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今日は何の日?■軽スーパーハイトワゴンブームをけん引したタント

2003年(平成15)年11月27日、ダイハツは軽スーパーハイトワゴン「タント」を発売した。タントは独自のパッケージングでハイトワゴンよりもさらに車高を高め、クラス最大級の室内スペースを実現。その後スーパーハイトワゴンのライバル車が続々と登場し、軽市場を席巻するようになった。
ハイトワゴンブームに火をつけたスズキ・ワゴンR、続いたダイハツ・ムーヴ

軽ハイトワゴンのパイオニアであるスズキ「ワゴンR」は1993年9月に誕生。車高をセダン「アルト」より215mm高い1640mm(標準グレード)に上げ、さらにホイールベースをクラス最大の2335mmに延長し、従来の軽自動車になかった圧倒的なサイズ感、室内スペースを実現した。
スタイリングはボクシーな2ボックスで、右側1ドア、左側2ドアの個性的な左右非対称の3ドアを装備。パワートレインは、最高出力55psを発揮する660cc 直3 SOHCエンジンと5速MTおよび3速ATの組み合わせ。1995年には64psのインタークーラーターボモデルも追加され、ワゴンRは発売から3年2ヶ月の1996年に累計販売台数50万台を達成する大ヒットモデルとなった。

1995年8月には、ライバルのダイハツから車高1620mm(標準グレード)のダイハツ「ムーヴ」が続いた。ムーヴは、人気セダン「ミラ」をベースに、スタイルはワゴンRに類似しながらもワゴンRとの差別化を図った。相違点は、使い勝手の良い左右対称5ドア(ワゴンRは後席ドアは助手席後部のみ)、テールゲートが横開き、後席がスライド機構付きであること、車重がワゴンRよりも約30kg軽量であることだった。
パワートレインは、最高出力52psの660cc 直3 DOHC、64psの直4 DOHC インタークーラーターボの2種エンジンと、5速MTおよび3速ATで、ターボモデルには4速ATが用意された。
ムーヴも高い人気を獲得してワゴンRのライバルとなり、このライバル関係は令和の現在も続いている。
元祖スーパーハイトワゴンのタント登場

ハイトワゴンブームで軽市場が盛り上がる中、2003年11月のこの日、ダイハツはムーヴに続いて独自のパッケージングでさらに車高を高め、クラス最大級の室内スペースを実現したスーパーハイトワゴン「タント」を発売した。


ボディサイズは、全高がムーヴより105mm高い、全長×全幅×全高が3395×1475×1725mm(標準グレード)。またホイールベースは軽最大の2440mmにして、フラットで圧倒的な室内スペースを実現。ボディ骨格には、進化版衝突安全ボディ“TAF”を採用し、左右分轄でロングスライドできるリクライニングの格納機構付きリアシート、大きな開口部のリアゲートなどで利便性が高められた。
スタイリングは、エンジンフードを極端に短縮した角を丸めたボクシーなフォルムで、直角に近いAピラーと大きなウインドウガラスが特徴的だった。エンジンは、最高出力58psの660cc 直3 DOHCと64psのインタークーラーターボエンジン。組み合わされたトランスミッションは2WD(FF)が4速AT、4WDが3速ATまたは4速ATだった。

車両価格は、FF仕様で99.8万~119.8万円(NA車)/123.0万~135.0万円(ターボ車)に設定。タントは、圧倒的に広い室内スペースと使いやすさが子育てユーザーの支持を集め、発売1ヶ月で1万台を超える受注を記録し、その後も月販台数で8000台をキープする大ヒットモデルとなった。


タントに続いたライバルのスーパーハイトワゴン
ライバルのスズキは、2008年1月にスーパーハイトワゴン「パレット」、その後2013年のモデルチェンジを機に車名を「スペーシア」に変更してタントを追走した。


2011年11月には、ホンダから「N-BOX」が登場。ホンダ独自の“センタータンクレイアウト”で圧倒的な室内空間を売りにして、タントとスペーシアを凌ぐ人気を獲得。さらに2014年2月には、日産自動車と三菱自動車との協業によって開発された日産「デイズルークス」、三菱「ekスペース」が加わり、スーパーハイトワゴンの本格的な激戦が始まった。

現在も、タントとスペーシア、N-BOXの三つ巴のトップ争いが続いているが、今のところN-BOXのトップの座は揺るぎそうもない。
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現在の軽自動車にとって、最も重視されるのは実用性、特に室内スペースの広さである。スーパーハイトワゴンは一時的なブームではなく、完全に軽自動車の標準となっている。この牙城を崩せる新たなスタイルの軽自動車は、今のところ思いつかない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。




