Bentley EXP 15
未来のベントレーの方向性を探る存在に

ベントレーが描くデザインビジョンを具現したコンセプトカー「ベントレー EXP 15」。そのスタイリングは、20世紀初頭のグランドツアラーからインスパイアされ、それを21世紀にふさわしい形で再解釈したものだという。全長5mにおよぶ伸びやかなボディには、直立したグリル、ロングノーズボンネット、後方に配置されたキャビンなど、クラシカルなプロポーションが採用されている。
オマージュの源泉となったのは、1930年製「スピード シックス ガーニー ナッティング スポーツマン クーペ」。この名車はブルートレインレースに参加したことでも知られており、当時のベントレー会長でありベントレーボーイズの一員でもあったウルフ・バーナートが、南仏カンヌを出発した高級列車「ル・トランブルー(青列車)」よりも先にロンドンに到着したという逸話を持つ。
EXP 15は、現代的なエクステリア、先進的なライティングディテール、アクティブエアロパーツなどを組み合わせ、過去の遺産と未来のクラフトマンシップを美しく融合した。開発チームは、サステナブルと快適性を両立させながら、長い航続距離と高速充電性能を兼ね備えた、完全電動・全輪駆動のパワートレインの搭載を想定。市販化を予定したモデルではないが、ベントレー・ブランド初のフル電動モデルのデザインを予告しているという。
ベントレー のデザインディレクターを務めるロビン・ペイジは、EX 15について次のように説明を加えた。
「コンセプトカーは、新たなデザインを提案できるだけでなく、市場の方向性を探ることができます。現在、SUV市場が拡大しているのは明らかです。GT市場に関しては、4世代にわたるコンチネンタル GTの展開を通じて、私たちはその本質を深く掴んでいると自負しています」
「しかし、最も難しいのはセダン市場です。嗜好が分化し、変化が著しく、従来型の“3ボックス構成”を好む顧客もいれば、“ワンボックス”デザインを求める方もいます。さらに、より洗練された高級志向の形を追求する声もあります。だからこそ、私たちにとってこのコンセプトは、人々の声に耳を傾け、感じ取るための絶好の機会と言えるでしょう」
3シート/3ドアレイアウトを採用

インテリアにも、先進的なデザインアプローチが貫かれた。設計には仮想現実(VR)ソフトウェアが用いられ、カスタマーは様々なトリムや仕上がりを視覚的・体験的に確認することが可能だという。これにより、シートやダッシュボード、ステアリングホイール、各種スイッチやダイヤルといった物理的なインテリアコンポーネントに加え、パッセンジャーの気分に合わせて変化するデジタル要素が、空間全体へとシームレスに調和している。
EXP 15では、従来の4シート/5シート、4ドア/5ドアとは一線を画す、3シート/3ドアというユニークなパッケージングを採用した。この独自のレイアウトは、ドライバーやパッセンジャーに特別なドライビング空間を提供するだけでなく、荷物やペットのための工夫を凝らした収納スペースが車内に組み込まれた。快適性と機能性を高度に両立し、リヤのラゲッジスペースは停車時にピクニックシートとしても使用することができる。
助手席は、パッセンジャーの気分やニーズに応じて複数のポジションへと移動可能。例えば、「コ・パイロットモード」では運転席の隣に前方配置され、「スタンダードモード」では後部座席の手前にスライド、「リラックスモード」ではリクライニングして使用できる。「スタンダードモード」と「リラックスモード」では、広大なレッグルームが生まれ、コンチェルティーナ式床下収納システムによって、フットレストが床へ折りたたまれ、ペットや手荷物用スペースとしても活用できる。
素材選定には、ベントレーらしい美意識を反映。伝統やクラフトマンシップ、サステナブルを重視しながらも、未来的で先進的であることも追求された。例えば、250年以上の歴史を持ち、有刺植物を防ぐ布の発明でも知られる英国フォックス・ブラザーズ社による100%ウールのファブリックを導入。インテリアに濃淡を持ったグラデーション効果をもたらし、軽量な3Dプリント製チタンパーツと美しく調和している。
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