全長、全幅それぞれ15mmの拡大はデザインのため

「Premium S:HEV EX」のリヤまわり

新型フォレスターは、全長4655×全幅1830×全高1730mmというサイズで、ホイールベースは2670mm。先代は、全長4640×全幅1815×全高1715mmで、ホイールベースは変わっていない。新型になり、全長と全幅がそれぞれ15mm大きくなったが、エクステリアデザインのための15mmアップで、この15mmがデザインの変わり映え感に大きく寄与している。

「SPORT EX」のフロントマスク

先代と比べると、正統派SUVらしい堂々たる風格を備えていて、全長と全幅がわずか15mm拡大しただけだが、立派に見える。ただし、デザインの担当者によると、「それほどサイズを変えずに、大きく逞しく見えるようにしたのが狙い。ただし、ゴツゴツした雰囲気ではなく、クリーンで今までない価値を提供したい」という想いで造形したそうだ。

「SPORT EX」のエクステリア

具体的には「SUVなので、フロントの縦の厚みをしっかり見せる」ことをポイントにしたそうだ。「従来型までは、弊社の狙いどおり、ヘキサゴン(六角形)グリルから始まるという造形だったが、今回はグリルとヘッドライトを一体化させ、大きなひとつの顔として、実寸以上の横の広がりも狙った」という。

「SPORT EX」のサイドビュー

ヘッドライトとフロントグリルを横同軸上に配置させ、連続感を強調しているが、15mm拡幅以上のワイド感をもたらしている。また、前下がり感のあったフロントフード前端を立てて、厚みを抱かせるノーズとすることで、ボリューム感のある顔つきに寄与している。実際に、ボンネットフードの前端部は先代よりも高くなった。デザイン面だけでなく、運転席からワイパーを見えにくくすることで、より良好な前方視界を確保しているのも安全にこだわるSUBARUらしい点だ。

フロントまわりのディテールでは、先代で印象的だったヘキサゴン(六角形)グリルや「コ」の字型ヘッドヘッドライトが姿を消したように見えるものの、じつはグリルは六角形の外枠を描き、ヘッドライトの「コ」の字も細長くなっただけでモチーフとして採用されている。

前後フェンダーの力強さを陰影で表現

サイドビューは、キャラクターラインに頼るのではなく、シンプルで力強さを感じさせる断面としつつ、黒いアーチガーニッシュをボディ色面に織り込むことで、4つ脚の前後フェンダーがしっかり路面をつかんでいるような、逞しさを表現。さらに、従来と違う造形にしたのは、ドアの断面でフェンダーの厚みを影の面で表現している。

「Premium S:HEV EX」のリヤまわり。バンパー上側を直線基調とすることでワイド感を演出

この前後フェンダーまわりやドア下まわりの陰影を感じさせる造形も+15mmの拡幅があってからこそ実現できたのだろう。また、従来型は、前傾姿勢のサイドビューが目を惹くが、新型はフォレスターとしての逞しさと「安心・安全の可視化」を狙ったボディとキャビンの造形としているのも特徴だ。Dピラー下側のキックアップを先代よりも抑えることで、軽快感さやアクティブ感は薄まったものの、しっかりしたボディに守られている感覚を乗員に与えるのも狙いとしたそう。

この写真では分かりにくいが、ワイパーを運転席から見えにくいようにして前方視界を高めている

リヤまわりは、従来型はバンパー外側が切れ上がっていたのを直線基調とすることで、ワイド感を醸し出している。なお、洗車もしやすくなったはずと教えてくれた。ディテールでは、横一文字のテールランプとバンパー上側、ライセンスプレート下側を真横に貫く断面によりワイド感を醸し出している。

グレード展開は「上中下」ではなく、異なるユーザーニーズに応えるのが狙い

遊び心を盛り込んだ「X-BREAK」のフロントマスク

また、グレード展開は「松竹梅」や「上中下」などヒエラルキーを設定するのではなく、ユーザーニーズに応じて「X-BREAK」、「Premium」、「SPORT」を用意している。

見た目のとおり、アウトドアに映える「X-BREAK」は、ラギッド(無骨な、荒々しい)な世界感を表現し、ブラックルーフを採用することでボディの厚みを強調。ルーフレールは唯一、ラダータイプでタフさを表現。

同時に、上質さを感じさせる濃色系のボディカラーに2トーンを設定することで、アウトドアテイストを醸し出している。細部では、エナジーグリーンのアクセントカラーをグリルや内装のステッチなどに配することで、遊び心を演出している。

前後バンパーガード、サイドクラッディングに配されたダークグレーの加飾が目を惹く「Premium」は、「先進感」をテーマに掲げ、そのグレード名どおり、高級感を抱かせる仕上がりで、街乗りにも似合う。

直噴ターボ専用車となる「SPORT」は、ボディ下部にスポーティな金属色を配置し、ボディ全体の骨格の強さを強調している。金属色のアルミホイールやフロント下部のガーニッシュなどは、WRX STIなどが採用してきたSUBARUの伝統も受け継いでいる。