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今日は何の日?■クロスオーバーの新型SX4を初公開
2013年(平成25)年3月5日、スズキはスイスで開催された“ジュネーブモーターショー”で「SX4」の次期車を発表した。2007年にフィアットとの共同開発で誕生したハンガリー生産の世界戦略車SX4だが、2代目はさらにクロスオーバー色を強めたSUVとして、2015年から日本で「SX4 Sクロス」として発売された。



2代目スイフトをベースにしたクロスオーバー「SX4」

「SX4 Sクロス」の前身にあたるSX4は、2代目「スイフト」をベースにして2006年にデビューしたコンパクトクロスオーバーSUVである。SX4は、スズキとフィアットで共同開発され、スイフト、エスクードに続くスズキ世界戦略車の第3弾だった。
イタリアのカロッツェリアとして著名なイタルデザインと協同でデザインされたスタイリングは、躍動感のあるウェッジシェイプと丸みを帯びたフェンダーなどが力強さを生み出していた。ボディサイズはスイフトよりひと回り大きく、エスクードよりひと回り小さい。

エンジンは、最高出力110psを発揮する1.5L直4 DOHC、145psの2.0L直4 DOHCの2種類。駆動方式は、FFと電子制御式4WD「i-AWD」が用意された。i-AWDは、FFに近い状態で走る“2WDモード”、FFから4WD状態まで前後輪へトルク配分する“4WDオートモード”、悪路で威力を発揮する“4WDロックモード”(60km/h以上では4WDオートモードに切り替わる)が装備された。
わずか1年だったがWRCにも参戦したSX4

スズキは、SX4ベースのラリーマシン「SX4 WRC」で2008年にWRC世界ラリー選手権にフル参戦した。

SX4 WRCのパワートレインは、最高出力320ps/最大トルク60.2kgmを発揮する2.0L直4 DOHCターボエンジンと5速シーケンシャルトランスミッションが組み合わされ、駆動方式は電子制御のデファレンシャルギアを装着した4WDである。

SX4 WRCは、2007年にテスト参戦、2008年からフル参戦を開始。2008年のニュージーランドラリーでは6位と7位に入り、いよいよ本領発揮かと思われたが、スズキは2008年12月、わずか1年でWRC撤退を決断した。

2008年にリーマンショックが起こり、世界的な経済不況が起こったことが撤退の理由。この時期は、三菱やスバルのWRC撤退やホンダのF1撤退など、多くのメーカーが一斉にモータースポーツ活動から身を引いた時期だった。
発表の2年後にSX4 Sクロスとして日本デビュー

2013年3月のこの日にジュネーブモーターショーで発表された新型SX4は、その年の秋には欧州で発売された。日本で発売されたのは、2015年2月で車名は「SX4 Sクロス」を名乗った。

SX4よりひと回り大きなボディとなり、ダイナミックなフロントマスクにフェンダーアーチモール、シルバーアンダーガーニッシュなどでSUVらしさを強調、インテリアについてもスポーティなインパネやマルチインフォメーションディスプレイなど先進性をアピールした。
パワートレインは、最高出力117psの1.6L直4 DOHCエンジンとCVTの組み合わせ。駆動方式は、FFとスズキ独自の新しい4WDシステム「ALLGRIP(オールグリップ)」を採用。これは、“AUTO”、旋回性能に優れる“SPORT”、走破性に優れた“SNOW”、駆動力を高める“LOCK”の4つのモードを選ぶことで、さまざまな走行シーンにおいて優れた走破性と走行安定性を実現できる電子制御4WDシステムである。

車両価格は、204.12万円(2WD)/225.72万円(4WD)に設定された。その後SX4 Sクロスは、フロントマスクを変更したり、タイヤの大径化、CVTの6速AT化、レーダーサポートIIによる安全性能の強化などで商品力強化を図ったが、激戦区のクロスオーバーSUVのなかでは存在感をアピールできずに、2020年に生産を終えた。

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SX4 Sクロスの目標台数は、もともと年600台に設定されていた。したがって、スズキとしても数で勝負するモデルではなかったようだ。実際のところ、SX4 Sクロスは、SX4同様ハンガリーで生産されており、日本へは輸入車という形で投入されていたので、売れたら売れたで輸入車なので生産調整が大変なのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

