電子デバイスの高出力化や、生成AIの急速な普及に伴うAIサーバーの演算負荷増大などにより、電子機器の熱対策の重要性が高まっている。発熱量が多く、安定した冷却が必要となる電子機器の冷却には水冷方式※2が用いられるが、近年では、微細流路に液体を循環させることで、従来の冷却器よりも高効率化を実現したマイクロチャネル冷却器の需要が拡大している。また、マイクロチャネル冷却器のさらなる効率化に向け、流路幅を100µm以下に微細化する動きも進んでいるが、微細流路に液体を循環させるには強力な外部ポンプが必要となるため、消費電力の増加が課題となっている。

今回、三菱電機は、京都大学が保有する「局所加熱によって発生させたマイクロバブルの振動とバブル界面の温度差に起因するマランゴニ力※3を利用して流れを生み出す技術」に着目し、これを微細流路に適用する研究が推進された。その結果、断面の寸法が100µm×400µm、一辺3mmの正方形の流路内に、外部ポンプを使うことなく流速100µm/sの流れを生成することに世界で初めて※1成功。さらに、バブルの配置と流路形状を最適化することで、流速が440µm/sまで向上された。今後、さらに開発を進めることで、省エネかつ高性能な次世代冷却システムの開発に寄与し、カーボンニュートラルの実現に貢献することが目指される。

なお、本研究成果は、米国物理学協会発行の応用物理学に関する国際的な学術誌「Applied Physics Letters」に採択された。

マイクロバブルによる微細流路内部での流れの生成

注釈

  1. 2025年12月4日現在、三菱電機調べ
  2. 電子機器の用途・発熱量・設置環境によって、他に空冷、液浸などの方式が用いられる
  3. 液体界面の物質移動を駆動する流体力