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今日は何の日?■2代目ラクティスは正常進化でレベルアップ

2010年(平成22)年11月22日、トヨタはファンカーゴの後継車「ラクティス」初のモデルチェンジを行ない2代目に移行した。2代目ラクティスは、初代のコンセプトである“コンパクトでありながら、ゆとりある室内と荷室空間”、“運転しやすさと使いやすさ”をさらに進化させた。
ラクティスの先代はヴィッツの派生車ファンカーゴ

1999年にデビューしたヴィッツは、“世界に通じるコンパクトクラスの新ベンチマークとなる”をコンセプトに掲げて、新世代コンパクトカーとして世界中で大ヒットした。そのヴィッツから7ヶ月遅れの1999年8月に、派生車の4ドアセダン「プラッツ」とハイトワゴン「ファンカーゴ」が追加された。

ファンカーゴは、2列シートのハイトワゴンで、フロントまわりはヴィッツのイメージを持ち、ルーフラインは前席頭上からわずかにキックアップしていた。全高は、ヴィッツより180mm高く、ホイールベースが130mm、全長は250mm伸ばして広い室内と荷室が実現された。広くフラットな荷室には、一般的な自転車だけでなく大型のクロスバイクなどのスポーツ系自転車もそのまま楽に収容できた.
ファンカーゴも、レジャーやビジネス用途に使えるマルチパーパスなコンパクトカーとして、ヴィッツとプラッツとともに人気を獲得した。
ファンカーゴがモデルチェンジして車名をラクティスに変更

2005年2月にヴィッツはモデルチェンジし、その8ヶ月後にファンカーゴもモデルチェンジを迎えたが、同時に車名が「ラクティス」に変更された。
“携帯空間”をキャッチフレーズにしたラクティスは、先代ファンカーゴ同様ミニバン風のシルエットを持つ5人乗りで、全高は先代より40mmほど低い1640mm。セカンドシートは、シートバックを倒した状態でシートクッションごと前方へ送り込んで収納し、フラットフロアの大スペースをつくるダイブインシート方式が採用された。
パワートレインは、最高出力87ps/最大トルク11.8kgmの1.3L 直4 DOHC、110ps/14.4kgmの2種エンジンと、CVTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFまたは4WD(1.5Lのみ)だった。
車両価格は、2WDの標準グレードで138.6万円(1.3L)/151.2万円(1.5L)に設定。ラクティスは、発売から1ヶ月で約2.1万台を受注して順調なスタートを切った。
車高を下げてスタイリッシュになった2代目ラクティス

ラクティスは、2010年11月のこの日、モデルチェンジして2代目に移行した。2代目は、初代のコンセプトである“コンパクトでありながらゆとりの室内空間と広い荷室”、“運転のしやすさ”、“使いやすさ”をさらに進化させることが目標とされた。

先代同様コンパクトなモノフォルムボディを特徴としたが、先代に比べて50mm全高を低くして、メリハリのあるボディパネルなどによってさらにスタイリッシュになった。

ボディサイズは全高を下げたこと以外は初代と同じだが、室内幅を40mm拡大してクラストップの室内と荷室空間が達成された。また、荷室側面のレバー操作で簡単に格納できる6:4分割チルドダウン機構付リヤシートの採用により使い勝手が高められ、多彩な使い方ができる荷室空間が実現された。


パワートレインは、Dual VVT-iを採用した最高出力99ps/最大トルク12.3kgmを発揮する1.3L 直4 DOHC、109ps/14.1kgmの1.5L 直4 DOHCの2種エンジンとSuper CVT-iの組み合わせ。1.5Lエンジンには、7速スポーツシーケンシャルシフトマチックとCVT スポーツモードを搭載したACTIVE CVTを搭載。駆動方式は、FFと4WDが用意された。

車両価格は、2WD仕様で144.5万円~158.0万円(1.3L車)/154.5万円~178.5万円(1.5L車)に設定。初代の正常進化で居住性や使い勝手、動力性能を向上させた2代目ラクティスだったが、激戦区のコンパクトカーでは今ひとつ販売実績を伸ばすことができなかった。結果として、2016年には生産を終えた。
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ラクティスは、ヴィッツより広く、それでいてミニバンよりコンパクトで扱いやすくて利便性も高いことが売りだったが、すべてに少し欲張りすぎて訴求ポイントがぼやけてしまったように思える。ラクティスと言えば、これという明快なキャッチコピーが必要だったのはないか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。