速度超過を防ぐ安全策でありタイヤの摩耗も考慮されている

クルマの疑問
スピードメーターが表示する速度は、実際の速度よりも速く表示される。

クルマにまつわるウワサのなかで、スピードメーターは実際の速度よりも高く表示されるという都市伝説を耳にしたことがある人も少なくないかもしれない。実はこの話は単なるウワサではなく、明確な理由にもとづく事実である。

道路運送車両の保安基準第46条および、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条において、クルマの速度計は、実際の速度よりも低く表示することが定められている。

その理由は、もしメーターの表示が実際の速度を下回ってしまうと、ドライバーが気づかないうちに速度超過をしてしまう可能性があるためだ。また、クルマが速度を計測するしくみとタイヤの物理的な変化も、このズレに深く関係しているとされている。

タイヤの回転数もメーター表示に大きく影響している。

多くのクルマは、タイヤの回転数をセンサーで読み取り、タイヤの外周の長さを掛け合わせることで速度を計算している。しかし、タイヤは走行距離を重ねるごとに表面のゴムがすり減り、外径が少しずつ小さくなっていく性質がある。

タイヤの外径が小さくなると、同じ距離を進むためにより多くの回転数が必要となり、その結果として、新品のタイヤを装着しているときよりも回転数が多くなり、計算上の速度が高く算出されてしまうのだ。

したがって、タイヤの摩耗による変化をあらかじめ見越して、最初からメーターを少し高めに設定しておく余裕も重要とされている。

インチアップなどのカスタマイズは車検不適合となるおそれも

過度な改造は危険を招いてしまう。

スピードメーターはタイヤの摩耗による誤差を見越した設計となっているが、クルマのカスタマイズをおこなう際には注意が必要だ。

とくに、ホイールの直径を大きくするインチアップと呼ばれるカスタマイズをおこなうと、タイヤ全体の外径が変わってしまうことも少なくない。

また、スピードメーターは純正サイズのタイヤの外径を基準にして速度を計算しているため、純正よりも外径の大きなタイヤを装着すると、タイヤ1回転あたりに進む距離が長くなる。

その結果、メーターの表示速度よりも実際の走行速度のほうが速くなってしまう逆転現象が起きる可能性があるというわけだ。

速いスピードのメーター
純正よりも外径の大きなタイヤを装着すると、スピードも出過ぎてしまう。

そして、メーターの数値が実際の速度を下回る状態は、先述の通り保安基準から外れてしまう。

基準を満たしていないと判断されれば、車検に適合せず公道を走行できなくなるリスクが生じるだけでなく、意図せずに制限速度を超えてしまい、重大な交通事故を引き起こす要因にもなりかねない。

そのため、インチアップをおこなう際は、タイヤの外径が純正サイズとほぼ同じになるように適切な扁平率のタイヤを選ぶことが不可欠である。

クルマの見た目を変更するカスタマイズは魅力的であるが、安全性を損なわない範囲で楽しむことが求められる。なお、メーターの数値はあくまで安全に走行するためのひとつの目安である。

誤差があることを正しく理解したうえで、メーターの数値を過信しすぎず、つねに冷静でゆとりのある運転を心がけることが大切だ。