EVだからこそ実現できるローシート。

ホンダブースで、いかにもな未来派展示車両を前に、開発プロジェクトを担当したチーフエンジニアの堤 裕也さんとデザイナーの横山悠一さん両名にお話を伺った。要約すると、内燃機関(エンジン)では成し得ない、EV(電動車)だからこそ可能となった低いシートデザインを構築したそう。公式サイトの解説を加えると、「電動ならではの価値」、を追求しつつ、未知の走行体験の実現を目指し、低いシートで走るバイクの提案となったのである。もちろん開発に携わり、そこに込められた思いはシート高だけにとどまるわけではないが、従来のバイクと明確に異なるポイントとして、乗車姿勢の大胆な低さは実に印象深い。
なるほど、あくまでセオリーとしての話だが、エンジンを搭載する一般的なバイクなら、それより高い位置に燃料タンクを設置したいし、燃料供給ラインは不可欠。吸排気系の装置(エアクリーナーやマフラー)を始め、クラッチやミッション等の駆動系のメカニズムも欠かせないだけに、おのずと構造は複雑になる。コンパクトなバイクの中にそれらを納めるデザインの自由度はかなり限られ、現在は完成形としてほぼ同一パターンになっている。
しかしEVであれば駆動力を発揮するモーターはホイール内に納めることが可能。よって前後2輪駆動も容易に実現できる。エネルギー源となるバッテリーとその電力を供給調節する制御ユニットの設置場所には自由度があり、電線で結べば完結する。もちろん重量配分やその他にも配慮すべき点はあるのだがエンジン車と比較するとEVはより大胆なデザインが可能となるのである。
静かで振動が少なく、かつトルクフルな走行フィールにも優位性があり、未来のバイクとして、新たな乗り味への期待値は大きい。低いシート高ゆえアイポイントは低く、流れる路面の近さと前方視界の広さは、これまでにない新鮮な走行フィーリングを楽しませてくれることだろう。10年後はこれがバイクの標準形スタイルのひとつとなっているのかもしれない。各種制御系の進化(走行安全性)も想像を超えるものが期待できるだろう。10年後の未来が待ち遠しい気持ちになったのが正直な感想である。

車体各部をクローズアップ。

斬新なスタイリングと低い乗車姿勢が魅力的。

ステージ上の2台は共にEV。「OUTLIER」は世界初公開モデル。


速報! EICMA 2025で最新EV「WN7」を世界初公開。
現実的な最新モデルのWN7(ダブリュー・エヌ・セブン)がイタリアのEICMA 2025(ミラノショー)でデビューした。ホンダとしては初の電動モーターサイクルである。プレスリリースによると「FUN領域向け電動ネイキッドモデル」とある。固定搭載された9.3kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。航続距離はWMTCモードで140km。








