ホンダ CUV e: ……200,200円~(Gachacoを利用した場合の車両定価) 

CUV e:の開発者たち。タンデムシートに乗るのが開発責任者の後藤香織さん。

昨今、身近になってきた電動バイク。ホンダは「2050年カーボンニュートラルの実現」を重要課題として掲げ、実現に向けた取り組みのひとつとして、二輪車の電動化を推進している。

ホンダは現在、原付一種と二種の5車種、全8タイプを国内市場でラインアップし、その最新モデルが今回試乗した原付二種のCUV e: というワケだ。 とは言え、発売日前の予約が200件以上もあることを知り、電動バイク追っ掛けタレントを自称するボクも、注目度の高さに驚いている。

ホンダの電動スクーターはビジネスモデルが中心で、パーソナルスクーターは2023年8月に発売された原付一種のEM1 e:(イーエムワン イー)のみ。二人乗りができ、二段階右折が必要ない原付二種のパーソナルスクーターを待ち望む声も多く、ようやくCUV e: が発売された…という背景もあるのだと思うな。 

またCUV e: はタイで製造され、日本よりも先にインドネシア、フィリピン、ベトナム、ヨーロッパで販売され、グローバルモデルでもあるのだ。これから世界市場でどのくらい伸びるのか、楽しみな1台でもある。

CUV e: にはこんな特徴がある!

1.EVのトルク特性を活かした快適な走り!
2.バッテリーは着脱可能なHonda Mobile Power Pack e:を2個使用!
⇒Gachacoの利用も可!
3.航続距離は約57km
4.車両とスマホの連携機能、Honda RoadSync Duoを初搭載!
5.購入に補助金が使える!

110㏄クラスと同等のサイズ感で開発され、シンプルでクリーンなイメージの外観デザインや、ライン状に発光するフロントポジションランプなど、ひと目でEVであることが伝わる洗練されたデザインに仕上げている。 大型キャリアを標準装備し、スマートキーで施錠できる純正トップBOXを簡単に取り付けることも可能だ。

EVシステム

ホンダWEBサイトより

バッテリーは、着脱可能な交換式リチウムイオンバッテリーの「Honda Mobile Power Pack e:」(以下MPP)を2個直列で搭載し、96VのEVシステムを採用している。96Vにすることで、力強いEVのトルク特性を活かした快適な走りを実現している。

MPPは、50.26V 26.1Ah(1314Wh)、重量は10.2kgで、充電済みのMPPに直ぐに交換できること、バッテリーシェアリングサービスのGachacoを利用もできるメリットがある(Gachacoについては後で紹介)。ホンダの海外モデルの中には固定式バッテリーを採用している電動バイクもあるが、現在国内販売している電動スクーターは、全てがMPPを搭載している。

モーターには、新開発された定格出力0.98kW、最大出力6.0kWの、ユニットスイングタイプのホイールサイドモーターを搭載。減速機を介してダイレクトに駆動輪にパワーを伝えるためエネルギーロスが少なく効率が良く、航続距離向上や加速性能にも寄与している。

ホンダWEBサイトより

またEVならではの低振動のメリットを活かし、フレームとパワーユニットは、リンク機構を廃したリジットマウントにしている。これにより車体との一体感の向上や、軽快でスポーティーなハンドリンクに寄与しているのだ。 さらにリヤフレームを角パイプにして、剛性を確保しながらスペース効率を向上させ、スリムなボディ幅に仕上げている。

ホンダ資料より

ナビゲーションや音楽再生、通話など、バイクと車両とスマホをBluetoothで連携し、車両側の大型モニターに表示するホンダ独自のコネクテッド機能、Honda RoadSync Duoを初採用している。 例えば、スマホ側の専用アプリで走行ルートを作成して、車両側にデータを飛ばして、モニターに走行ルート表示させることができたり、スマホの電話帳や音楽リストをモニターに表示させ、左手元のスイッチで操作が可能だ。 
またナビ機能では、右左折ポイントと距離で示すターン・バイ・ターン表示もできたり、近くのGachacoステーションを簡単に表示することもできる。 車両システムのバージョンアップが有った場合には、スマホを介してアップデートが簡単に行える。

足つき性(ライダー身長172cm)

身長172cmのボクは、足つき性はバッチリ!

電動のパワー特性を活かした快適な走り!

さて、いよいよCUV e: を試乗してみた! Honda SMART Keyシステムを搭載しているため、リモコンキーがポケットに入っていれば、コックピットのスイッチを回すだけで電源が起動する。

走行特性が異なる3つの走行モードを右手元のスイッチで選べ、先ずはSTANDARDモードで走ってみる。EVならではのスロットルレスポンスの良さ、初速からの力強さがあり、でもとても滑らかな加速感。 電動バイク初心者でも安心して扱えるモードだ。

SPORTSモードに切り替えると、より力強い加速とスロットルレスポンスの良さを体感でき、スポーツ感あふれる走行を堪能できる。交通量が多い幹線道路や、ちょっとしたワインデングにお薦めのモードだ。 

2ストマシンの様な加速をするのに、走行音はほとんどなく、走行中に鳥の声や街ゆく人の会話も聞こえてくる静けさだ。この静粛性は、開発者もかなり拘って開発したと言う。 この静かさと加速パワーを一度体感すると、きっとEVのファンになると思うな!

