ヤマハ JOG E……15万9500円(2025年12月22日地域限定先行発売)

現状、ヤマハEV取扱店のうち、東京都(39軒)と大阪府(22軒)にあるGachaco(ガチャコ)取扱店でのみ販売されるJOG E。2026年後半にはバッテリーと充電器をセットした通常販売が予定されている。
標準装着タイヤはチェンシン製のC-922。フロントが12インチ、リヤが10インチだ。
車体色はコンクリートグレーとディグニファイドグレーメタリックの2種類。フロントバスケット用の取り付け穴が設けられているのがEM1 e:との大きな違いだ。
JOG EのベースとなっているEM1 e:は、ホンダが2021年から中国市場で販売している「U-GO」をベースに、バッテリーの搭載位置をフロア下からシート下へ移設し、さらに交換式としたモデルだ。EM1 e:の車両価格は32万100円で、これにはホンダモバイルパワーパック e:とホンダパワーパックチャージャー e:が含まれている。試乗インプレッションはこちら

出力制限時の最高速は26km/h、制御自体には不満なし

原付一種枠ながら、やや大柄に感じられるヤマハのJOG E。それもそのはず、ベースとなっているホンダのEM1 e:は、タンデムも可能なU-GOという中国モデルを基に設計されているからだ。EM1 e:との違いは主にフロント周りの外装デザインで、車重は1kg増の93kgを公称する。

最も気になるであろう動力性能から記そう。まずはリヤブレーキをロックした状態でメインキーをオンにし、ハンドル右側にあるモータースタートスイッチを押す。これでメーター上段のREADY表示灯が点灯したら走行可能となる。だが、筆者が試乗した際には液晶ディスプレイに「cold」の文字とカメのアイコンが点滅していた。これはPCUおよびモーターを保護するために出力を制限していることを示しており、路面の凍結などを知らせるものではない。

とりあえずその状態のまま発進する。スロットルを開けると車体はじわりと動き出すが、出力制限されたJOG Eの加速は電動アシスト自転車よりもゆっくりとしている。しかもメーター読みでの最高速は26km/h程度で、勾配が10%を超えるような上り坂では最終的に6km/hまで低下した。片側2車線の広いバイパスでは、乗用車やトラックに大きな速度差で追い越され、狭い路地では後続に何台もの四輪が並ぶという状況が続いた。

試乗したのは1月上旬、場所は東京都下だ。気温は2~3℃であり、この程度の寒さでも原付スクーターで通勤する人は珍しくない。JOG Eの購入を検討している方は、低温時の出力制限(高温側もいずれ確認したい)についても考慮すべきだろう。

時間にして20分、およそ7km走ったあたりでcoldの文字とカメのアイコンが消え、STDモードが使用できるようになった。法定速度である30km/h付近までの加速感は、先ほどまでとは雲泥の差で、4スト50ccのスクーターと同等か、やや速いかなと感じるレベルだ。加えて、スロットル操作に対する電動モーターの緻密な反応も良い。ちなみに平坦なクローズドエリアで試したところ、最高速はメーター読みで49km/h前後だった。やはり電動スクーターならではの、無音かつ無振動で快適に移動できるという点は大きなアドバンテージだ。

動力用バッテリーは低温ほど消費しやすいのか、標高差の大きな今回の試乗ルートにおいて、1%あたりで移動できる距離は0.3kmほどだった。ECONモードも用意されているが、30km/hを超えたあたりで最高速が制限される一方で、航続距離は約15%しか伸びないという(EM1 e:の資料より)。少なくとも寒い時期は、スタートから30km以内にGachacoステーションがあるかを確認しながら移動する必要がありそうだ。

乗り心地はそれなりだが、ハンドリングは非常に扱いやすい

JOG Eは、4スト50ccのエンジンを搭載するジョグと比べると、ボディサイズは一回り以上大柄であり、なおかつ車重は2割ほど重い。ホイールベースが原付二種のジョグ125より95mmも長いと聞けば、そのボリューム感が想像できよう。

以上のことから、狭い駐輪場での取り回しでやや苦労するが、実際に走り出すと安定性の高さに感心する。出力制限がかかった状態、つまり最高速が26km/h程度で抑えられている状態でも車体はフラつきにくく、横からトラックの風圧をくらっても慌てずに対処できる。同じ原付一種枠の電動スクーター「E-Vino」は、軽量コンパクトで取り回しがしやすい一方で、安定成分としてはいまいちだったので、JOG Eのスタビリティの高さは大いに肯定したい。

