2025年シーズンのMotoGP取材でヨーロッパに滞在していたとき、イタリアのボローニャにあるドゥカティのミュージアムとファクトリーを訪れた。その模様をお届けする。
イタリアのボローニャにあるドゥカティの本拠地
ドゥカティのミュージアムは、イタリアのボローニャにある。ボローニャ中心街からはタクシーかバスが利用できる。ボローニャのボルゴ・パニゴーレ空港からもバスが出ているので、空港から直接向かうことも可能だった(2025年9月時点)。
今回、筆者はミュージアムとファクトリーツアーがセットになったチケットを購入した。チケットはウェブサイトから購入可能だ。ファクトリーツアーはイタリア語と英語から選ぶことができる。
じつは、筆者がドゥカティのミュージアムとファクトリーツアーを訪れるのは、2回目である。1回目は、2018年にスーパーバイク世界選手権(SBK)ポルトガルラウンドの取材後、イタリアに滞在したときに訪れた。
余談になるが、このときはポルトガルのリスボンからのフライトでロストバゲージに遭い、イタリアに一人、着の身着のままで2~3日を過ごす憂き目に遭った。そんななかで、当時翌年から始まる電動バイクレースFIM Enel MotoE World Championship(選手権名は当時のもの)のワンメイクマシンサプライヤー、エネルジカ・モーターカンパニー本社に取材に行った。少しばかりハードな旅だったので、せっかくのミュージアムとファクトリーツアーをしっかり堪能できなかった……、という後悔が大きかった。そこで、2回目の訪問を決めたわけだ。実際のところ、ミュージアムというのは何度行っても発見があるし、面白い。
ファクトリーツアーについては、一切の写真撮影が禁止となっている。ファクトリー内ではバイクの組み立てや出荷前のチェックの模様などを見ることができる。ちなみに、ドゥカティのMotoGPマシンなどの開発エリアもあったのだが、さすがに「ここがそうです」と紹介されただけで、内部を見ることはできなかった。とはいえ、ファクトリーツアーはとても面白いので、ミュージアムに行くならぜひともおすすめしたい。ミュージアムの入場券とファクトリーツアーがセットで、一般チケット代は48ユーロ(2025年12月27日時点のレートで約8850円)である。
ミュージアムではドゥカティの歴代モデルをじっくり眺められる
ミュージアムはファクトリーに併設されている。1フロアに歴代のドゥカティマシンが並んでいて、とても興味深い。ミュージアムについては、キュレーターに案内してもらえるプランもあった(英語、イタリア語)。日程が限定的なので筆者は参加できなかったけれど、事前に日程を調べて行くのもいいかもしれない。


こちらは、1946年にドゥカティで組み立てられた最初のモーターサイクル製品、「Cucciolo(クッチョロ)」。自転車に取り付けるタイプの小型エンジンで、排気量は48cc、4ストローク、ギアは2速。最高速は50km/hだったという。ミュージアムでは、そのメーカーの起源となったモデルを見ることができる。それも、ミュージアムを訪れる楽しみの一つだ。

ドゥカティ初のバイクは「Ducati 60」だ。ここからドゥカティは、補助エンジンのメーカーからモーターサイクルのメーカーとなる。エンジンは「Cucciolo(クッチョロ)」の改良版で、外観としてはまだ自転車に近い。
もともと、ドゥカティはモーターサイクルメーカーではなかった。そのルーツとしては、1926年にアントニオ・カヴァリエリ・ドゥカティ、ブルーノ・カヴァリエリ・ドゥカティ、そして優秀な科学者だったアドリアーノ・カヴァリエリ・ドゥカティが設立した「Società Scientifica Radio Brevetti Ducati(科学会社ラジオ・ブレヴェッティ・ドゥカティ)」である。コンデンサーやラジオ機器の生産などを事業としていた。しかし、第二次世界大戦で工場が深刻な被害を受け、戦後、ドゥカティはモーターサイクルの事業に乗り出した。
ミュージアムでは、戦前の「ドゥカティ」が生産したものも展示されている。もちろん、こうした情報は、インターネットで知ることができるものだ。だが、イタリアの、それもドゥカティが始まった当時から拠点としていたボローニャに滞在して、ボローニャの街を眺めながら、こうした過去を知ることは、「体験として」ドゥカティを知ることでもあると思う。「ミュージアムに行く」一つの魅力は、ここにある。


1971年に登場した「750GT」。1970年代、ヨーロッパ市場に大排気量かつ高性能なバイクが登場したことにともない、ドゥカティの名デザイナー、ファビオ・タリオーニは748ccのL字型ツインエンジンを設計した。

レース車両も多い。ドゥカティのレース参戦の黎明期から現在に至るまでのレース車両は、展示室のメインを飾っている。レース車両から市販車へと技術をフィードバックするドゥカティの伝統がよくわかる展示だ。
ミュージアムの方に聞いたところ、MotoGPのドゥカティ・レノボ・チームのライダー、マルク・マルケスとフランチェスコ・バニャイアもこのミュージアムを訪れたことがあるという。彼らはドゥカティの「始まり」のレーシングマシンを見て、どんな感想を抱いたのだろう。

ドゥカティのミュージアムとファクトリーツアーをご紹介した。イタリア旅行の際には、訪れる場所の一つとして検討することを、お忘れなく!

