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今日は何の日?

■FCXクラリティを使ったV2Hの実証試験を北九州市と共同で開始

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」

2013(平成25)年4月9日、ホンダは福岡県北九州市と共同でV2H(Vehicle to Home)実証試験のために、外部給電機能を装備した「FCXクラリティ」を納車し、オープンニングセレモニーが行なわれた。V2Hは、電力平準化や節約、また災害時などにEVやFCEVに充電された電力を家庭に供給するシステムである。

北九州エコハウスでのオープニングセレモニー
北九州エコハウスでのオープニングセレモニー

2008年にリース販売をスタートさせたFCXクラリティ

燃料電池車「FCX」
燃料電池車「FCX」

ホンダは、2002年に日米で燃料電池車「FCX」のリース販売を始めたが、その後さらに進化させた「FCXクラリティ」を開発。FCXクラリティは、FCシステムの改良とともに次世代自動車にふさわしいスマートな流線形のスタイリングに変貌した。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」

新システムの特徴は、水素や空気を縦に流す小型・高効率“V Flow(バーチカルフロー) FCスタック”で、モーターの最高出力を78kWから100kWに向上させ、パワープラント全体の重量出力密度2倍、容積出力密度が2.2倍となり、大幅な軽量コンパクト化と高出力化を実現した。さらに当時課題であった低温始動性についても、マイナス30度まで問題なく始動できるようになった。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
2008年に日米でリース販売を始めた「FCXクラリティ」
ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
「FCXクラリティ」の流線形フォルムのリアビュー
ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」

これらの改良と優れた空力性能によって、燃費は20%向上。また、高圧水素タンク(圧力35MPa)を156.6Lから171Lに増大して、効率向上と相まって航続距離は約30%延びた。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
「FCXクラリティ」の燃料電池システム

このように大きく進化したFCXクラリティは、2008年7月、日本では11月からリース販売を開始。ちなみに、リース料は、米国は600ドル(約6.4万円)/月、日本は80万円/月である。

駆動用大容量バッテリーを活用する外部給電システム

EVとPHEVの普及に伴い、車載している大容量の駆動用バッテリーをクルマの走行のためだけでなく、バッテリーから一般住宅や電力系統へ供給して有効活用する取り組みが進められている。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
「FCXクラリティ」の燃料電池システム

EVやPHEVを利用した外部給電システムは、一般家庭に給電するシステムがV2H(Vehicle to Home)、電力系統に給電するのはV2G(Vehicle to Grid)と呼ばれる。V2Hでは、災害時の停電の際に、EV、PHEVに充電しておいたバッテリー電力を電化製品や住宅へ供給できる。また、電気料金の安い夜間にEVバッテリーに充電しておいて、電気料金の高い昼間にバッテリー電力を使用することで電気の節約になる。V2Gでは、必要に応じて車載バッテリーから電力系統へ電力を供給して、電力系統の安定化が図れる。真夏の電力ピーク時に、EVバッテリから電力系統に給電するといった使い方ができる。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
「FCXクラリティ」の燃料電池システム

このようなメリットから、最近のEVやPHEVの多くは、外部給電機能を装備、またはオプション設定している。FCEVも、車載に貯蔵した水素と大気中の酸素をFCスタックに取り込むことで発電し、その電力が駆動用バッテリーとモーターに供給されるので、水素さえあれば発電機として外部給電に活用できるのだ。

北九州エコハウスでFCEVのFCXクラリティの電力を活用

「FCXクラリティ」の外部給電装置を使った給電
「FCXクラリティ」の外部給電装置を使った給電

経済産業省のスマートコミュニティ実証事業の一環として、福岡県北九州市は「北九州スマートコミュニティ創造事業」を推進している。その中のひとつが、北九州市環境ミュージアムの敷地内にある北九州エコハウスである。ここでは、CO₂に優しい木造住宅を使って電力を節約しながら、家庭から出るCO₂を減らす取り組みを行なっている。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」

太陽光発電などの再生エネルギーや水素の活用も推進テーマであり、今回の実証試験ではFCXクラリティから電力を供給し、電力ピークカットに貢献する電力平準化の実証実験が主要な目的だ。また、地域と連携したCEMS(Community Energy Management System)ネットワークに電力を供給し、地域節電所にて地域全体のエネルギーマネジメントにおけるV2Hの効果検証も行なわれた。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」

このようにして、FCXクラリティを実証実験車としてさまざまな状況で活用することにより、実際の都市環境下でのCO2削減効果を検証するとともに、緊急時における移動可能な発電設備としてのポテンシャルを見極めるのだ。

ホンダのFCEV車、「FCXクラリティ」
給電機能を装備したFCXクラリティからいのちのたび博物館への非常用給電

そして2013年4月のこの日、一般家庭のおよそ6日分の使用電力を供給できる、最大出力9kWの外部給電機能を装備したFCXクラリティが納車され、オープニングセレモニーが行なわれたのだ。

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太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーはCO₂削減に有効だが、自然まかせで変動が大きく、電力の需給バランスを取ることが難しい。これを解決するため、EVやPHEV、FCEVの普及率を上げて、その搭載バッテリーやリサイクルバッテリーを利用することが重要なテーマのひとつになっている。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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