Nチビなど“最後の2スト”も今や超お宝の仲間入り。排ガス規制で姿を消した2スト車の価格が高騰

中古車バイクサイト「グーバイク」にて、「シイナモータース市川店 絶版館」が発売した登録済未使用車の貴重なホンダNSR250R SE(2024年3月16日掲載)。 
中古車バイクサイト「グーバイク」にて、「(株)ニューフロンティア 大尚軍」が発売した新車未登録のホンダNSR50(2024年3月16日掲載)。 

上記は中古車バイクサイト「グーバイク」で発見した物件の一例。’90年代、バイクに乗っており、現在はバイクから遠ざかっている人たちはこの価格を見て、どう思います?

まずは、ホンダNSR250R SEの最終モデル(MC28)の登録済未使用車が798万円(支払総額)。ホンダNSR250R SEはNSR250Rをベースに、乾式多板クラッチや前後サスペンションに減衰力調整機構などを標準装備したスポーティーなモデル。初登場したSEの1991年モデルは64万9000円(税抜)、1992年モデルは66万円(税抜)、1994年モデルは72万円(税抜)でリリースされた。

次に、1999年に発売されたホンダNSR50の最終型であるレプソルカラーの未登録新車が、なんと400万円(支払総額)。1999年発売時の新車価格は28万5000円(税抜)。わずか25年前、四半世紀前にリリースされた原付50ccのバイクが40万円ではなく、400万円。繰り返すが400万円……。日本は賃金がまったく上昇しない(むしろ実質賃金は下降している)“失われた30年”という状況ながら、この物件の場合、単純計算でおよそ14倍も価格が向上している。

旧車バイクブームに沸く昨今。ご存じの通りカワサキZ系、ホンダCB系、スズキGS系、ヤマハRZ系など、“伝説モデル”の人気と中古車価格が驚くほど高騰。それらも影響し、様々な“昔のバイク”の価値も上昇中だ。

また排ガス規制の強化に伴い、新車のバイク市場から姿を消した2ストモデルのタマ数は近年、中古車市場でも徐々に減少。それと反比例し、程度の良い車両は希少価値が瞬く間に向上。上記の通り、新車や未登録車は驚愕の高値で取り引きされている。

1999年に発売されたホンダNSR50(最終モデル)。世界GP500ccクラスにおいて、マイケル・ドゥーハン選手とホンダNSR500による5年連続チャンピオン獲得を記念し、ワークスカラーの「レプソルホンダカラー(ヘレスブルーメタリック)」を採用。厳しい排ガス規制とバイクの4スローク化推進により、NSR50/80はこのモデルが最終型となった。
“Nチビ”って何? ホンダNSR500を3/4サイズで再現したNSR50/80。|市販全モデル掲載|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

「3/4(スリー・クォーター・ワークス」「HRC SPORT SPIRIT(HRC・スポーツ・スピリッツ)」、これがNSR50/80の開発コンセプト。NSR50/80には、当時のロードレース最高ワースクスである、世界GP500レーサー「NSR500(500cc)」直結のテクノロジーが、確かに継承されていた。REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://car.motor-fan.jp/article/10011705

2ストエンジンの魅力。それはパワーが出やすく、チューニングしやすい土壌にあること

ホンダNSR50の水冷2ストロークエンジン。

2ストエンジンは4ストエンジンを凌ぐ、シビれるような加速の鋭さと、高回転域で炸裂するドッカンパワーが大きな魅力。2ストエンジンは、ピストン上昇・ピストン下降の2ストロークで「吸気」「圧縮」「爆発」「排気」の4つの過程をこなす。同じ排気量の場合、4ストエンジンに比べて2ストエンジンは、

・構造がシンプルで部品点数が少ないために軽量
・ピストン一往復で一連の工程が完了。4ストの2倍の混合気が燃焼できるため、パワーが出やすい
・吸気バルブ、排気バルブ、カムシャフトなないため、フリクション(抵抗)が少なく、レスポンスが良い。また高回転域での加速が鋭い

