ターゲットは富士スピードウェイ&ストリート!

速さと快適性の両立を図ったメイキングの数々に注目

今も語り継がれる世界最速のZ32といえば、1991年にJUNオートメカニックが生み出した「JUN-BLITZ ボンネビルZ32」だ。VG30DETTを脅威的な1000psまで引き上げ、ボンネビルのE/BMSクラスで世界記録となる419.84km/hを叩き出した。

その“ボンネZ”にインスパイアされ、現代的なアプローチで再構成されたのが、JUNオートメカニック出身であり、現カーショップポルシェ代表の藤本さんが手がけたこのZ32。街乗りからサーキットまでをカバーする、マルチユースなチューニングが施されている。

ボンネビルZ32をオマージュしたというエンジンは、JUNの3.2Lキットを使用。当時はキャンセルが常識的選択であった可変バルタイを残しつつ、JUNの68度ハイカムをセット。燃焼室の加工からポート&バルブの研磨など細部までしっかりと手を加えている。そこにトラストのT518Zタービンをツインで装着している。

制御はHKSのF-CON Vプロを使用する。ちなみに藤本さんはJUNオートメカニック時代、車両開発部主任としてCPUセッティングを担当。数多くのハイチューンマシンのセットアップを手がけた経歴はダテではない。ボンネZ開発にも携わった人物だ。

「お客さんの望むコンセプトが現代版ボンネZ仕様ということなので、エンジンパーツはJUNの製品を使用して2024年に完成させました。ただ当時の仕様を再現するのではなく、R35コイルなど今ある高性能なパーツも積極的に組み合わせていますし、制御系も進化し余裕を持ったセットアップを実現しています。街乗りも楽しみたいと言うことで、ピークパワーは抑えましたが、サーキットで使い切れて十分に楽しめるZ32に仕上がっていると思いますよ」と語るのは代表の藤本さん。

なおこのZ32、富士スピードウェイのホームストレートではシェイクダウンでありながら278km/hというトップスピードをマークしているというから驚かされる。

バンパーダクトには大容量のインタークーラーに加え、左右インテークにはオイルクーラーもセット。狭いエンジンルームにV6ターボを詰め込んだZ32だけに、冷却系の見直しは必須項目だ。

ロールケージでリヤシートは潰されているが、元々のインテリアがしっかりと残されているのはストリートマシンならでは。運転席のみレカロRMSに交換し、サーキットも楽しめる仕様だ。

リヤゲートの開口が大きく、剛性上のネックとなるZ32。そのためロールケージに加えてCピラー同士を繋げるピラーバーやタワーバーを追加している。

ハイパワー化に合わせて純正では心許なかったブレーキも、前後ともにエンドレスのキットへ変更。自然な膨らみでワイド化されたリアフェンダーは、295/40R18をスッキリと収めるためのアレンジ。片側50mも拡幅したが、下品にな形状にならないような造形を目指したという。

このチューンドに試乗したレーシングドライバーの飯田章選手は、「VGって重いしチューンするとドッカン。そんな印象だったけど、このエンジンはすごく静かでスムーズ。チューニングカーっていうよりも、むしろ大排気量の高級車って感じの機関系なのに驚いた。ブースト圧を抑えているのがまた良くて、踏んでもターボの唐突さが無く滑らかに伸びていく。それでも気がついたら速度が出てるって感じ。“VGってこんなにいいエンジンだったんだ!”って思い知らされたよ」と評価。

ボンネビル・ソルトフラッツという限られたステージを目指したJUNボンネビルZ32。30数年の時を経て製作されたその末裔は、速さだけでなく安定性や快適性も兼ね備えたマシンを目指し進化を続けているのだ。

●取材協力:カーショップポルシェ 山梨県南アルプス市東南湖952-2 TEL:055-284-0813

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