スズキ・GSX-8T……1,298,000円(2026年1月30日発売)

GSX-8T。日本国内での年間目標販売台数は360台。車重は201kgを公称し、ベースとなったGSX-8Sに対して1kg軽い。

スズキ・GSX-8TT……1,386,000円(2026年1月30日発売)

GSX-8TT。年間目標販売台数(日本国内)は8Tより120台多い480台に設定。8Tとの価格差は8万8000円で、車重は203kgとなっている。

去る2026年1月30日、神奈川県にある横浜赤レンガ倉庫にて、スズキの新型ストリートバイク「GSX-8T/8TT」の新商品説明会が開催された。2025年7月4日の発表以来、同年の鈴鹿8耐やJMS2025、東京オートサロン2026などで実車が展示されたことから、「えっ、まだ発売していなかったの?」と思った人も多いことだろう。なお、すでに受注台数は2モデル合わせて1000台を超えているとのこと。

JMS2025では、コーションラベルを日本語表記とした国内仕様が初めて公開された。

EICMA 2022でデビューしたGSX-8SとVストローム800DE。この2モデルに端を発するプラットフォームは、後にGSX-8RやVストローム800を展開。そして5、6機種目となるのが、このGSX-8TとGSX-8TTだ。ベースとなっているのはストリートファイターのGSX-8Sで、775ccの水冷並列2気筒エンジンをはじめ、前後サスペンションやブレーキのセッティングまで共通という。つまり、外装の変更のみでコンセプトの異なるモデルを作り上げたのだ。

日本では2023年3月24日に発売されたGSX-8S。当初の年間目標販売台数(日本国内)は260台だった。最高出力は80PSで、車両価格はGSX-8Tより17万6000円安い112万2000円だ。
GSX-8Sは、見た目こそストリートファイター的でありながら、1465mmという長めのホイールベースや、作動性の良い前後サス、リラックスできる乗車姿勢などが相まって、王道ネイキッドのように扱いやすい。筆者のインプレッションはこちら
GSX-8T/8TTのベースとなったGSX-8Sのストリップ。フレームはスチール製ダイヤモンドタイプで、前後のショックユニットはKYB製だ。なお、フルカウルのGSX-8Rはショーワ製(アステモ)のショックユニットを採用する。

デザインはイタリア主導、T500を見て「コレダ!」と叫んだ

GSX-8Tという車名の末尾にある「T」は、「Titan(タイタン)」を意味し、これはスタイリングのモチーフとなった1968年登場の「T500」の愛称が由来となっている。一方、ビキニカウルを装着するGSX-8TTは、「Titan」に「Timeless(タイムレス)」を組み合わせた車名を用いる。

このGSX-8T/8TTが生まれた背景には、「Waku Waku PROJECT(ワクワクプロジェクト)」という新しい企画の存在があった。これは、スズキの経営陣からデザインチームに対して「『こんなものがあったらいいな』と思うものを作ってみろ!」という投げかけに端を発する。プロジェクト自体は4~5年前に立ち上げられ、その成果物の第一弾がGSX-8T/8TTなのだ。

具体的な開発プロジェクトは、スズキイタリアのデザインセンターでスタートした。そう言えば、2019年に発売されたKATANAもイタリア発祥であることから、スズキのネオレトロと彼の国は切っても切れない関係にあるようだ。現地ではコンペが行われ、キースケッチを描いたのはフランス人のアーサー氏。スズキは彼らを日本にあるスズキ歴史館に招き、デザイナーたちが「コレダ!」と叫んだのがT500だったという。

初期に描かれたイメージスケッチ。T500も確認できる。
量産車初となる500cc2スト並列2気筒エンジンを搭載したスズキのT500。1968年に登場し、市販レーサーTR500のベースにもなった。発表会ではスズキ歴史館に展示されていた初期型が登場。なお、この特徴的なヘッドライトは、後に一般的な正円タイプとなる。
馬蹄形と呼ばれるヘッドライトを採用したT500(右)。GSX-8T(左)は正円タイプながらリムのデザインを工夫することで、馬蹄形の雰囲気をうまく作り出している。加えて、バンクした際に進行方向を広く照射できるように、LEDの配光にも注力している。

当初、バーエンドミラーはオプションを想定していた!?

GSX-8T/8TTに装着されるバーエンドミラー。ステーはアルミダイカストで、型から抜いた際に残るパーティングラインを手仕上げで消している。薄型のミラーハウジングには硬度の高いプラスチックを用いている。

GSX-8T/8TTの特徴的なパーツの一つがバーエンドミラーだろう。ステーが視界に入る一般的なバーマウントミラーよりも開放感があるのが特徴だ。厳密にはスズキ初ではなく、当初は純正アクセサリーとして開発を進めていたという。ハンドルの両端に装着されるので、視界の広さはもちろん、ハンドリングにも悪影響が及ばないように設計されている。結果的にバーエンドのウエイトを含めたミラーの総重量は、GSX-8Sよりも軽くなったとのこと。

走行中の圧倒的な開放感がバーエンドミラーのアドバンテージだ。
GSX-8Sのハンドル周り。比べると確かにステーの存在感は小さくない。

筆者はこれまでに何台ものバーエンドミラー車に試乗してきた。その開放感やスタイリングの良さを認めつつも、それなりに全幅が増えてしまうため、狭い場所をすり抜けるというバイク本来の機動力が制限される。よって、今回の発表会で真っ先に確認したのはハンドル周りだ。

