Mercedes‑Benz VLE

VLEの初期試作車の生産がスタート

VLEの本格量産に向けて、スペインのビトリア工場で、初期試作車の生産がスタートした。
VLEの本格量産に向けて、スペインのビトリア工場で、初期試作車の生産がスタートした。

スペインのビトリア工場において、メルセデス・ベンツの新型フル電動MPV「VLE」の初期試作車両の生産がスタートした。ビトリア工場では、2026年初頭から行われる本格的な量産に向けて、メルセデス・ベンツに求められる品質を確保すべく、様々な準備と検証を実施している。

EQVの後継モデルとして投入されるVLEは、メルセデス・ベンツ・バンの独自フル電動プラットフォーム「VAN.EA(メルセデス・ベンツ・バン・エレクトリック・アーキテクチャー:Mercedes-Benz Van Electric Architecture)」をベースに開発された。

VLEは、リムジンに求められる走行性能と、MPVの多用途性を兼ね備えたモデル。デザイン、居住性、日常の使い勝手など、現代の顧客のニーズに最適化された。最大8名の乗車が可能となっており、家族のデイリーユースだけでなく、上質なシャトル用ミニバスなど幅広く対応。あらゆるシーンで、多目的かつ最大限に柔軟な居住空間を提供する。

VLEの生産に合わせて工場を近代化

VLEの生産に向けて、メルセデス・ベンツはビトリア工場の近代化を実施した。
VLEの生産に向けて、メルセデス・ベンツはビトリア工場の近代化を実施した。

様々なサイズや用途に対応する、モジュール式アーキテクチャーを採用した初の車両生産に対応するため、ビトリア工場は全面的に近代化。VLEの量産に向けて、すでに90%の施設が完成しているという。

従業員に対しては160以上の研修プログラムを実施。ビトリア工場で働く約5000人の従業員は、新たな生産プロセスや手順、素材について、他の工場からの協力を交えながら研修を受けている。メルセデス・ベンツ・バンを率いるトーマス・クレインは、VLEについて次のように説明を加えた。

「新型VLEは、新たに開発したで高い柔軟性を備えるモジュラー式バンアーキテクチャーの第1号車となります。今回、メルセデス・ベンツ・バンは、記録的なスピードで、VLEを初期コンセプト段階から、量産段階まで導きました」

「開発プロセス全体を通じて、革新的なデジタルプロセスを導入し、大幅な効率化を実現しました。各開発部門を横断し、国境を越えたチームで働く従業員たちが、この分野で新たな基準を確立したのです。その成果は、2026年前半に発表される予定です」

異なるパワートレインを同一ラインで生産

ビトリア工場は、VLEの生産に向けて、大規模な投資を行っており、異なるパワートレインを搭載するモデルが同一ラインで製造される。
ビトリア工場は、VLEの生産に向けて、大規模な投資を行っており、異なるパワートレインを搭載するモデルが同一ラインで製造される。

2026年から、ビトリア工場ではフル電動モデル「VLE」をはじめ、乗用仕様の「Vクラス」、商用バン「ヴィトー/eヴィトー」を、需要に応じて完全に柔軟な体制で生産する。VLEはビトリア工場の既存生産ラインに統合され、まず電動車として、将来的には最新のICE搭載モデルも生産される予定だ。これにより、異なる駆動方式の車両を同一の組立ラインで生産できるようになる。

これを受けて、すべての生産工程はデジタル化、柔軟性、効率性、持続可能性の観点から徹底的に検証・改革を実施した。メルセデス・ベンツはビトリア工場に大規模な投資を行い、最新のボディショップや塗装工場を新設。さらに組立ホールも、稼働中の生産ラインを維持しながら大幅に近代化している。

新型VLEの生産準備段階では、人工知能やデジタルツール、生産工程のデジタルツイン構築といった最新製造プロセスが採用された。メルセデス・ベンツ オペレーティングシステム(MB.OS)も、量産バンとしては初めて導入される。

メルセデス・ベンツ・バンでは、生産ネットワークの全拠点において、カーボンニュートラルを達成しており、2013年以来、使用する電力はすべて再生可能エネルギー由来となっている。さらにビトリア工場では、グリーン電力を生み出す太陽光発電システムを導入。建物の暖房には地熱エネルギーを活用し、車両塗装工程で発生する廃熱も利用している。

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