車内の広さは同等!5シリーズツーリングは開放感の高さが魅力




ボディサイズはクラウンエステートの方がわずかに小さいが、全高は5シリーズツーリングの方が低く、BMWらしいスポーティなシルエットとなっている。
後席空間の広さは両車同じくらいであり、全高に大きな差はあるが頭上空間も同じくらいだ。これはクラウンエステートの座面が他のクラウンシリーズより高められているためだろう。
荷室空間にも大きな差はなく、それぞれの荷室容量はクラウンエステートが5名乗車時540リッター、2名乗車時1470リッター。対する5シリーズツーリングが570リッターと1700リッターだ。
大きな違いは車内の開放感といえるだろう。5シリーズツーリングはグラスエリアが広く、リアクォーターガラスの面積が非常に広く確保されている。どちらにも後席頭上まで届くほど広いパノラマルーフがオプションで用意されるが、5シリーズツーリングのガラスルーフは中央の梁すら取り払われている。
最新のBMWの特徴である大型湾曲ディスプレイメーターも相まって、5シリーズツーリングの車内は他のライバルと比べても独特な雰囲気だ。
トヨタ クラウンエステート Z
ボディサイズ=全長4930mm×全幅1880mm×全高1625mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1890kg
タイヤサイズ=235/45R21(前後)
BMW 523i エクスクルーシブ
ボディサイズ=全長5060mm×全幅1900mm×全高1515mm
ホイールベース=2995mm
車両重量=1810kg
タイヤサイズ=225/55R18(前後)
クラウンエステート向けにパワーアップされたエンジンとモーター


クラウンエステートのZグレードには、クラウンクロスオーバーなど同じエンジンが搭載されるが、エンジン出力の向上に加えてモーターもPHEV向けのより強力なものに換装されておりシステム出力は243psにまで引き上げられている。
対する5シリーズツーリングのエンジンは単体出力で190psと並ぶが、ターボチャージャーによる310Nmもの大トルクを多段ATを介して効率よく走る。搭載される48Vマイルドハイブリッドのモーターは最大トルクが25Nmと小さいが、発進加速時などのアシストとしてなら十分な性能だ。
エンジンとモーターの使用比率を状況に応じて可変させて走るクラウンエステートのTHS-IIと、常時310Nmの大トルクを発揮できる5シリーズツーリングを比較すると加速性能では5シリーズツーリングに軍配が上がる。
その一方で、燃費性能はフルハイブリッドシステムを搭載するクラウンエステートが圧倒的に優れている。両車のWLTCモード平均燃費は20.3km/L(Zグレード)と14.3km/L(523i)だ。
また、5シリーズツーリングのガソリンモデルは後輪駆動であるのに対し、クラウンエステートはモーター駆動式の4WDとなるうえ後輪操舵機構と連動させることで高速走行時の安定性確保にも大きく貢献する。
トヨタ クラウンエステート Z
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2487cc
最高出力=190ps/6000rpm
最大トルク=236Nm/4300〜4500rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=4WD
BMW 523i エクスクルーシブ
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1998cc
最高出力=190ps/5000rpm
最大トルク=310Nm/1500〜4000rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=2WD(FR)
日本のマルチパーパスビークルと欧州の純プレミアムツアラー


クラウンエステートのハイブリッドグレード「Z」の価格は635万円だ。5シリーズツーリングの最廉価グレードである「523iエクスクルーシブ」は868万円と、両車の間には230万円を超える価格差が存在する。
クラウンエステートの車内機能は、5シリーズツーリングとおおむね同じといえるだろう。しかし、内外装の質感や仕立てといった点においては明確な違いがあり、その差が大きな価格差として表れている。5シリーズツーリングはトノカバーの収納場所をしっかり用意しているなど細部まで抜かりない。
クラウンエステートは日常用途から長距離ドライブ、さらにはアウトドアといった幅広いシーンに1台で対応できる多用途性の高さが最大の魅力といえよう。
同じステーションワゴンの形をしていても、両車の根底にある価値観は大きく異なる。5シリーズツーリングが欧州の純プレミアムツアラーであるのに対し、クラウンエステートはワゴンでもSUVでもなくマルチパーパスビークルと呼ぶのがふさわしい。
車両本体価格
トヨタ クラウンエステート Z:635万円
BMW 523i エクスクルーシブ :868万円