初代の狙い目は2003年式から2009年式で約110万円の個体
近年におけるポルシェの成功で欠かせない存在となった初代カイエンのデビューは2002年9月。フォルクスワーゲン「トゥアレグ」とプラットフォームを共有しながらも、ひと目でポルシェと分かる内外装、ポルシェらしいスポーティな走りで大ヒットモデルになった。
最高出力340PSの4.5リッターV8を積む「カイエンS」、450PSを誇る4.5リッターV8ターボを積む「カイエンターボ」から登場し、翌2003年9月に250PS版の3.2リッターV6の「カイエン」を追加した。
2006年にフェイスリフトやエンジンの排気量拡大や直噴化などを実施し、2007年9月に405PSの「カイエンGTS」、2006年1月に521PSで30台限定の「カイエンターボS」などを追加している。

2010年2月までのモデルライフとなった初代は、2025年12月上旬時点で平均価格は約110万円と、デビューから約23年が経っていることを感じさせる価格帯となっている。タマが多いのは平均価格110万円前後の個体で、2003年式から2009年式が中心だ。グレードは「カイエン」が最も多く、デビュー時の3.2リッター(250PS)、マイナーチェンジ後の3.6リッター(290PS)ともにほぼ同じくらいの流通量だ。
続くのは「S」で「ターボ」「GTS」はこの価格帯だと少数だ。初代は冷却系や電装系、エアサスペンションのトラブルの報告が多く、標準だった「ターボ」「S」などにオプション設定されていたエアサスの「PASM」装着車は要チェックポイントだろう。もちろんティプトロニックも要注意ポイントで、MTはほとんど流通していないようだ。
初代は210万円前後の物件数も多く、お得なのは「カイエン」

210万円以上の価格帯も110万円前後と同じくらい多く流通している。2005年式から2010年式までで、マイナーチェンジ後モデルが中心。「カイエン」を中心に「S」「ターボ」「ターボS」とばらけている。
走行距離が短いほど、価格も維持されている傾向だが、年式やグレードによってばらつきが大きく、比較的「ターボ」の価格は強気という印象だ。
とはいえ、お得なのはやはり「カイエン」で、当然ながら3.6リッターよりも3.2リッターの方が値崩れしている傾向。動力性能では3.6リッターの方が余裕があり、体感上も決してその差は小さくなかったから、価格と動力性能のバランスが優れるのは、3.6リッター版の「カイエン」ということになる。
2代目の平均価格は260万円前後
2010年3月にフルモデルチェンジを受けた2代目は、モダンになった内外装や軽量化などにより、走りも一気に洗練され、アイドリングストップなどによる燃費向上など、時代の要請にも応えている。「カイエン」には6速MTも設定したが、流通しているのは大半が8速ティプトロニック(AT)だ。

3.6リッターの「カイエン」は、先代から10PSアップの300PSになり、4.8リッターV8を積む「S」は400PS、「ターボ」は500PSに到達している。2011年には、ポルシェ初のハイブリッドである「Sハイブリッド」を追加。3.0リッターV6スーパーチャージャーにモーターを組み合わせ、システムトータル出力は380PSに到達した。
さらに、2014年にマイナーチェンジを実施し、同年7月には「S E-ハイブリッド」を追加し、システムトータル出力を416PSに高めている。同年11月には、3.6リッターV6を積む「GTS」(440PS)を加えた。「ターボ」も520PSに、「ターボS」も570PSにそれぞれ最高出力を引き上げている。
2代目の中古車平均価格は、260万円前半と初代よりも当然高くなっているものの、比較的リーズナブルといえる物件も多い。
2010〜2012年式の「カイエン」なら180万円以下でも狙える

最も多いのは、デビューイヤーの2010年式、2011年式「カイエン」が最も多く、「Sハイブリッド」「S」の流通量はわずか。次に多い2012年式も「カイエン」が圧倒的に多くなっている。2010〜2012年式のカイエンは180万円未満が多く、10万km以下の個体も手に入る。
パーツ交換やメンテナンスなどの覚悟はそれなり必要だが、初代であれば110万円前後で、2代目は180万円以下でも走行距離10万km以下の物件が手に入る状況にある。いずれもベースグレードの「カイエン」が流通量、価格ともに狙い目で、2代目は220万〜250万円の予算があれば、走行距離5万km以下も十分に狙える状況になっている。

