大排気量V6スポーツの魅力はワインディングでこそ輝く!

大排気量V6を搭載し、トルクフルな走りが楽しめるFRスポーツといえば、やはりフェアレディZだ。車格はミドルウエイトというよりヘビーウエイト寄りで、低中速コーナー主体のワインディングでは窮屈さを感じることもある。しかし、アップダウンをものともせず路面を力強く蹴り出す姿は、やはり逞しい。

「大排気量の利点を活かしてストップ&ゴー重視に仕上げるのもひとつの方法ですが、FRスポーツらしさを堪能するなら、トラクション性能を高めたコーナリングマシンに仕上げるべきです。ブレーキや冷却系など注意点は多々ありますが、セットアップが決まればワインディングでも速いZになります」とフジムラオートの中村さん。今回は同店が手掛けた2台のZを例に、峠仕様のセットアップ術を紹介しよう。

スーパーチャージャー化で刺激を増す7ATのZ34

快適装備満載の7速AT搭載Z34は、聞けばラグジュアリースポーツのような印象だが、にゅうるんさんの愛機はワインディングだけでなくサーキット走行も楽しむハイチューンドモデルだ。

VQ37VHRは本格チューニングでコストが跳ね上がるため、フジムラオートではステップアップとしてHKS製スーパーチャージャーキットをポン付け。これで400psオーバーを狙える。

フットワーク面では、ギャップ追従性を伸ばしトラクション性能を高めるため、スプリングレートに加えヘルパースプリングやバンプラバーも活用。フロントのロワアームブッシュは年式的に問題は少ないが、大型化によりハンドリングがダルになりやすく、ピロボール化で大きく変化する。

7速ATでもハード走行時はATFに負荷がかかるため、スーパーチャージャー化による水温上昇に対応して空冷ATFクーラーを装着。ブレーキ負荷も高まるため、制動力を高めつつタイヤ性能に合わせたコントローラブルな特性に調整している。

大排気量FRを意のままに操る楽しさが詰まったZ33!

以前はZ33のAT車で走りを楽しんでいた“こんちゃん”だが、AT特有のシフトフィールの遅さが物足りず、心機一転してMT車のZ33後期に乗り替えた。

排気チューンだけでも十二分な頼もしさが引き出せるVQ35HRのポテンシャルアップはそこそこに留め、ワインディングを軽く流す程度でも一気に130度付近まで上昇する油温のヒート対策を最優先。

足回りは、ストリートとスポーツ走行を両立させるためにアラゴスタ・タイプS車高調でセットアップ。そこにGTウイングを組み合わせて、ブレーキングやトラクション性能までトータルで磨きをかけている。

ワインディングを楽しむ程度なら社外のビッグキャリパーは不要と判断し、パッド&ローターで制動力を高めている。もちろん、スピードレンジが高まって制動力が足りないと感じた際にはアップデート予定だ。

前後275/35-18のタイヤを活かすため、フロントアッパーアームを変更して必要なキャンバーを確保。ストックフェンダーでも無理なく履きこなせる仕様になっている。

どちらのZも、大排気量FRならではのトルクと走行性能を引き出し、ワインディングでの楽しさを最大化するための工夫が随所に施されている。峠を軽快かつ力強く駆け抜けるためのセッティング術は、FRスポーツファン必見だ。

●取材協力:フジムラオート 京都府京都市南区上鳥羽卯ノ花65 TEL:075-661-9393

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