フロント12インチ、リヤ10インチホイールによるハンドリングは、極めてニュートラルで扱いやすい。モバイルパワーパック e:を2個ではなく1個としたことで、リヤヘビーな雰囲気がないのも好印象だ。荒れたアスファルトでは、前後サスペンションのダンピングがやや心許ないが、車体の要となるフレーム自体はしっかりしており、恐さを感じることはなかった。

ブレーキはフロントがディスク、リヤがドラムで、左レバーで前後が連動するコンビブレーキを採用している。制動力としては十分以上で、コントロール性も特に不満はなかった。

2025年10月末で現行50cc以下の車両は実質的に生産終了となり、俄然注目されているのが新基準原付やこうした電動モデルだ。JOG Eは、補助金制度を利用すると12万500円(2025年4月時点での金額、東京都の場合)で車体を購入することができるので、できるだけ導入コストを抑えたい人にとっては選択肢に入るだろう。すでにヤマハ バイクレンタルにJOG Eが用意されているので、動力性能や航続距離などが心配な方は、購入前に試乗してみることをお勧めする。

ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)

原付二種のジョグ125よりもホイールベースが95mm長く、車重は2kg軽いだけというJOG E。やや大柄ではあるが、一般的な原付一種に窮屈さを感じていた人にとっては、むしろ快適に感じられるライディングポジションだろう。シート高は740mmで、ジョグ125の735mmと同等。足着き性はご覧のとおり良好で、特に不満は感じなかった。

ディテール解説

フロントキャリパーはニッシン製の片押し式シングルピストン。EM1 e:と共通であればブレーキディスク径はφ190mmだ。
減速機構を不要とすることでエネルギーロスを抑えたインホイールモーターを採用。ホンダの鋳出し文字が確認できる。
リヤブレーキはドラムで、左レバーを操作するとフロントにもほどよく制動力が配分される前後連動式を採用。これもEM1 e:と共通であればドラム径はφ110mmだ。
500mlのペットボトルが入るフロント左側のインナーポケットをはじめ、USB Type-A電源ソケット(5V、2.1A以下)、コンビニフック(1.0kgまで)、シャッター付きキーシリンダーなどの装備はすべてEM1 e:と共通だ。
反転液晶表示のフルデジタルメーターを採用。急な坂道を上り続けるなどして、PCUまたはモーターが高温になったときや、動力用バッテリーが高温または低温のとき、さらに動力用バッテリーの残量が19%以下になったときには出力が制限され、左上にカメのアイコンが表示される。
右側にはバッテリーの消費を抑えるECONモードのオンオフスイッチがあり、オンにすると最高速が30km/hに抑えられ、航続距離は約15%伸びる(EM1 e:の資料より)。
シート高はEM1 e:と同じ740mmを公称。もともとタンデム可能なU-GOがベースなので、座面は前後に長い。
シート下の後方には小さいながらも収納スペースあり。ヒンジの横にはヘルメットホルダーが設けられている。
シート下の前方にホンダモバイルパワーパック e:を1個搭載できる。バッテリー単体の重量は10.2kg。
灯火類はオールLED。ハンドルマウントのヘッドライトがEM1 e:との大きな違いだ。
外装についてはフロント周りのみが異なるようで、画像のテールランプも含め、それ以外はEM1 e:と共通のようだ。

ヤマハ JOG E 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 ZAD-EY01/EY01M
全長/全幅/全高 1,795mm/680mm/1,140mm
シート高 740mm
軸間距離 1,300mm
最低地上高 135mm
車両重量(バッテリー装着) 93kg
1充電走行距離 53km(30km/h 定地走行テスト値)
最小回転半径 2.0m
原動機種類 交流同期電動機
定格出力 0.58kW
最高出力 1.7kW(2.3PS)/540r/min
最大トルク 90N・m(9.2kgf・m)/25r/min
フレーム形式 アンダーボーン
キャスター/トレール 27°0′/77mm
タイヤサイズ(前/後) 90/90-12 44J(チューブレス)/100/90-10 56J(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式シングルディスクブレーキ/機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/スイングアーム
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED
乗車定員 1名
製造事業者 本田技研工業株式会社
製造国 中国