などの長所あり。

また2ストエンジンは、スポーツチャンバーの交換+メインジェットの番手変更のみで、いとも簡単にパワーアップが可能。なお電気系にCDIを採用した50ccの場合、CDIの交換のみで容易に60km/hのリミッター解除OK。さらにボアアップキットを組み込めば、ノーマルよりも2ランク~3ランク上の、パワフルで過激な走りが獲得できる。

写真は「RSリップス」が製作したNSR80改。RSリップス製のチャンバーやエンジンパーツでチューニングされ、パワーは後輪出力で最大20馬力以上を発揮。 ■RSリップス http://rslips.car.coocan.jp/

一方、4ストエンジンはノーマルよりも2ランク~3ランクアップの走りを獲得しようとした場合、シリンダーヘッドの交換(一般的にこの箇所は非常に高額)、シリンダー&ピストン(場合によってはクランクシャフトも)の交換による大幅な排気量アップ、各部エンジンパーツの強化・交換等々、一般的に2ストエンジンよりも費用と手間がかかる。パワーアップを目的とした場合、2ストエンジンは4ストエンジンよりも、圧倒的にコストパフォーマンスに優れているといえよう。

ホンダのNSR50やNS50F、ヤマハのTZR50RやTZM50R、RZ50などの2スト50ccのミッションスポーツモデルは、街乗りはもちろん、峠やミニバイクレースでも高い人気を獲得。原付免許で気軽に乗車できるため、発売当時から若者を中心に支持された。

また250ccクラスなどのミドルモデルに比べ、2スト50ccは構造も簡単で各パーツが軽量であり、エンジンの載せ替えや足周りの他車流用等、カスタムやレストアも容易。250ccクラスなら廃車になるレベルの傷んだ状態でも、50ccならば自らの手で、しかも中古パーツを上手に使えば驚くほど低コストで復活できる可能性が高い。

ミニバイクレースや峠走行の人気に伴い、2スト50cc用の社外パーツは激増。昔からチューニングや整備がしやすい土壌にあり、4スト50ccのモンキー&ゴリラのカスタム同様、プラモデル感覚でレストアやチューニングが楽しめるのが特長だ。

絶版車のレストアや修復時の最大の課題は、壊れてしまったパーツの入手が困難なこと。しかし人気が高くてタマ数の多かった2スト50ccは、中古の純正&社外部品が入手しやすい(廃車後、多くの車両はバラバラに分解され、使えるパーツはネットオークション等で単品販売。現在でも流通)。また2024年3月現在でも、各社から“補修用”として使える新品のカスタムパーツが各種発売中。

2スト50ccモデルは絶版から年月を経た今でも、まだまだパーツのニーズが高いのがポイント。チューニングやカスタムのしやすさはもちろん、新品の社外パーツを入手できるのが嬉しいところだ。

下記はデイトナから2023年12月に数量限定で発売された、ホンダ&ヤマハの小排気量車用エンジンパーツ(ボアアップキット)。なお、他社からも様々な小排気量の2ストモデル用パーツがまだまだ発売中なので、気になる人は隈なくチェックしてみるべし!

【ホンダ NS-1】タンクの位置に騙された!? ”大容量24Lセンタートランク採用の変わり種50ccレプリカ|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

グラマラスなフルカウルをまとい、前後に大径の17インチホイールを装備する。これで50ccの原付だというのだから、ホンダ「NS-1」が只者ではないことは容易に想像できる。しかもエンジンは2ストなのでバカっ速いし、ガソリンタンク部を24Lの荷物収用スペースとするなど、実用性も重視された“今までにない(今後もない!?)”貴重なレプリカモデルだ。REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://car.motor-fan.jp/article/10011534
レースでも活躍した17インチのホンダ NS50F。12インチのNチビと共存した2ストスポーツ|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

