後席空間が広いフロンクス、荷室空間が広いライズ

全長はどちらも3995mmだ。全幅が広く全高が低いフロンクスの方が、ローワイドでスポーティに見える。それでいながらフロンクスは、広い後席が評価されてきたライズを上回る居住性を実現している。

ただし、荷室に関してはライズに軍配が上がる。5名乗車時の荷室長は650mmのフロンクスに対してライズは755mmと広く、2名乗車時もフロンクスの1380mmに対してライズは1710mmと広い。

両車ともに2段構造のラゲッジボードを備えており、後席の背もたれとの段差を埋められるようになっているため、日常的な使い勝手はどちらも悪くない。

荷室をあえてコンパクトにとどめて後席空間の確保に注力しているフロンクスに対し、広い荷室に加えてシート下など多数の収納スペースを備えているのがライズの特徴だ。ライズのハイブリッドモデルには100VのACコンセントが搭載されており、広い荷室空間とあわせてアウトドアや非常時にも使いやすい。

スズキ フロンクス
ボディサイズ=全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mm
ホイールベース=2520mm
車両重量=1130kg
タイヤサイズ=195/60R16(前後)

トヨタ ライズ ハイブリッドZ
ボディサイズ=全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mm
ホイールベース=2525mm
車両重量=1070kg
タイヤサイズ=195/60R17(前後)

ライズのe-SMARTハイブリッドは街乗りで圧倒的な性能

エンジンスペックにおいては、フロンクスの方が優れている。さらにフロンクスには、最高出力3.1ps/最大トルク60Nmのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムが搭載されており、発進加速や再加速時にはモーターアシストが働きエンジンスペック以上の力強さを発揮する。

一方、ライズのe-SMARTハイブリッドモデルはエンジンを発電専用とし、走行はすべて最高出力106ps/最大トルク170Nmのモーターで行うため動力性能はエンジン出力のみに依存しない。ストップ&ゴーが連続する街乗りにおいては、モータードライブならではの静粛性と滑らかかつ力強い加速性能でフロンクスを圧倒する。

両車のWLTCモード平均燃費は、フロンクスが19.0km/Lで、ライズはそれを大きく上回る28.0km/Lとなる。ライズのシリーズハイブリッド方式は高速走行時の効率が低下しがちだが、高速燃費でも26.1km/Lとフロンクスの21.2km/Lを上回っているる。

ただしライズのハイブリッドモデルには4WDの設定がなく、降雪地域などでは4WDが用意されるフロンクスが有利だ。WLTCモード燃費は4WDでも17.8km/Lと燃費低下も最小限に抑えられている。

スズキ フロンクス
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1460cc
最高出力=101ps/6000rpm
最大トルク=135Nm/4400rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=2WD(FF)

トヨタ ライズ ハイブリッドZ
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1196cc
最高出力=82ps/5600rpm
最大トルク=105Nm/3200-5200rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)

ライズの総合力は高い!3人以上で乗るならフロンクスがおすすめ

フロンクスのFFモデルの価格は254万1000円であるのに対し、ライズの「ハイブリッドZ」グレードは244万2000円と10万円ほどの差がある。

両車ともにシートヒーターやアダプティブクルーズコントロールが標準装備となっているため、価格ではライズの方が優位といえる。ただし、フロンクスにはライズのZグレードではオプション装備となるナビゲーションシステムやブラインドスポットモニターが標準装備となっており買得感は高い。

その一方で、1グレード構成となるフロンクスはFFと4WDの2パターンしか設定がないため不要な装備は省けない。その点では、グレードラインナップが豊富なライズの方が用途にあったグレードを選びやすい。ライズのハイブリッドモデルGグレードの価格は226万3800円とフロンクスより約30万円も安価であるうえ、より安価なガソリンモデルの燃費性能もフロンクスとほぼ同等だ。

4m以下のコンパクトSUVとしてトータルバランスに優れるのはライズといえそうだ。3人以上での乗車が多く、充実した装備で場所を問わず快適に移動したいならフロンクスが最適な選択となるだろう。

車両本体価格