スーパーハイトの主役に君臨するベストセラー軽カーは“三車三様”

『日本でもっとも多く売れているクルマ』のタイトルを10年間、守り続けているN-BOX。1位を逃したのは販売期間が4カ月だったデビュー年とタントに負けた2014年だけというとてつもない記録を残している。

そこまで支持される大きな理由は、これ1台で大抵のことができるから。普通のクルマはガソリンタンクがリアシートの下にあるが、N-BOXはそれをフロントシートの下に移動。リアフロアから後ろは低く平らにできるから、アップハンドルの自転車(ママチャリ&パパチャリ)も楽々積める。後席に座ったときも、かかと側が持ち上がらないため、足を引いた姿勢が取りやすい。しかも座面は跳ね上げられ、室内側を荷室空間として使うこともできる。

さらに、一般のクルマは後席クッションの下がボディの鉄板なので、クッションストロークはあまり大きくできないが、N-BOXはお尻の下に何もないため、ストロークが長く取れて乗り心地はソフトだ。

そんな優れた構造をどうして他社は使わないのかといえば、デメリットがないわけではないから。給油口からガソリンタンクまでの距離が遠くなり、長いホースが必要になるとか、排気管を迂回させないと通せないとか、前後方向に連続したフレームを通せないから、衝突安全性の確保にはひと工夫必要とか、コストアップ要因が結構ある。

しかも、これらはすべて、メーカーにとってのデメリットな部分。そこを工夫や技術で克服し、ユーザーのメリットを最大化したのがホンダのNシリーズであり、その代表がN-BOXなのだ。

クルマ酔いしにくい工夫をしているのも、N-BOXの美点。クルマ酔いの原因は、目から入ってくる情報と身体で感じる情報のズレが原因であることを突き止め、後席からでも前が良く見えるように工夫したり、ダッシュボードやドアパネルを真っ直ぐ通すなどの工夫を行い、乗員が感じる情報のズレを最小限に抑えている。

装備が登録車並みに贅沢なのも、N-BOXのセールスポイント。ランプ類は前後ともすべてLEDで、デイタイムランニングライト(DRL)とウインカーを共用するマルチファンクション方式を採用する。ウインカーを出したほうだけDRLが消え、同じ場所に黄色い光が点滅するものだ。しかも、標準車はドーナツ型の大きなもの、「カスタム」グレードはシーケンシャル(流れる)タイプとなっており、光る様子はまるで高級車だ(乗ってしまうと見えないのが残念)。

室内装備も充実。フロントシートには、シートヒーターが標準装備されており、エアコンから温風が出てくるのを待たずに走り出せる。後席も、両側のドアウインドウにロールアップ式のサンシェードが標準装備されており、チャイルドシートに載せた赤ちゃんを直射日光にさらさずに済むなど、子育てファミリーのデイリーユースに対しての万全の装備が付いている。

メカニズムも贅沢。エンジンは自然吸気とターボの2種類が用意されているが、前者には吸気バルブの開閉タイミングを2段階に切り替える「i-VTEC」機構が付いている。燃費が良くなるようにロングストローク化すると、ボア径が小さくなって吸気バルブも小さくなり、パワーが出ない。そこでパワーが必要なときだけ高出力カムに切り替え、660cc自然吸気エンジントップの最高出力58PSを達成。通常走行時には燃費カムを使い、低燃費も両立させている。

衝突安全性が高いのも、N-BOXの訴求ポイント。ホンダは衝突安全基準に法規より厳しい独自の条件を設定しており、衝突安全試験の「J-NCAP」では最高ランクのファイブスター賞を受賞している。安全運転支援システムの「ホンダセンシング」にも、登録車と同じものを採用。ペダルの踏み間違いやシフトの入れ間違いで障害物のある方向に走り出した際、非常ブレーキを作動させる機能も付いており、うっかりミスを防いでくれる。

そんなN-BOXは、選択肢も豊富。カジュアルで家庭的な雰囲気の標準車と、クールでちょい悪風の「カスタム」に加え、道具感のある外装とチェック生地シートのオシャレな内装を持つ「ジョイ」の3種類が用意されている。特にジョイは、後席背もたれの裏側とラゲッジフロアにもチェックの生地が貼ってあり、後席を折りたたんでバックドアを開けると、広くフラットな快適空間「ふらっとテラス」が出現する。

乗り味はいずれも上質で、橋の継ぎ目や舗装の補修跡を通過した際のショックはマイルド。室内の静かさも軽トップレベルで、エンジンを高回転まで回した際に音量自体は大きくなっても“やかましさ”は感じない。操縦性も背の高いクルマにありがちなグラグラ感や揺り戻しのお釣りもほとんどなく、高速道路のレーンチェンジも安心。特にタイヤと専用チューニングサスのカスタムターボは、走りが一段とシャキッとする。

