Volkswagen ID. Buzz Pro LWB
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TOYOTA GranAce Premium
新興市場向け「ハイエース」を日本に導入




ラインナップの電動化を進めるフォルクスワーゲンは、フル電動アーキテクチャー「MEB(モジュラー・エレクトリックドライブ・マトリクス)」をベースに開発された初の電動MPV「ID. Buzz」を、2025年から日本に導入。ID. Buzzには、ノーマルホイールベースの「NWB」と、ホイールベースを2990mmから3240mmにストレッチしたロングホイールベースの「LWB」が用意される。
2019年に発表された「トヨタ グランエース」は、主に新興市場において販売されている海外仕様の「ハイエース(H300型)」がベース。ボディサイズは、全幅1970mmこそ今回の比較対象である「ID. Buzz Pro LWB」よりも狭いが、全長5300mmはトヨタが販売する大型ミニバン「アルファード/ヴェルファイア」よりもはるかに長い。
フォルクスワーゲン ID. Buzz Pro LWB
ボディサイズ=全長4965mm×全幅1985mm×全高1925mm
ホイールベース=3240mm
車両重量=2720kg
タイヤサイズ=235/50R20(前)、255/45R20(後)
トヨタ グランエース Premium
ボディサイズ=全長5300mm×全幅1970mm×全高1990mm
ホイールベース=3210mm
車両重量=2740kg
タイヤサイズ=235/60R17
フル電動パワートレインによるリニアな加速




ID. Buzzのロングホイールベース仕様は、91kWh容量のリチウムイオンバッテリーをフロアに配置し、リヤアクスルに搭載された最高出力286PSの電気モーターで駆動。航続距離はロングドライブを十分にカバーする554km(WLTCモード)が確保された。
グランエースは、トルキーな2.8リッター直列4気筒ディーゼルターボにより、必要にして十分な走行性能が与えられた。ほぼ同じ重量となる2台だが、ID. Buzzは信号待ちからの発進時など、アクセルを踏み込んだ際に、電気モーターのリニアなレスポンスを実感することができるだろう。
フォルクスワーゲン ID. Buzz Pro LWB
エンジン形式=1モーター+91kWhリチウムイオンバッテリー
最高出力=286PS/3581〜6500rpm
最大トルク=560Nm/2100〜5500rpm
航続距離=554km(WLTCモード)
トランスミッション=1段固定式
駆動方式=RWD
トヨタ グランエース Premium
エンジン形式=直列4気筒ディーゼルターボ
排気量=2754cc
最高出力=177PS/3400rpm
最大トルク=450Nm/1600〜2400rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=RWD
ヨーロッパとアジア、対照的なニーズ




ID. Buzz Pro LWBのインテリアは、煌びやかなトリムやレザーなどは奢られず、シンプル&ポップな雰囲気。物理スイッチを廃したコクピットには、5.3インチドライバーインフォメーションディスプレイと、12.9インチタッチスクリーンが配置される。
グランエースは“ザッツ・ジャパニーズ・ミニバン”といった趣の豪華な室内空間が広がり、4.2インチTFTカラーメーターと8インチナビゲーションを搭載。もちろんリヤシート用に12.1インチディスプレイも用意される。シートレイアウトは、7人乗りの「ID. Buzz Pro LWB」に対して、グランエースは5.3mという全長を活かして、3列6人乗りに加え、4列8人乗りのタイプもラインナップする。
残念ながら、アルファード/ヴェルファイアとのバッティングもあり、2024年4月を最後にグランエースの販売は終了。それでもアジアをはじめとする新興市場では、今も「ハイエース」として製造・販売が続けられ、高い人気を誇っている。
ID. Buzzとグランエースを比較することで、ヨーロッパと日本を含むアジア市場では、MPVに求められる要素に大きな違いがあることが分かる。大人数を運ぶという機能を備えた上で、“文化”や“体験”を提供するID. Buzzに対して、グランエースは豪華装備による快適な移動空間を重視する。どちらが「良い」というのではなく、ニーズが違うのである。
車両本体価格
フォルクスワーゲン ID. Buzz Pro LWB 997万9000円
トヨタ グランエース Premium 672万1000円(新車販売時)

