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■2005年改良型エクストレイルFCVの限定リース販売を開始

2005年に国土交通大臣認定を取得した2005モデルの日産「エクストレイルFCV」

2005(平成17)年12月26日、日産自動車はFCEVの実験車両「エクストレイルFCV」の2005年モデルが国土交通大臣認定を取得し、限定リース販売をスタートさせると発表した。2005年モデルは、2003年モデルの米国製だった燃料電池スタックを約60%小型化した自社開発のものにするなど、大幅な改良が加えられた。

エクストレイルFCVが初めて国土交通大臣認可を取得

2000年にデビューした日産「エクストレイル」

FCEVのベースとなった「エクストレイル」は、2000年にデビューして人気を獲得したライト感覚のクロスオーバーSUVである。日産は、1990年中頃から本格的なFCEVの開発に取り組み、「エクストレイルFCV」は中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2005」に基づいて開発された。

エクストレイルFCVの2002モデルは、高圧水素ボンベを搭載し、燃料電池とリチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッド方式を採用。水素は、燃料タンク位置に搭載された高圧水素タンクに350気圧に圧縮して充填、リチウムイオン電池は床下に搭載された。

出力58kWのモーターをエンジンルームに搭載して前輪駆動で走行し、最高速度は125km/h、航続距離200km超を達成。燃料電池スタックは、米国“UTC Fuel Cells社”製の最高出力54kWの固体高分子型が使用された。このエクストレイルFCVの2002年モデルは、2002年の12月に国土交通大臣の認可を得て、国内公道走行試験をスタートさせた。

2003年モデルで限定的なリース販売をスタート

2002年モデルのエクストレイルFCVは、公道試験で様々な課題を抽出しながら改良が進められた。

改良された日産「エクストレイルFCV」2003年モデル

改良された2003年モデルでは、高出力モーターの採用によって、最高出力が2002年モデルの約1.5倍の85kWとなり、最高速度は145km/hに達した。航続距離は、運転効率に優れた燃料電池スタックと、コンパクトで冷却性能に優れた出力密度の高いリチウムイオン電池の採用により、1.75倍の350km以上と大幅に改善した。

また、このリチウムイオン電池は従来の使っていた円筒型ではなく、新開発の薄型ラミネート型セルを採用しため、室内のスペース効率が大きく向上した点も大きな進化だ。

2004年、コスモ石油に納車された「エクストレイルFCV」
2004年、コスモ石油に納車された「エクストレイルFCV」

このエクストレイルFCVの2003年モデルは、2003年11月に国土交通大臣の認可を得て、2004年3月に1号車がコスモ石油に納車された。コスモ石油は、日産とともに「水素・燃料電池実証プロジェクト」に参画しており、当該車両を導入することで水素供給インフラ技術の開発や関連した様々な知見を得ることを目指したのだ。

さらに同年4月には、2003年モデルは神奈川県と横浜市に納入され、100万円/月の限定リース販売を始めた。

自社製燃料スタックを搭載して改良を進めた2005年モデル

日産「エクストレイルFCV」2005年モデルのサイドビュー

2005年モデルでは、2003年モデルで実施してきた国内外での公道走行実験を通して得られたデータを活用するとともに、自社開発の燃料電池スタックなどの新技術を搭載し、2003年モデルに比べ各種性能が大幅に改良された。

日産「エクストレイル FCV」の構成、エンジンルームにモーター、床下にリチウムイオン電池、後席下に水素タンク

自社製燃料電池スタックとすることにより、スタックのサイズを2003年モデル搭載のスタックに比べ約60%に小型化しながらも、発電能力(スタック最高出力)を90kW(←63kW)と大幅に向上。その結果、2005年モデルの最高速度は150km/h(←145km/h)まで向上した

上海モーターショー2005に出展されたX‑TRAIL FCV

また2005年モデルでは、高圧水素容器の容量を従来比15%小型化しながらも、燃料電池システムの効率を向上させることで、水素充填圧力350気圧で370km以上(←350km)の航続距離(700気圧では、500km以上)が達成された。

さらに同モデルは、高圧水素容器、燃料電池スタックの小型化を図るとともに、各種ユニットのレイアウトを見直すことでラゲッジスペースを荷室長で400mm以上拡大するなど、居住性においても大きく改善された。

改良された日産「エクストレイルFCV」2003年モデル

また、700気圧の高圧水素容器を搭載した実験車両を使って、2006年2月にカナダで公道走行実験を行なうことも発表され、日産は今後も積極的にFCEVの実用化に向けて取り組んでいく姿勢を見せた。

しかし、その後日産は、2018年に突然FCEV開発計画の凍結を発表した。

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FCEVは、現在もカーボンニュートラル実現に向けた将来有望な技術と位置付けられている。将来小型車はEV、大型の商用車はFCEVという棲み分けが、現時点の現実的な解とされている。EVに対してFCEVは、水素の満充填時間が短く、満充填時の走行距離が長い、また走行パターンが特定しやすいので水素インフラ(充填スタンド)の整備が容易となるメリットがあるからだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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