見ても乗っても『10年連続日本一』を納得できる。そんな全方向で満足できるのがN-BOXなのだ。

【N-BOX】

  • リアドアの開き方:スライドドア
  • 最小回転半径:4.5m(4WD車は4.8m)
  • 全高:1790mm(4WD車は1815mm)

【N-BOXカスタム】

  • リアドアの開き方:スライドドア
  • 最小回転半径:4.5m(ターボ車は4.7m、4WD車は4.8m)
  • 全高:1790mm(4WD車は1815mm)
『フルLEDヘッド&リアコンビランプ』
ダイレクトプロジェクション式フルLEDヘッドライト、クリアカラーのアウターレンズを採用したフルLEDリアコンビネーションランプを搭載したN-BOXカスタム。
『LEDフォグライト&フォグライトガーニッシュ』
2025年4月の一部改良にて、「N-BOXカスタム コーディネートスタイル」には、上品なダーククロームメッキのフォグライトガーニッシュとLEDフォグライトを標準装備した。
『専用のエアロデザイン』
N-BOXカスタムでは、フロント/サイド/リアそれぞれに、ロー&ワイドなフォルムを際立たせ、空力にも配慮された専用デザインのエアロパーツが装備される。

【N-BOXジョイ】

  • リアドアの開き方:スライドドア
  • 最小回転半径:4.5m(4WD車は4.8m)
  • 全高:1790mm(4WD車は1815mm)
『アクティブフェイスパッケージ』
タイプ別のディーラーオプションとしてHONDAロゴが際立つ専用のフロントグリル、バンパーまわりを引き締めるLEDフォグライトをセットにした用品パッケージをN-BOX JOY用に設定。
『チェック柄撥水ファブリック』
撥水素材のチェック柄ファブリックシートを全タイプに採用。自然吸気車はトリコットと撥水ファブリックのコンビシート、ターボ車はプライムスムースと撥水ファブリックのコンビシート素材とした。
『大容量フロアアンダーボックス』
フロア後端にある、便利なフロアアンダーボックスは、左右に浅底のポケット付き。折りたたみチェアやテーブルが入る十分なスペースを備え、フタには汚れても洗いやすい樹脂製のフロアエンドボードを採用。

【N-BOXシリーズの特徴】

『エンジン』
吸気バルブの制御に、VTECとVTCを採用した自然吸気エンジン(58PS/65Nm)。カスタムとジョイはパワフルなターボエンジン搭載車(64PS/104Nm)も選べる。WLTCモード燃費の最良は21.6㎞/L(自然吸気)、 20.3㎞/L(ターボ)。
『ミッション』
高効率な油圧制御を実現したCVTユニットを搭載。変速制御を見直して、わずかな加減速Gの変化までを抑制する。上質な走りと省燃費性能を両立した。
『Honda CONNECT』
Honda車専用の車載通信モジュール。オペレーターが対応する緊急サポートや自動地図更新サービスなど、「Honda Total Careプレミアム」が提供するサービスを利用できる。スマホでドアロック解除やスライドドア操作できる「Hondaデジタルキー」にも対応。

【N-BOXシリーズのインテリア比較】

【N-BOXシリーズのココがポイント!】

エントリー価格が170万円台と高額なため、登録車に浮気したくなるが、N-BOXの装備やメカニズムは登録車並み。パワーが及ばない以外は遜色がない。自動車税や高速料金の安さを考えれば、選んで後悔はしないだろう。

【N-BOX特有の低いフロアを生かしたスロープ仕様】

もうひとつのN-BOXと言えるスロープ仕様車は、車いすのままで乗り降りできる。進路補正機能付きの電動ウインチが備わり、4人乗車モードと車いす乗車モードの切り替えもわずか3アクションとするなど、使う人の気持ちに立ったフレンドリー設計がうれしい。(車両価格:191万5000円~227万4000円)

【N-BOX/N-BOXカスタム/N-BOXジョイ】の詳細DATAはコチラ

※車両価格と燃費は最低値と最高値、発表は現行車がデビューした時期、販売台数とランキングは2025年1月から9月の統計データ。グレードやオプションランキング内の%は、各メーカーに実施したアンケート調査に基づくデータです(一部編集部おすすめもあり)。衝突被害軽減ブレーキ搭載車は「サポカー」対応になるが、サポカーS対応の場合は、上記の機能がプラスされることで「サポカーSベーシック」「サポカーSベーシック+」「サポカーSワイド」とグレードアップする。

【人気No.1グレードに標準装備されている人気装備をココで判別!】

●マークが緑色→[標準装備]/▲マークが黄色→[オプション設定あり]/◾️マークが薄い→[設定なし]

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※本稿は、モーターファン別冊 「最新軽自動車カタログ2026」の再構成です。