このプロジェクトでは、三菱重工の独自のCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」を欧州で初めて採用し、ペイズウッドセメント工場から年間約80万トンのCO2を回収する予定とされている。回収したCO2はパイプラインで輸送され、英国政府がネットゼロ目標達成のために選定したCCUSクラスターである「HyNet CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)クラスター」の一部として、英国リバプール沖の枯渇ガス田に恒久的に貯留される。英国のセメント生産において、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術を導入・運用するのは今回が初めてとなる。

ハイデルベルク・マテリアルズ社は、英国政府が進めるCCUSクラスタープログラムのトラック1として、本プロジェクトの最終投資決定(FID:Final Investment Decision)を9月に英国政府と共同で実施した。

三菱重工とウォーリー社は、CO2回収プラントの基本設計(FEED:Front End Engineering Design)を2024年から手掛けている。EPC(設計・調達・建設)の実行段階では、三菱重工と地域拠点の欧州・中東・アフリカ三菱重工業(MHI-EMEA)が、MHI-EMEAのロンドン本社を通じて、Advanced KM CDR Processを採用する主要機器やコンプレッサを含む付帯設備の設計・調達を担当。ウォーリー社は、周辺機器の設計・調達管理およびCO2回収プラント全体の建設管理を担う。

世界のCO2排出量の約7~8%はセメント生産によるとされる。このCO2の大半は焼成工程で発生するため、温室効果ガスを排出せずに発電したクリーン電力への切り換えでは削減できない。生産工程を完全に脱炭素化するにはCCSが必要となる。

また、3社を中心に進めるこのプロジェクトは、200人以上の既存の雇用を維持するとともに、新たに約50人の正規雇用を創出するほか、建設中に最大500人を雇用することが期待されている。