
いつでもどこでも何度でも。反復練習できる強み。
「ここで踏めばいいんだよな」「あそこは滑りやすいから気をつけないと」「前にここで失敗したからな」――こうした経験と知識をもとにドライバーは腕を磨き、技術を高めていく。走れば走るほど知見は深まり、気づきは多くなり、さらに上手になっていく。
いっぽうで現実に目を向けてみれば、どれだけ時間を割けるか、燃料代やタイヤ交換などのコストはどう捻出するか、そして万一の事故など自身の安全をどう確保するか。これらは走行時間に比例して増えていく要素であり、いつでもどこでもだれでも、というわけにはいかないのが悩ましいところ。
しかし、これを高度に解決する手段がある。シミュレーターという存在である。
BIGLOBEが二度目として開催する「リアルとバーチャルのダブルレーサー体験会」は、まさにそこを訴求するイベント。今回の会場のモーターランド三河についても、コースレイアウトはもちろんのこと、路面状況や周囲環境まで含めてトレースしている。当然ながら走行する車両についても動質の正確な再現、タイヤスペックによる挙動変化、サスペンションジオメトリの可変要素などを盛り込み、実車さながらの再現と手応えをもたらしている。
BIGLOBEの伊藤悟氏は、本会を開催するにいたる背景を以下のように振り返っている。
「第一弾の開催を検討していたとき、インターネットの価値を訴求するのであればドライビングシミュレーターの体験会だけでいいのではないか、という声も社内からはありましたが、リアルとバーチャルを同時に体験できることにこそ価値があると考えました。都心でのシミュレーター体験だけではリアルの体験ができないので、あえてサーキット貸し切り、リアルで走る環境のなかでシミュレーターも体験できるようにするという設計にしました。結果としてはリアルとバーチャル両方の良さを体感していただける会となりました」
当日、参加したレーシングドライバーたちも異口同音にシミュレーターの効果を認める。もちろん、プロフェッショナルをしてそのように言わしめるのは、シミュレーターの動作や速度が高度に担保されているからにほかならない。
参加したエントラントは、ドリフトクラス27台、グリップクラス6台の計33台だった。彼らが自由自在にクルマを走らせていたバックグラウンドには、高度で正確な「予習」と「反復練習」があったことは間違いないだろう。
ゲストドライバーに聞く「ダブルレーサー体験会」の意義


長尾綱也 RALLY
札幌でチューニングショップ『NGO Factory』を運営しつつ、2025年は全日本ラリー選手権 MORIZO Challenge Cupに参戦した長尾綱也選手。公道を封鎖するラリー競技は大会期間外に実際のコースを走り込めないため「練習はシムだけです」。事前にシム内のモーターランド三河でドリフトの練習したうえで来場。「振り出し位置も同じで、改めてシムの高い再現性に驚かされました」と、笑顔を見せた。


及川紗利亜 RALLY
2025年は全日本ラリー選手権 MORIZO Challenge Cupに参戦した及川紗利亜選手。当日は『ラリチャレ豊田』のレッキ出走のためトークショーへの出演は叶わなかったが「モータースポーツは大人の遊びというイメージがありますが、今回はEVカートやシミュレーターなど、一層お子さまと一緒に楽しめるイベントになっていて、私も楽しく参加させていただきました」と、イベント出演を楽しんだ様子だった。


山中真生 DRIFT
米国フォーミュラ・ドリフト黎明期に活躍したケンジ・ヤマナカの息子である山中真生選手は、D1GP、FDJの最高峰クラスに参戦中。意外にもドリフトキャリアのスタート地点は20歳のころに触れたシムだった。シムによる練習は「環境を揃えればその後はローコストで運用できること」がメリットと語る。「電気代やインターネット回線の維持費だけで、何百周、何千周と走り、習熟度の面でライバルに差をつけることができます」