右側スイッチボックスを比較する(左:GSX-8T、右:GSX-8S)。左側はバーマウントミラー用のネジ穴が残されていたが、右側はなし。
スズキの公式WEBサイトからGSX-8Sのパーツリストを閲覧する。「ホルダ」を別途購入することで、バーマウントミラーの装着が可能となりそうだ。

もし筆者がGSX-8T/8TTのオーナーとなったら、慣らし運転が終わるまではスタンダードパッケージの状態で楽しむだろう。そして、スロットルをガンガン開けられる状況になったら、バーマウントミラーに交換する可能性が大だ。そして、それがスマートにできそうな余地が残されている点も、個人的にはうれしく思った。

GSX-8S譲りのシンプルな電子制御システムを継承する

GSX-8T/8TTに採用される電子制御システムはGSX-8S譲りだ。

GSX-8T/8TTには、ライダーエイドな各種電子制御システムが採用される。とはいえ、現行のネオレトロ系モデルの中では非常にシンプルな内容であり、6軸IMUやクルーズコントロール、Bluetoothを介しての通信機能など、高度なものは搭載されていない。

GSX-8Sのメーターパネル。GSX-8T/8TTも同じものが装着される。ちなみに共通プラットフォームのVストローム800/DEもメーターは共通で、右下の空白部分に外気温計が表示される。
GSX-8TT(右)、GSX-8T(左)とも、ハンドル周りにUSBソケット(Type-C)を標準装備。
GSX-8T/8TTはELIIY Power製のリチウムイオンバッテリー(右)を採用。GSX-8Sに搭載される鉛バッテリーに対して容積は60%小さく、重量は3,000gから890gへと大幅にダウン。期待寿命はおよそ5倍の10年であり、自己放電性が少なく、充電時間が短いなど、圧倒的なアドバンテージを誇る。

純正アクセサリーが充実! 最大で55L分も積めるぞ

GSX-8T 純正アクセサリー装着例
GSX-8TT 純正アクセサリー装着例

筆者がオーナーになった場合、これを仕事の足としても使うことから、やはり気になるのは積載性だ。純正アクセサリーのページを見たところ、片側が15Lから20Lへと拡張するソフトサイドケースや、大小2種類のタンクバッグなどが用意されている。仮にソフトサイドケースとタンクバッグ(大)を装着するど、容量は最大で55Lにもなるのだ。なお、純正アクセサリーでトップケースが設定されていないのは、ハンドリングに影響を及ぼすなど何かしらの理由がありそう(Vストローム800/DEには設定あり)。また、タンデムシートはやや小ぶりなので、大容量のシートバッグを安定して取り付けるには、多少の工夫が必要かもしれない。

カラーリングは8Tが3種類、8TTが2種類だ

最後に、GSX-8Tと8TTのカラーリングを全種類紹介しよう。

GSX-8T マットスティールグリーンメタリック(QVP)
GSX-8T キャンディバーントゴールド(QSY)
GSX-8T マットブラックメタリックNo.2(YKV)
GSX-8TT グラススパークルブラック(YVB)
GSX-8TT パールマットシャドーグリーン(QU5)
GSX-8T/8TTの新商品説明会で登壇したスズキの開発スタッフ。左からチーフエンジニアの加藤幸生さん(DR-Z4シリーズなども担当)、テストライダーの佐藤洋輔さん(GSX-8Rなども担当)、車体設計の小林銀河さん(GSX-8T/8TTではバーエンドミラーを担当)、電装設計の柴山拓也さん(LEDヘッドライトを担当)、そしてデザイン担当の古橋伸介さんだ。

スズキ・GSX-8T/8TT 主要諸元

型式 8BL-EM1AA
全長/全幅/全高 2,115mm/775mm/1,105mm【1,160mm】
軸間距離/最低地上高 1,465mm/145mm
シート高 815mm【810mm】
装備重量 201kg【203kg】
燃料消費率 国土交通省届出値:定地燃費値 34.5km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値 23.4km/L(クラス3、サブクラス3-2)1名乗車時
最小回転半径 2.9m
エンジン型式/弁方式 FRA1・水冷・4サイクル・2気筒/DOHC・4バルブ
総排気量 775cm3
内径×行程/圧縮比 84.0mm×70.0mm/12.8:1
最高出力 59kW〈80PS〉/8,500rpm
最大トルク 76N・m〈7.7kgf・m〉/6,800rpm
燃料供給装置 フューエルインジェクションシステム
始動方式 セルフ式
点火方式 フルトランジスタ式
潤滑方式 圧送式ウェットサンプ
潤滑油容量 3.9L
燃料タンク容量 16L
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比 1速 3.071
    2速 2.200
    3速 1.700
    4速 1.416
    5速 1.230
    6速 1.107
減速比(1次/2次) 1.675/2.764
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター/トレール 25°/104mm
ブレーキ形式(前/後) 油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS)
タイヤサイズ(前/後) 120/70ZR17M/C(58W)/180/55ZR17M/C(73W)
舵取り角左右 35°
乗車定員 2名
排出ガス基準 平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応

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