連載

GENROQ アストンマーティンアーカイブ

V8 / Vantage(1995-2000)

ヴィラージュの後継モデルとして発表

1994年に5.3リッターV8を搭載する「ヴィラージュ クーペ」の生産が終了すると、いわゆる“Vカー”と呼ばれるビッグアストンは、オープンの「ヴィラージュ ヴォランテ」と、558PSを発生する5.3リッターV8を搭載する「ヴァンテージ」の2種類のみのラインナップとなっていた。そんな中、1996年のジュネーブ・ショーでスタンダードなヴィラージュの後継モデルとして発表されたのが新しい「V8」である。

一見、ヘッドライトカバー、クロームリムのついたグリル、控えめなエアダムなどを備えたエクステリアはヴァンテージと同じに見えるが、ホイールに8.5J×18インチのOZ製6スポークアロイを採用しているのが主な識別点となる。

エンジンはそれまでの314PSから353PSへとチューンされた5.3リッターV8自然吸気ユニット。ギヤボックスは“スポーツ”と“ツーリング”の2モードが付いた4速ATを標準で装備し、0-60mph(0-96km/h)加速5.9秒、最高速度250km/h以上を記録する。

また1997年には200mmホイールベースを延長して、リヤシートのフットスペースを拡大したシャシーにオープントップのボディを架装したV8ヴォランテLWBが登場。車重2050kgと重量級であったものの、豪華な内装と耐候性の高いソフトトップを持つエレガントなロードスターとして1999年までに63台が製造されている。

様々なワンオフ、フューオフモデルも

さらに1998年にはブーストアップ、インタークーラーの強化、ビッグボアスポーツエキゾーストの装着などにより608PSを発生する5.3リッターV8ツインスーパーチャージャーユニット、クロスレシオ5速MTを搭載し、中空スポークのダイマグホイール、AP製の大型ディスクブレーキ、強化スプリング、ダンパー、アンチロールバーを備えたサスペンションなどシャシーも強化した「V8ヴァンテージV600」を発表。80台近いヴィラージュ&ヴァンテージがアストンワークスの手でV600仕様にコンバートされている。

そして1999年、排ガス規制、安全基準の強化を受け、アストンマーティンはヴァンテージの生産終了を発表する。それに伴い最終モデルとして612PSを発生するV8ツインスーパーチャージャーユニットを搭載し、一部がカバーされたフロントグリル、1959年のル・マン優勝車「DBR1」をモチーフにしたサイドベント、大型フロントスポイラー、リヤスポイラー、ワイドフェンダーなどで武装したV8ヴァンテージ・ル・マンを40台限定で発売。そのパフォーマンスは0-60マイル加速3.9秒、最高速度320km/hを標榜する。

また他のモデルと同様にヴィラージュ、V8においてもシリーズを通じて「3ドアシューティングブレーク」「5ドアシューティングブレーク」「ラゴンダ4ドアサルーン」など、様々なワンオフ、フューオフモデルが社内、社外を含め製作されている。その中のひとつが、1997年から1999年にかけて製作された「V8スポーツマン・シューティングブレーク」で“スタンダード”なシューティングブレークと比べると、全体的にグラマラスなスタイルが特徴。その生産台数はたったの3台という超レアモデルでもある。

各モデル合わせて1000台あまり製造

ちなみに1989年から続くヴィラージュシリーズの最後を飾ったのは、V8ヴァンテージ・ル・マンではなく、2000年に標準ホイールベースのシャシーで8台、LWBシャシーで1台だけ作られた「V8ヴァンテージ・ヴォランテ・スペシャルエディション」であった。

結局ヴィラージュ一族は、1989年から2000年までに各モデル合わせて1000台あまりが製造された。それはまた、ニューポートパグネルで1台、1台がハンドメイドで作られ、あらゆるオーダーにも対応するという、古き良き時代のアストンマーティンの最後を飾るモデルでもあった。

1993年のバーミンガム・ショーで登場した「DB7」。

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1987年7月、フォードが75%の株式を取得し、その傘下となったアストンマーティン。そこで、新世代アストンマーティンとして開発されたのが「DP1999」、すなわち1993年のバーミンガム・ショーで登場した「DB7」である。

連載 GENROQ アストンマーティンアーカイブ

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