Porsche 911 GT3 with Manthey Kit

先代マンタイ・キットから大幅な進化

「マンタイ・キット」を装着した、ポルシェ 911 GT3(992.2型)。
ポルシェはGT3カテゴリーを戦うマンタイ・レーシングと共同で、992.2型911 GT3用に、大幅な進化を果たした「マンタイ・キット」を開発した。

ポルシェの調査によると「911 GT3」を購入したオーナーの多くが、サーキット走行会(トラックデイ)に参加している。彼らの要望に応えるかたちで、ポルシェは911 GT3(992.2型)用の新しい「マンタイ・キット」を開発した。これにより、ヴァイザッハ・パッケージを超える高性能コンポーネントを提供する。

新型マンタイ・キットは、サーキット走行への情熱が高いカスタマーを対象にしており、徹底的に見直された効率的なエアロダイナミクス、アップデートされたサスペンション、最適化されたブレーキコンポーネントなどが含まれる。今回、マンタイ・キットを装着した911 GT3が、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで記録したタイムは6分52秒981。先代のマンタイ・キット装着車より2.76秒も速いタイムをマークしている。

新型マンタイ・キットは、ヴァイザッハのポルシェ開発センターと、モイシュパトのマンタイ・レーシングによる緊密な共同開発によって誕生。サーキット走行に最適化された様々なコンポーネントは、世界中のポルシェセンターにおいて、2026年3月からリリースされる。

285km/hで最大540kgのダウンフォース

「マンタイ・キット」を装着した、ポルシェ 911 GT3(992.2型)。
アンダーボディの変更やボディ全体に及ぶエアロダイナミクスのアップデートにより、サーキットモードでのダウンフォースは最大540kgにも達する。

新型マンタイ・キットは、標準でも高いダウンフォースを発揮する911 GT3をベースに、サーキット走行を想定し、エアロダイナミクスを最適化。今回、アンダーボディ全体がひとつの空力パーツとして機能するように形状が変更された。

アンダーボディのディフレクターエレメントを1m延長し、全長1.5mとしたことで、効率的にダウンフォースを発生させることが可能になった。ディフレクターはラゲッジコンパートメント下部にもカバーが追加され、完全にフラットなアンダーボディを形成する。

フロントリップも新設計となって、前方へ12mm延長。フロントアンダーボディの専用ディフューザーフィンや、車体側面のフラップがフロントセクションのダウンフォースを増加させる。スワンネック式リヤウイングはサイズを拡大し、ガーニーフラップを装備。エンドプレートも大型化され、最適なエアフローを生むために内側へカーブした形状が採用されている。

リヤディフューザーはフィンが大型化され、ドラッグを増やさずにダウンフォースを高める効果を持つ。リヤのカーボンホイールカバー(エアロディスク)は、走行中の空気抵抗を低減し、車体全体の空力パーツと連携してエアフローを最適化。効率性を最大化することで、ドラッグを増やすことなくダウンフォースを大幅に向上させた。

これらの空力的なアップデートにより、285km/hでの走行時におけるダウンフォースは、ロードモードで355kg、サーキット専用の「サーキットモード」では540kgに達する(公道での使用は不可)。

調整式コイルオーバーサスペンション

「マンタイ・キット」を装着した、ポルシェ 911 GT3(992.2型)。
足まわりには、サーキットにおいてスムーズな縁石通過を可能とする、「4ウェイ調整式コイルオーバーサスペンション」が装着される。

足まわりには、ポルシェとマンタイ・レーシングは、サーキット仕様の4ウェイ調整式コイルオーバーサスペンションを開発。ダンパーは4方向に調整可能となっており、伸び側・縮み側いずれも工具を使わずに調整することができる。スプリングレートは、大幅に増加したダウンフォースに対応しつつ、限界域でのハンドリングを改善。メカニカルグリップを高め、特に縁石通過時の安定性が向上した。

オプションの20&21インチ鍛造軽量ホイールは、標準比でバネ下重量を合計6kgも軽量化。ブリリアントシルバー、ネオダイム、ブラック(シルクグロス)の3色展開する。マンタイ・キットにはステンメッシュブレーキラインが標準装備され、精密な油圧制御と最適なブレーキフィールを実現した。また、オプションでポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)専用のレーシングパッドを追加することも可能だ。

エクステリアにスポーティなアクセントを加えたいユーザー向けに、個性的なアクセサリーも用意された。「Manthey」の文字が光るカーボンドアシルトリム、白色LEDのマンタイ・ロゴドアプロジェクター、ドアのマンタイ・ロゴなどにより、911 GT3のシャープなキャラクターをより強調することができる。

カーボンエアロディスクも豊富なカラーをラインナップ。サーキット用に牽引ストラップ(前後)がレッド、ブラック、イエローの3色用意され、指定のネジ穴に装着可能となっている(公道走行時は装着不可)。さらに、カーボン製フロントエアアウトレットやリヤエアインテークなども追加することができる。

ニュルブルクリンクで大幅なタイム短縮

ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでのタイムアタックは、一部にウエットが残るなか実施されたが、先代のタイムを.76秒も更新してみせた。
ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでのタイムアタックは、一部にウエットが残るなか実施されたが、先代のタイムを2.76秒も更新してみせた。

ポルシェとマンタイ・レーシングは、新型マンタイ・キットを装着した911 GT3をニュルブルクリンク・ノルドシュライフェに持ち込み、タイムアタックを実施。ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)王者のアイハンジャル・ギュベンのドライブにより、路面状態があまり良くない中で6分52秒981のタイムを叩き出した。これは先代(992.1型)マンタイ・キット装着車を2.76秒も凌ぐタイムとなる。

ノルドシュライフェでのタイムアタックを終えたギュベンは、マンタイ・キットについて次のようにコメントした。

「マンタイ・キットにより、911 GT3はコーナーリングスピードが明らかに速くなりました。大幅に増したダウンフォースと最適化されたサスペンションを導入したことで、本当にコントロールしやすく、ドライバーに大きな自信を与えてくれるでしょう。今回、残念ながら路面が部分的に濡れていたこともあり、滑りやすく理想的な条件ではありませんでした。ドライであれば、さらに数秒削れたはずです」

マンタイ・レーシングのニコラス・レーダーCEOは、新型マンタイ・キットの導入に大きな自信をのぞかせる。

「1年以上にわたり、ポルシェのエンジニアと共に911 GT3向けの新しいマンタイ・キットを開発し、風洞で細部まで調整を重ねてきました。欧州の複数のサーキットやニュルブルクリンク・ノルトシュライフェでも数千kmにわたりテストを行っています。今回、やや難しい路面状況だったため、来年はより良いコンディションで、マンタイ・キットの真のポテンシャルを示す再挑戦を行う予定です」

ポルシェ 911 GT3用「マンタイ・キット」を動画でチェック!

ポルシェのアンバサダーを務めるヨルグ・ベルグマイスターのドライブで、マンタイ・キットを装着したポルシェ 718 ケイマン GT4 RSが、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分03秒121で駆け抜けた。

「マンタイ・キット」を装着した「ポルシェ 718 ケイマン GT4 RS」がニュルブルクリンクで刻んだ驚異的ラップタイム

ポルシェは、サーキット走行に特化した、718 ケイマン GT4 RS用「マンタイ・キット(Manthey Kit)」をリリース。これに合わせて、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいてサーキットアタックを実施し、ノーマルのタイムを6秒179も更新する、7分03秒121を記録した。