3つ目はECONモード。いわゆるエコモードで、かなり加速パワーを抑えて航続距離を優先しているため、裏道などをのんびり走るのが気持ち良いモードだ。電動バイクに不慣れな場合でも、このモードから始めれば、安心して操作できそうだ。

そう、もう一つ、ホンダの電動バイクに初採用の機能がある。アクセルオンの状態で、後輪のスリップを検知して自動で抑制する「Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)」だ。例えば滑りやすい路面のコーナリング時や加速時に、後輪が空転しると自動でコントロールされるので、ライダーは何も無かったように走行できる。つまり気がつかないのだが、作動した時にはメーターにTマークが表示される。
直進安定性だけでなく、コーナリングもブレーキングもどれをみても非の打ち所がなく、さすがホンダ!という仕上がりだ。 

さらに、ハンドルの左右スイッチを押すと、後進する機能もあり、駐輪場の出し入れや、狭い場所での切り返しが楽に行えてとても便利だ。カタログスペック上の航続距離は57kmだが、ブレーキ時に発生するエネルギーを電気エネルギーに変換して、バッテリーに蓄電する回生ブレーキの機能を持っている。走り方によっては距離を延ばすことも可能なので、電動バイクオーナー間で流行ってる航続距離を延ばす “電ピ走行テク” も楽しめそうだ!

バッテリーは購入か、Gachacoを利用するのか?

CUV e:を購入する際には、「バッテリーは購入するのか?」「シェアリングのGachaco利用か?」を選択する必要がある。 またどちらの場合でも、国の補助金3.5万円~と、自治体によっては自治体補助金が塀用できる。選択肢が複数あるので、主な一例を紹介しよう。

ホンダの販売価格(消費税込)

CUV e:車両本体:200,200円
Honda Mobile Power Pack e: :108,900円(1個の価格)
Honda Power Pack Charger e: :55,000円(1個の価格)

バッテリーを購入する場合は、MPPが2個、専用充電器が最低1個が必要だ。 この場合の合計金額は、473,000円。 でも直ぐに充電済みのバッテリーに交換することができない。

Gachacoを利用する場合は、ステーションに行けば充電済みのバッテリーに直ぐに交換することが出来る。購入するのは車両本体のみでOKだが、サブスク料金が永続的に掛かる。 街中のステーションのみを使うパターンと、充電器を借りて自宅でも充電可の2つのプランを選択できる。 前者の場合はMPP2本分の基本料金5060円/月と使った分を99円/kwh相当で課金利用。後者は、2本分の基本料金5060円/月と、充電器1基1430円/月、ステーション交換1回につき220円(1本分)の料金が掛かる。

Gachacoは初期費用がかなり抑えられ、常に良い状態のバッテリーを利用できるのがメリット。購入とどちらがお得か?は、使用方法、走行距離、何年乗るのか…によっても変わってきそうだ。

また東京都の場合はGachaco利用で車両のみを購入する場合に、6.7万円の購入補助があり、国の補助と併せれば9万8200円で購入でき、さらにGachaco利用は月1400円を上限に3年間で最大5万円の助成金がある。

ディテール解説

フロントフェンダー、インナーカバー、ヘッドライトのデザインなどには、軽快なハンドリングや走行安定性を向上させる空力のノウハウを取り入れている。
フラットで広いステップボード。靴サイズ28cmのボクでも窮屈さが無い。
座り心地の良い肉厚なシート。大型キャリアが標準装備されている。
シート下にMPPが2個直列で搭載され、簡単に脱着が可能。
メーターに表示される機能を直感的な操作が可能なマルチセレクションスイッチ。
Rスイッチと、左手元のスイッチ同時押しで後進する。
大型のTFTフルカラーモニター。公式ページでは7インチとなっているが、これは白い画面のサイズ。
右左折ポイントまでの距離を表示するターン・バイ・ターン表示も便利。
地図ナビゲーションも大きくて見やすい。拡大縮小もスイッチで簡単にできる。
Honda SMART Keyシステムで、スイッチのON/OFFやハンドルロック可能。
プッシュで開閉するインナーボックス。中にはUSB Type-C 3.0ポートを備えている。
アイコニックなライン状に発光するフロントポジションランプ
テールランプも個性的。ホンダのHっぽくも見える。
スマートキーは、車両本体のウインカーが点滅して駐車位置を知るアンサーバック機能も備えている。

試乗後の一言

パワフルで楽しい、さすがホンダの完成度! 

ボクの場合は航続距離がもう少し欲しいなぁ…。でも都内住みなので、23区内に普及が多いGachacoステーション活用をする! と割り切れば、購入代金9万8200円と、サブスクの5060円/月+αで利用できるのか……。

主要緒言

車名・型式ホンダ・ZAD-EF18
全長(mm)1,970
全幅(mm)675
全高(mm)1,100
軸距(mm)1,310
最低地上高(mm)145
シート高(mm)766
車両重量(kg)120
乗車定員(人)2
最小回転半径(m)2.0
原動機型式EF18M
原動機種類交流同期電動機
定格出力(kW)0.98*1
最高出力(kW[PS]/rpm)6.0[8.2]/3,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)22[2.2]/2,300
一充電走行距離*2(km)
国土交通省届出値
57(60km/h定地走行テスト値)〈1名乗車時〉
タイヤ100/90-12 59J
110/90-12 64J
ブレーキ形式油圧式ディスク
機械式リーディング・トレーリング
懸架方式テレスコピック式
ユニットスイング式
フレーム形式アンダーボーン
動力用バッテリーHonda Mobile Power Pack e:(2個)

近藤スパ太郎(KONDO Spataro) 

タレント/MC 企画プロデューサー
ハーレーでルート66を全走破してアメリカ大陸を横断。ロシアンラリー二輪部門連続出場、標高5000m越えのチベット・チョモランマツーリングなど芸能界きってのバイク好き。芸名は映画「スーパーの女」に出演した際に、バイク好きでも知られていた故・伊丹十三監督から命名される。
環境番組のパーソナリティを担当し、環境問題や環境に配慮した次世代モビリティに興味津々。俳優・MC・リポーターのほかWeb メディアSPANGSS や、制作プロダクションSPANCHOOSの代表も務める。