス パッケージは、GRヤリスの冷却性能と空力性能向上を目的として下記6アイテムからなり、すべてを同時装着することで効果を最大化するという。
(1)ダクト付きアルミフード

全日本ラリー参戦車で先行開発し、GRMNヤリスに採用したカーボン製フードと同形状のダクト付きアルミフード。高速走行中、エンジンルーム内の熱をダクトから放出し、冷却効果を高めるという。
(2)フロントリップスポイラー

高次元の空力バランスを実現するために、フロントリフト発生を抑えることでフロント接地感を高め、トータルのリフトバランスを向上させた。
(3)フェンダーダクト

ホイールハウス内に溜まる空気を後方へ放出させることで、ノーズダイブ時のステアリングフィールや、コーナー入り口での操縦安定性を向上させた。
(4)燃料タンクアンダーカバー

安全燃料タンクの下部をフラットにすることでボディ下部の空気の流れを最適化し、空力性能を高めた。
(5)可変式リヤウイング

大型リヤウイングは高速域での操縦安定性に寄与し、またブレーキング時のスネーキング現象を抑制。手動可変式で、走行シーンに応じてウイング角を変える楽しみもある。
(6)リヤバンパーダクト

リヤバンパーの空気抵抗を抑制し、Cd値を低減。過酷なレースの現場で、リヤバンパーが外れたトラブルを糧として開発した。
エアロ パフォーマンス パッケージは、RZハイパフォーマンス、RCの2グレードに設定され、10月1日より発売するという。なお、9月12日現在、愛知県名古屋市のミッドランドスクエア内トヨタ自動車ショールームでデモカーが展示されているという。詳細な展示期間や展示場所については下記サイトをご覧いただきたい。
車両本体価格
| GR-DAT(8速AT・4WD) | 6速MT(4WD) | |
| RZ”High performance” + Aero performance package | 582万5000円 | 547万5000円 |
| RZ“High performance” | 533万円 | 498万円 |
| RZ | 483万円 | 448万円 |
| RC + Aero performance package | 440万5000円 | 405万5000円 |
| RC | 391万円 | 356万円 |
トヨタ自動車ショールーム | TOYOTA