ホンダは「クラス最強」を目指し、1982年(昭和57年)に水冷2スト49cc 7.2馬力フルパワー&前後18インチのフルサイズモデル「MBX50」をリリース。5年後、バイクブーム真っ只中の1987年(昭和62年)には、水冷2スト49cc 7.2馬力フルパワー、前後17インチに1サイズ小径化した「NS50F・エアロ」を発売。NS50Fはストリートや峠もちろん、ミニバイクレース・SP50クラスの定番モデルとしても大活躍した。REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://car.motor-fan.jp/article/10016575
原チャリアーカイブス|1998年に復活したヤマハ RZ50。 過激な魅力はエンジンか、足まわりか。|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

1981年(昭和56年)、ゼロハン初の水冷2ストロークエンジンを搭載した「ヤマハ RZ50」が誕生。1985年(昭和60年)、ビキニカウルを装備したⅡ型が登場後、RZ50は生産終了となったが……。1998年(平成10年)、前後17インチスポークホイールや丸形ヘッドライト、レトロなイメージの外装類を身にまとい、見事に復活した。REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)PHOTO●月刊モト・チャンプより

https://car.motor-fan.jp/article/10012790

デイトナ ボアアップキット

限界までの排気量アップを図ったビッグボアキット。低回転域から前輪を浮かせてしまうほどの驚愕パワーと加速感が体感可能。スポーツチャンバーを装着すれば、一層のパワーアップが可能。なお純正マフラーの場合は、排気音もノーマルと同様の静かなまま。

シリンダーは耐久性とコストパフォーマンスに優れたFC(鋳鉄製)を採用し、ビッグボアの圧縮比に最適な掃気・排気ポート形状に設計。

ピストンはノーマルシリンダーヘッドのスキッシュエリア角度にベストマッチする独自のアール形状を採用。メインジェットは#10~#25程度のアップが目安。

ホンダ車用 ボア44mm×ストローク長41.4mm(排気量62.9cc)……3万5200円 品番:18930 ※数量限定

■NSR50(’87〜’94) ■NS-1(’91〜’94) ■NS50F(’87〜’95)■CRM50(〜’98) ■MBX50(’82〜’84) ■MTX50(’84〜’85)

※NSR50('95〜'99), NS-1('95〜'99)への取り付けは不可。純正アウターローター、ステータコイル、CDIとのマッチングが悪いため、ビッグボア本来の性能が発揮できません。これらのモデルに検討する場合は、'94以前のモデルの電装回り一式(アウターローター、ステータコイル、CDI等)に交換する必要がありますが、これら純正部品の一部はすでにメーカー廃番となっております。あらかじめご了承ください。
デイトナ社が実施した後輪出力によるパワーグラフの比較。

ヤマハ車用 ボア47mm×ストローク長39.7mm(排気量68.8cc)……3万5200円 品番:18931 ※数量限定

■TZR50R(’93〜’99)■TZM50R(’94〜’99)■ RZ50(’98〜’06)

※'00〜モデルへの装着は排ガス規制前の純正マフラーを使用し、エアインダクションはホースをふさいでください。
デイトナ社が実施した後輪出力によるパワーグラフの比較。
入荷数量に限りがあります。入荷以上の受注があった場合、受注をキャンセルさせていただくことがあります。
●点火プラグを#8または#9に交換する必要があります。
●キャブレターをセッティングし直す必要があります。
●2ストロークオイルは、モトレックスPOWER SYNT 2T、ワコーズV2Rをご使用ください。また、チャンバー等の同時装着により高回転型のセッティングになる場合は、混合ガソリン仕様(または分離給油仕様+混合ガソリン)で走行してください。
●シリンダーとピストンのクリアランス値はエンジンにより異なります。
※ビッグボアキットを一般公道で使用する場合は、下記の3点を必ず守ってください。
1:管轄市町村役場に排気量アップの届けをして、ナンバープレートを原付一種から原付2種に変えること。 
2:免許証は普通二輪小型限定以上を取得していること。
3:任意および強制保険については、排気量変更後のものでカバーしていることを確認。以上3点を守らなかった場合は、税法(脱税)と道路交通法(無免許)に抵触します。
※組み込む前にポートのバリ取りを行ない洗浄してからご使用ください。
昭和スポーツミニ、ホンダ MBX50|7.2→5.6→7.2馬力の変遷。|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

