エルガFCVは、いすゞとトヨタ自動車が共同開発するFC路線バスで、いすゞが車体の企画・開発・設計を、トヨタがFCシステムの開発をそれぞれ担当する。昨年いすゞが発売したBEV(※1)フルフラット路線バス『エルガEV』都市型モデルをベースに、トヨタのFCシステム・水素タンクなどを屋根上にコンパクトに一体化して配置。これにより、エルガEV同様、車内フロアのフルフラット化によるバリアフリーが実現され、乗客の利便性および安全性が大きく向上されている。

エルガFCVは、充填した水素をFCスタック(※2)内で空気中の酸素と化学反応させ、これにより発電した電力でモーターを駆動させる仕組みである。また、BEVの課題の一つとされるエネルギー補給時間の長さについても、水素を燃料とするFCV(※3)は、充填時間を大幅に短縮できるのが大きなメリットだ。さらに、BEV同様に振動・騒音が少ないだけでなく、走行中にCO2を一切排出せず、水だけを排出するため、環境負荷を大幅に低減できる。

いすゞは、中期経営計画『ISUZU Transformation – Growth to 2030(IX)』の中で、新事業への挑戦として、カーボンニュートラルソリューションへとさらに注力していくことを掲げている。さまざまなパートナーとの協業を通じて新たな選択肢を提案し、マルチパスウェイ(全方位)でのカーボンニュートラル化を進めていく。

【注釈】

(※1)BEV:電気自動車(Battery Electric Vehicle)

(※2)FCスタック:水素と酸素を化学反応させ、発電する装置。化学反応の結果、水だけを排出する

(※3)FCV:燃料電池自動車(Fuel Cell Electric Vehicle)