深田一希 DRIFT
プロドリフトドライバー深田真弘選手の娘である深田一希選手は、高校生時代に本格的にドリフト競技に挑戦を開始し、2025年はFDJの最高峰クラスに参戦。ドリフト競技は大会ごとにコースレイアウトや得点エリアが細かく変わるため、大会前はシムで感覚を合わせこむという。かつて実車の練習中に山中真生選手のクルマに乗り上げたエピソードを交えて「クルマを壊すことがないことがシムの利点」と語り、トークショー会場を沸かせた。


橋本洋平 JOURNALIST
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務めるモータージャーナリストの橋本洋平さん。取材で全国各地のサーキットを走る日々を過ごしているが、会員権4000万円超という『THE MAGARIGAWA CLUB』を走ることになった際には「クルマを壊したら大変ですから」と思い立ち、事前に自宅のシミュレーターで入念に走り込んだと明かした。当日は新型ホンダ・プレリュードで来場し、同乗走行は人気を博していた。
イベントステージのMCは、まるも亜希子さん
第二回のイベント当日にモーターランド三河へ招かれたゲストドライバーは5名。各カテゴリで活躍するプロフェッショナルたちである。デモカーによる同乗走行で「予習」の効果を存分に発揮していた。昼から開催されたトークショーでは司会のまるも亜希子さんの軽妙洒脱な進行もあり、自身の技術にかける思いやこれからの意気込みなどを熱く語り、場内を沸かせていたのが印象的だった。当日のコメントのなかからシミュレーターの効果について言及したパートをご紹介したのでご覧いただきたい。


ボクもワタシもクルマを走らせるよ! キッズ・コンテンツ
「リアルとバーチャルのダブルレーサー体験会」では、セカンドステージとなった今回から、充実したキッズコンテンツが展開された。バーチャルでも楽しめるイベントが用意されているのが本会の特長のひとつ。安全安心にクルマの運転を楽しむキッズの姿が印象的だった。活況だった当日の様子をご紹介しよう。

キッズシミュレーター
シミュレーターの威力が発揮されるのは「現ドライバー」だけではない! これからクルマに乗るキッズにとっても非常に有効。とてもリアルなコースや車両挙動の再現は贅沢のひとこと、乗り込むキッズたちも真剣そのものだった。入力デバイスがカートそのものというのも一層のやる気をかきたてる。ケガや事故とは無縁というのもうれしい。将来のプロドライバーはここから生まれるかも?

キッズEVカート体験
シミュレーターで腕慣らしをしたら今度は実車でコース走行! 「ダブルレーサー」であることはキッズも大人とまったく一緒。絶対速度は高くないものの、地面すれすれに着座して右へ左へとスイスイ走るスリルはなかなかのもの。EVだから振動や騒音、排ガスの問題から解放されているのもうれしいポイント。抜きつ抜かれつの攻防は、コースサイドから見ていても見応えたっぷりだった。

インターネット教室
すでに当たり前と言っても過言ではないインターネット。だれでもどこでもいつでも便利に使えるからこそ普及した社会インフラは、当然ながら気をつけなければならない側面も多々ある。BIGLOBEの講師が同社キャラクター「ぴっぷる」と一緒に、キッズ向けにインターネットの正しく安全な使い方を学んだ。使用ツールは「ぴっぷるクエスト」。こんなときどうすればいい?という想定シナリオでわかりやすく解説した。

ミニカー3Dスキャン体験
カメラを用いて対象物をさまざまな角度から撮影し、正確な形状をソフトウェア上に再現する3Dスキャン。KDDIテクノロジーのスタッフが実演を交えてトヨタGR86のモデル作成を解説。読み込んだデータはシミュレーター内に落とし込んでコースを走らせるデモンストレーションも併設した。車両形状を読み込ませることで、実際のクルマの動きを再現。お子さまも楽しめるファミリー向けコンテンツとして、老若男女が「GR86@モーターランド三河@バーチャル」を楽しんでいた。
リアルとバーチャルのダブルレーサー体験会 Vol.2 powered by BIGLOBE
開催:2025年11月29日(土)
共催:ビッグローブ株式会社/株式会社ウィンズアゲイン
会場:モーターランド三河(愛知県新城市)
公式サイト:https://www.biglobe.co.jp/motorsport