1979年(昭和54年)に2ストスポーツのホンダMB50が登場以来、スズキRG50E、カワサキAR50、ヤマハRZ50など、次々に最高出力7.2psのフルサイズ50ccモデルが登場。2スト50ccスポーツモデルの競争が激化した。「打倒ライバル車」「クラス最強」を目指し、ホンダは水冷2スト7.2馬力フルパワー&前後18インチのフルサイズモデル「MBX50」をリリースした。REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://car.motor-fan.jp/article/10016481
空冷、2スト、7馬力。|ホンダの2ストスポーツ初号機「MB50」を振り返る|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

1979年(昭和54年)、ホンダは2スト50ccスポーツモデル「MB50」をリリース。50ccスポーツとしては4ストエンジン搭載の「CB50」も人気だったが、ホンダは新たなチャレンジとして、スポーツモデル初の2ストエンジン搭載車を市場に投入。50ccスポーツの座は、やがて2ストのMBに受け継がれていく。REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://car.motor-fan.jp/article/10016465
昭和の名車ヤマハ RZ50|ゼロハン初の水冷エンジン、前後18インチの2スト原チャリスポーツ|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

高度経済成長という、まだまだ発展途上だった1970年代を経て、モノの価値が量から質へとシフトし始めた80年代。そんな時代を予感したかのように、1981年(昭和56年)、ヤマハから「RZ50」が衝撃的にデビュー。RZ50は、兄貴分の2ストスポーツモデル「RZ250」の成功で、“RZブランド”を展開するべく市場投入され、RZシリーズの礎を築いた高性能な原付モデルだ。REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://car.motor-fan.jp/article/10012787
サンマは魚類。だけどバイク通にはサンマ=ヤマハTZRとなる。超有名な後方排気TZRをおさらい|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

「後方排気」。レプリカブームを語るとき、絶対に外せないキーワードのひとつだ。ヤマハ・TZR250に搭載されエンジンの吸排気形態だとは知っていても、搭載された89〜90年式のTZR250、通称「3MA」について詳しく知ることは昨今あまりない。今回は、この3MAについて、ちょっと掘り下げてみたい。PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)REPORT●Mr.Ganglion

https://car.motor-fan.jp/article/10014461
レーサーレプリカ界の二大巨頭、TZR250。知るほどに欲しくなる初期型(1KT・2XT)を解説|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

いまや日本のバイク文化を語るにおいて欠かすことのできないレーサーレプリカ。状態のよいものはすでに100万円を下回るものが見つけにくくなっているという状態だが、その価格に見合った独自の魅力があるのも事実。今回はNSRとともにレプリカ2大巨頭を構成するTZR250の初期型にスポットを当ててみたい。PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

https://car.motor-fan.jp/article/10012922
ホンダNSRといえばやっぱりロスマンズ! NSR80もNSR250R-SPは今でも憧れの存在。【月刊モトチャンプ 2019年12月号】|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

近年では考えられないことだが、1980~90年代のレース界では、数多くのタバコメーカーがメインスポンサーを務めていた。中でも当時のライダーに鮮烈な印象を残したのが、ホンダと提携を結んだイギリスのロスマンズだ。PHOTO:渡辺昌彦REPORT:中村友彦

https://car.motor-fan.jp/article/10013686
ホンダNSR250Rの進化には、オーケストラに通じるところがあると思う。【月刊モトチャンプ 2020年2月号】|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

新たな年を迎えて、またひとつ車齢を重ねたNSR250R。とはいえ、最終型の生産終了から21年が経過した現在も、このモデルの進化は止まりそうもない。全国のショップやオーナー自身が指揮を取って、百花繚乱にして自由自在なカスタムを行う様子は、まるで中世に誕生して現在も発展を続ける管弦楽団、オーケストラのようだ。PHOTO:渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)REPORT:中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)

https://car.motor-fan.jp/article/10013731